124



「だからどうしてお前は俺からのプレゼントを嫌う」
「以前も言っただろう。男2人が一緒に暮らしていて、互いにプレゼントをし合うのは不毛だと」
「じゃあお前は俺に物を贈らなければいいじゃないか。俺が好きにプレゼントをする分には構わないだろう?」
「そんなのは……」
「何だ」
「うーん、不公平な気がする」
「気にするな。俺がいいと言っているんだ」
「……私だって君にプレゼントを贈りたくない訳ではないんだ。ただ……」
「ただ?」
「どうにも敵わなくて」
「え?何に」
「君に」
「待てリーマス。何の勝負だ」
「呆れた事に、君にはプレゼントを選ぶ才能まである」
「そんなものに才能のあるなしは関係ないだろう」
「あるよ。君のプレゼントは完璧すぎる。まずはその記憶力だね。例え十何年前であっても私が言った言葉を覚えている。私本人が忘れているような大昔の話を覚えていて、その内容に即したプレゼントをくれる。それに加えて趣味がいい。ケチのつけどころがない。予算も無限大だ。洒落た店を知っていて、なぜか流行にも無頓着ではない。贈り方もスマートだ。」
「……いくら何でもそれは褒めすぎじゃないか?」
「君からのプレゼントは貰ってからも、ずっと幸せな気持ちが続く」
「……光栄です」
「しかし私が贈り物をする段になると、どうしても比較をしてしまう。どうにも見劣りがするようで」
「そんな事を気にしていたのか」
「気にしていた、という程でもないんだけど……」
「お前からのプレゼントは、試行錯誤の跡が見えるのがたまらなく俺は好きなんだが」
「何だか私が望んでいる喜ばれ方とは少し違うようだ」
「以前なんて(笑う)……」
「いま何を思い出した?」
「いいや、何も」
「笑ったじゃないか」
「笑ってません教授」
「笑ったね。さあ、言いたまえ。私の贈った何を思い出して笑ったのかな?」
「そんな失礼な事はしません。それ以上近付くと話し合い以外の事が始まると思いますが?教授」
「・・・・・・(7歩遠のく)」
「そんなに離れなくても」
「……いっそ君へのプレゼントを君に選んでもらうというのも良いかもしれないね。そうしたら私は気が楽だ」
「それは反則だろう。プレゼントを開いたときの驚きも、プレゼントのうちの1つだ」
「じゃあ参考にするから、君の今いちばん欲しいものを教えてくれ。私が君の膝の上に乗るとかそういう事ではなく、何か物品で」
「そうだな。お前の脱いだ下着であるとか」
「!!・・・・・・・・・・・・・・」
「待ってくれリーマス。冗談だ」
「冗談か!」
「当たり前だ!なんて顔をするんだ」
「いや、だって……。どんな顔をしていたんだろう」
「溶けかけたスノーマンのような……」
「ああ、そうだろうね。気持ち的にはそんな感じだった」
「お前は俺をそういう男だと思っているのか」
「まあ、私の予想の及ばない男だとは思っている。シリウス、私達はもういい歳なんだから、心臓に悪いジョークはやめないか?」
「侮辱だ。お前の下着を貰って俺がどうするって言うんだ」
「そんなのは私の想像を超えているよ」
「……それでもし今のが冗談じゃなかったら、お前はどうしたんだ」
「・・・・・・」
「また顔が溶けてるぞ」
「君が……すごく……喜ぶなら……」
「ふん。脱いで贈ったと?」
「……やっぱり今後この家の中で一切の贈答品は禁止だ。ハリー宛以外」
「!!だから冗談だと言っている!!」
「禁止だから」
「リーマス!!」





もうすぐ先生の誕生日ですねー。

2005.08.25 up
2006.02.21 再up