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「ああ、なんて冷たい男なんだろう俺の恋人は!」
 近頃シリウスは時々ハリーの前でこういう物の言い方をするようになった。「俺の恋人」というのがハリーの元担任のリーマス・ルーピンであるとはっきり分かる状況において。(そう例えば今のように。「君は大人なんだから、ハリーと同じようにと考えるのが間違っているよ。シリウス」と言ったルーピンに対する返事だった)そんな時のシリウスの態度はいつも通り明るく、屈託なく、一欠けらの気後れも感じられない。対するルーピンは、刹那動きが止まる。
 おそらくは彼等の間でも解答が出ていない問題なのだとハリーは考える。彼等の様子からは痛いくらい未解決の匂いがした。
 ハリーは、父の友人であるリーマス・ルーピンとシリウス・ブラックを心から愛していた。そして彼等が考えている以上に彼等の内面を理解していた。この場合、彼等が何を思いどういう結果を望んでいるのかが手にとるように見える程には。
 養父はおそらくハリーに告げる事を望み、元担任はハリーに知られたくはないのだ。
 なのでシリウスはそういう言い方をする。冗談とも本気ともとれるように明るく笑いながら。ハリーが質問すればきっと答えてくれるだろう。
 どちらもハリーを一番に考えていることをハリーは知っている。今この瞬間にも2人を強く抱きしめたかった。何も心配する必要はないのだと知らせるために。貴方達は幸福になるのだと、少年は大きな声で2人に教えてやりたかった。
 しかし自分がもう小さな子供ではないと自覚している彼は、にっこり笑ってこう答える。
「自分が選んだ人でしょうシリウス?文句を言っちゃ駄目だよ」


子供にこんな気を遣わせて……。
逆さまにしたホウキでばしばし
叩いてやりたいですよもう。
2003/06/17

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