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「久しぶりに蝶に触った」
 眠ったと思っていた傍らのシリウスが口を開いたのでルーピンは少し驚いた。
 もう休んだほうがいいよ、と言う代わりに彼の髪を撫でようとしたのだが、見当違いの方向だったのか手は枕に触れた。何しろ完全な闇の中である。
「バスルームにいたのを窓から外へ逃がしたんだ」
 シリウスの手は迷う様子もなくルーピンの髪に触れた。先を越されたのでルーピンは大人しく手を引っ込める。
「昔の記憶にある蝶の感触と、実際に触った感じは随分と違ってびっくりした。温度がなくて、柔らかくて、軽くて、乾いていて……お前に似ていると思った。肌触りが」
 枕がかさかさと鳴って、ルーピンの前髪と額に何かが触れた。おそらくは唇だろう。
「そうそう、こんな感じだ」
 ルーピンは友人が何を言わんとしているのかを暫し考えた。そして驚愕のあまりすっかり目が覚めてしまった。
「自分が何を言っているか分かっているのかい?蝶だって?私が?」
「どうして。何かいけなかったか?」
 いかにも無邪気そうにそう言いながら、しかしシリウスの手は裸の胸から腹へと下りてくる。ルーピンは溜息をついた。
「……これは今の話とつながるんだろうか?ミスター・ブラック」
「もちろんだとも」
 彼の重みが胸の上に戻ってきて、ルーピンは諦めてその背に腕を回す。
「だって蝶を触っていると、羽根をむしりたくなるだろう」
 闇の中、小さく笑い声がした。





ものすごく久し振りに大きな蝶々の羽根に触ったら
記憶していたものと感触が違ってびっくりした。
(あ、私の話です)
温度がなくて、柔らかくて、軽くて、乾いていて
弱々しくて、ビロードのおもちゃみたいだった。
で、ちょっとだけ嗜虐心を煽られる。

ルーピン先生の手触りだこれは!!と思った。
夜の夜中に蝶々で、30男を連想するってどうよ。
なにかねえ、肌とか触るとタルカムパウダー
まぶしまくったっぽいというかねハアハア!

関係ないですがモルフォ蝶の青を人工的に
作り出すことに成功したそうです。
「モルフォ・ブルーのドレス」とかいう言葉(いま捏造)が
モード界で飛び交うのはいつ頃の話でしょう。
2003/10/10



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