骨髄異型性症候群(MDS)は造血幹細胞の質的異状によって血球産生に異状が起きる病気と考えられています。 したがって骨髄には異型のある造血細胞を認め(右図)、多くの例では末梢血で汎血球減少をきたす事が多いために、 貧血による症状、血小板減少による出血症状、また好中球減少による発熱(感染症)などが出現します。しかしほとんど無症状の人から、 急性白血病と同じ症状を示す人まで幅広く見られます。
おもに芽球の割合(%)によって5型に分けられています。
RA(不応性貧血)
RAPS(環状鉄芽球を伴う不応性貧血)
RAEB(芽球増加(5-20%)を伴う不応性貧血)
RAEB-T(急性白血病になりかかっている)
CMMoL(慢性骨髄単球性白血病)
に分けられています。
平成5年度の特発性造血障害調査研究班によって調べられた病型別の生存曲線を示します(右図)。RA、RARS50%生存が5年近くありますが、その他の病型では5年で20%以下の生存となっています。
いろいろ化学療法が試みられてきましたが、客観的に有効性が認められている治療法はまだ報告されていません。したがって補助療法が中心となります。重症の貧血、血小板減少に対する成分輸血と、好中球減少に伴う感染症にG−CSFと抗生剤投与があります。頻回の輸血や、感染を繰り返す患者さんには造血幹細胞移植を考える必要があります。