59



「シリウス、昨夜は何かあったのかな?」
 朝の食卓でルーピンにそう問われた時、シリウス・ブラックは真剣にその意味するところが掴めずに呆然とした顔をした。
「何か、とは?」
「ほら昨日の夕食の時にあとで寝室に来ると言っただろう?」
「・・・・・・」
「君が予告をしておいて来ないというのは随分珍しいなと思って」
「・・・・・・」
「ああでも、1時間くらい待って眠ってしまったからその後のことは分からないんだ」
「・・・・・・」
「もしかして私は記憶違いをしているのだろうか?予告をしたのは昨日ではなかった?」
「いや。確かに昨日俺はそう言った……」
「ああ、よかった。びっくりさせないでくれ」
「しかしリーマス、お前は食事の後しばらくして『頭が痛み始めた』と言ってひどく……」
 今度は逆にルーピンが少し驚いた顔をして黙ったあと、首を傾げた。
「たしかにそうだけど……ああ、もしかして」
「?」
「私を気遣って、それで来なかったのかい?」
「普通はそうするだろう?」
「別に構わないのに。そりゃあ、まったくいつも通りという訳にはいかないけれど」
「……では頭の痛んでいるお前を、その……抱けと?」
「いけないかな?別に頭痛は怪我や病気じゃないよ」
「良い悪い以前に、それは人間の所行では……俺にはそういう趣味がない。リーマス」
「趣味?どうしてここで趣味の話が出てくるんだろうシリウス」
「頭が痛いときは安静にしていろ。それと、要らない気を遣って、今後頭痛が始まっても口を噤んでいるというのは無しだぞ?」
「……君もだんだん成長して知恵が働くようになってきたね」
「快気祝いにその失礼な発言は聞かなかったことにしてやる」
「ありがとう我が友。……ああ」
「何だ」
「これは最初に感謝するべき話だったんだなと思って。しそびれた」
 無邪気に笑うルーピンへ、シリウスは苦々しげに応える。
「気にするな。俺も最初に怒るべき話だったというのにタイミングを逃した」


03年の大阪で私に物品をくださった方へ
お礼でお送りしたものです。
しかし品物の数とメールの数が1つ合わなかったのが
今も気掛かりなのですが〜。
(てか、御名前が書いてあるのですが、掠れていて
読めないのです……ああ「がう」の方…)

世界の頭痛持ちの方の症状が、
少しでも和らぎますように……。

03/09/09発表
03/11/20再掲載

BACK