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 少年の頃、彼等は明るい陽の下の校庭で、夜の闇の中で沢山の空想の話をした。その物語の中ではジェームズがジャングルの中で新種の猿を求めて大冒険を繰り広げたり、シリウスが何故かアストロノーツになっていて太陽系外の惑星で緑色の生物相手に闘ったりしていた。中でも彼等が気に入ったのは腕利きの闇祓いになった自分達だった。名前を変え、姿を隠し、命懸けの任務を遂行する。側には可憐な恋人。彼女を庇いながら危険な旅は続くのだった。
「考えてみれば私達は子供の頃の夢を実現している」
 ある日愕然としてルーピンはそう呟いた。
「夢?」
「闇祓いでこそないが、姿を隠して危険な任務を遂行している」
 ルーピンは細かい説明を面倒に思ってかなり省略をしたが、シリウスの記憶力は最新式の図書館並のスピードで該当の個所のセリフを思い出す。
「可憐……」
 おそらく後に続いたのは「……な恋人」という言葉だったのだろう。しかしシリウスはその瞬間激しく吹き出し体をくの字にして火がついたように笑ったので、もうとても喋れるような状態ではなかった。
 同じ記憶を共有する友人であるところのルーピンも、屋根の雪が地面に落ちるようにドサリと椅子から落ちて笑っていた。
 相手がのたうち回って笑っている様子すら可笑しいらしく、2人はお互いから目を逸らすようにして、小さく詫びながら、それでもずっと笑っていた。



君ら相手に対して失礼だろう……。
2003/04/18



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