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 狼の姿のルーピンと犬の姿の自分は会話を交わしたりする、という話が出たとき(これまでそんな話題が2人の間で出た事は1度もなかった。ルーピンは持って生まれた悪感情を、すべて自分の内の狼に対して使っているようなところがあったので)ルーピンの表面上には何の変化もなかったのだけれど、シリウスは彼が深く動揺している事にすぐに気付いた。「狼は君のことが好きだと思うよ。彼にはもう君しか友達がいないし、なにより君は優しいから」そう言って彼はいつも通り丁寧に微笑んだ。しかしシリウスはずっと謝罪の言葉を捜していた。ルーピンは無言のままシリウスをその場に押し伏せ、やわらかく耳を噛んだ。自分の置かれている状況をいまひとつ把握出来ぬまま、シリウスはシャツを剥がれ、いつになく執拗に責め立てられることになった。友人の、いつもと違う視線や、いつもと違う扱いかた、強い力を受け止めながらシリウスは、ルーピンを今現在動かしている感情の名前を何とか思い出そうと努力を繰り返した。





先生は全世界の誰へも(笑)シリウスを譲る
覚悟がありますが、唯一、狼にだけは
渡さないと思います。勿論自分がシリウスを
好きだからという理由もありますが
狼が少しでも幸せになるのが許せないという
悪意もあって。それくらいの黒い感情は
先生にも許されるべきではないかと。

シリウスは念願の「嫉妬」をされているのですが
いまひとつ腑に落ちていない。先生と狼は
全世界の誰よりも別の存在であるという
認識ができないのですね。シリウスにとっては
狼も先生である。それゆえ彼は狼を憎めないのです。

2003.07.21

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