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「今回もまた死者が出たと聞いたが」
「ああ、耳が早いな。3人死んだ……慎重に運んだ計画だったが、残念だ」
「矢張りあれか、腐敗の呪文か」
「そうだ。あの呪文にやられた仲間はもう11人にもなる」
「四肢から腐り始めて、全身に回るのに5分……だったな。恐ろしい魔法だ」
「しかし奴等は14人全員死んだ。こちらは死者3人と重傷者1人。結果的にはこちらの勝ちになる」
「……重傷者?」
「ああ、腐敗の呪文を受けて奇跡的に助かった人間がいる」
「誰だそれは?」
「お前は顔を知らないと思う。最近仲間に加わったブラックという男だ」
「ブラックというと偽名か?」
「いや、どうやらあのシリウス・ブラック本人らしい。無口な男で事情を喋らない」
「……一体どうやって?どんな秘術があって助かったんだ」
「いや、盲点だったよ。一緒に行動していた男が、その小屋にあった鉈で呪いを受けたブラックの手足を切り落としたんだ。そして切り落とした手足と傷口を魔法で凍結した。腐敗は止まり、ブラックは無事。今は呪いを解くのと四肢接合の手当、両方を受けている」
「なんとも凄まじいな……そんなことをやってのけた奴は誰だ。マーチンか?それともロナルド?」
「ルーピンだ」
「ルーピン?リーマス・ルーピン?」
「そう」
「あの痩せたルーピンか?いつも隅のほうに座っている」
「そのルーピンだ。同姓同名の別人ではない」
「想像出来んな……」
「そうか?俺は別に驚かなかったけどな」
「その部屋にルーピンとブラックがいるのか?どれ、ひとつ生還者の顔を見てこよう」
「やめておけ」
「どうしてだ。なぜ止める」
「馬に蹴られるぞ」
「どうでもいいが、お前は格言の使い方を間違っている。構わないじゃないか。ブラックは峠を越えたんだろう?」
「……これだから頭の固い男と話すのは面倒だ。まだ部屋も、ルーピンも、ブラックも血まみれの状態だ。歓迎はされんよ」
「ルーピンも?彼に怪我はないのだろう?血を落とせばいいのに」
「ブラックの意識が戻るまでは一瞬も側を離れないと言っていた。理屈ではなく、怖いんだそうだ」
「……」
「ルーピンにとっては最後に残った親友らしい。噂だけれど。誰にでもそういうのはあるんじゃないか?」
「……そうだな」
「ルーピンはあの部屋に入る前に、本当に震えていた。友人の四肢を切り落とした男がだ。ルーピンの歯の鳴る音がこっちまで聞こえてきそうだった。それでも奴は一言も喋らず、あの部屋に入っていった」
「あのルーピンが?何を考えているか分からないあの」
「そうだ。それを見て俺は思ったよ。俺達のやっている事というのは一体何だろうってな」
「戦いやら復讐やら、人それぞれだろう。俺達が負けたときはすべての魔法遣いが滅ぶときだ」
「命懸けで逃げようとすれば、逃げ切れぬ事はあるまい。失ったら死ななければならないようなものを失ってまで闘う価値はあるのか?これに」
「……知らん。ルーピンに言え」
「ああ、そうするつもりだ」
「ルーピンは聞かんだろう」
「俺もそう思うよ。けどな……誰かの口からその意見を、一度聞いておいた方がいいように思うんだよ。俺は」





作り手さんがこれを読まれたら、
あまりの乱暴さに悲鳴をあげるんじゃないかと思います。
「カレー作りたいなあ……でも面倒だ、ルー食わせとけ」
みたいな感じ。(大迷惑)
や、私以上にジャイアン構成をするひとに
未だ会ったことがありません。

私だってプロならこんなこたァしませんよ?
でもアマチュアだもーん!!アマ万歳!!

あと血なまぐさくてごめんなさい。
人体破壊は癖です。治らない。

ん?二人とも出てこない話って珍しいんじゃなかろうか。
2004/03/01

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