Ogre Battle Original

 

 

Chapter 1−13

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音夢 「嘘・・・」

斉藤 「ほう、相沢が」

秋葉 「離反・・・ですって?」

突然の知らせは、十三騎士団会議室に衝撃をもたらした。
それこそ、ルベリア侵攻の知らせの時よりも大きな衝撃を。

シュテル 「まさか・・・あの男が・・・・・・」

相沢祐一。
11歳で副長、13歳で当時最年少の隊長に昇格した天才。
つかみ所がなく、普段は一見不真面目だが、実力は高く、多くの者から信頼を集めている存在であった。
それゆえに彼を疎ましく思っている者もいたが、ほとんどの隊長格は祐一に敬意をもって接している。

バルドル 「くっくっく、そうか裏切りやがったか、あの野郎が」

少数派の一人たるバルドルは、逆にその報を聞いて笑っていた。

音夢 「信じられません! 確かにあの人は、いつもふざけてて、いい加減な態度の困った人でしたけど・・・尊敬に値する人でした!」

秋葉 「確かに・・・彼が裏切るなんて、考えられません・・・」

バルドル 「だが事実だろうが。奴は裏切りもんなんだよ、くっくっく!」

ライカール 「そうですね、事実は変えようがありませんか」

反祐一側のバルドルとライカール、逆に祐一を師事する音夢や秋葉らとの間で火花が飛び散る。
元から仲の悪いこの面々であるが、祐一に関する見解が加わっていつも以上に険悪になっていた。

バキィッ!

彼らを黙らせたのは、会議室中に響き渡ったテーブルをたたき割る音だった。
全員がその音がした方向、エリスの席に目を向ける。

エリス 「・・・あんた達、少し黙ってなさいっ」

苛立ちを一切隠さないエリスは、全身から殺気にも近い気を発していた。
さすがの隊長格達もそに圧され、押し黙る。
静かになったところで、総司令のジークフリードが咳払いをする。

ジーク 「・・・相沢の件は追手を差し向けるとして、今は後回しだ。まずは、協定を破って領域を侵したルベリアへの対処について話す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

往人 「・・・・・・」

美凪 「・・・どうしました?」

人気のない場所で手にした紙片に目を通していた往人の隣に美凪が並ぶ。
往人が手にしているのは、つい先ほど祐一から届いたものだった。

往人 「訳あって追われる身になった、しばらく姿をくらますが心配するな。だそうだ。別に心配はしちゃいないが・・・」

細かい事情についてはまったく書かれていない。
いつもながら一方的な内容だった。

美凪 「・・・報酬が心配ですね」

往人 「それだ。あいつがどうなろうと知ったことじゃないが、約束の報酬は払ってもらわんと困る」

十三騎士団を離反したという状態で果たして残りの報酬がしっかり出るのかどうか。

みちる 「どしたの?」

往人 「ガキには関係ないことだ」

みちる 「誰がガキだー!」

バキィッ

鋭い蹴りが往人の側頭部を捉え、その身を地面に沈める。

美凪 「・・・ひさびさ」

往人 「しばらくぶりに、効いたぜ・・・」

少しの間痙攣していた往人は、ダルマのように起き上がるとみちるの頭上にチョップを落とす。

ズビシッ

みちる 「んにゅごわっ」

往人 「何にしても、騒がしくなってきたな」

ルベリアによるヴェルサリア侵攻。
最初に浩平達の仲間になった時にその可能性については聞かされていた。
そのルベリアが今回の婚姻に際してフローラ王女を狙っていたこと、そして先の王女誘拐未遂はそれを防ぐために計画したものであると。

みちる 「何かっこつけてんだー」

ドゴッ

アッパーを放つと見せかけて腹部に向かって蹴り。
ぐぅの音も出ないまま往人は腹を押さえてうずくまる。

みちる 「ざまーみろ!」

往人 「・・・人が真面目な話してんのに茶々入れんなこのガキ!」

ビシッ ビシッ

みちる 「んにょがっ、んにゃがっ」

美凪 「・・・私達は、どうしますか?」

往人 「今までと変わらん。依頼人が何も言ってこないんだから、このまま折原達に手を貸すさ。あいつらがどう動くかは知らないがな」

反貴族主義を唱えてはいるが、血が流れることを嫌っている浩平。
だが、戦争が始まればそれも見果てぬ夢となる。
この事態を、彼はどう思っているのか。

みちる 「みちるは、戦争に手を貸すのはいやだ」

往人 「俺もそれはごめんだね。あれは昔でこりごりだ」

美凪 「・・・国崎さんは、昔戦争を経験したことがあるのですか?」

往人 「ああ、おまえらと出会うよりも前のことだ。今思い返せば、何を好き好んであんな場所へ行ったんだか」

往人の記憶に残る戦場は、まさに地獄だった。
表向きは主義主張や正義がどうしたと大義名分が飛び交っているが、前線の兵士にとってのあれは華やかなものでは決してない。
雑兵にあるのは、生きるか死ぬか、殺すか殺されるか、それだけだった。

往人 「だが望む望まないに関わらず、ここにいれば戦争に巻き込まれるだろうな」

みちる 「んに〜」

美凪 「・・・・・・」

 

ヴェルサリアは動乱の渦の中に落ちていく・・・。

それを望まぬ者がいるとしても、時代は確実に戦乱を求めていた・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Chapter 1  End

 

To be continued on Chapter 2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

あとがき

とりあえず、チャプター1終了であります。
なにやらもう、誰が主人公だかよくわからない展開だったような気もしますが、たぶん主役は往人君です。ついでダ・カーポの面々。そして祐一君は腹黒いです。
まずは物語の導入部ということで、最後になってようやく主要キャラが出揃ったという感じになってます。
つづきは・・・・・・つづきは・・・・・・・・・いつになるだろう?