はじめに(言い訳というか蛇足というか公開停止とリメイク再開に関するあれこれ云々・・・)

まず、前のバージョンを読んで期待してくれた方、ありがとうプラスおまたせして申し訳ない。
期待しなかった方、またはじめて申し訳ない。
また、リメイクに伴い、前バージョン(といってもプロローグだけでしたが)とはがらりと雰囲気が変わっているかと思いますが、本人的の全体構想に大きな変化はなかったりするのです。ただ前のままだと、はちゃめちゃに強い奴らが圧倒的パワーで暴れまくるという、デモンバスターズと全然変わらない形になってしまい、この物語で描きたいテーマに合わないと思ったための主役変更となった次第ですので・・・。
公開停止とリメイクについては、上記のような理由で納得のいく出来でなかったためと、タクティクス・オウガのクロス物としては不適切であるとの指摘を受けたためで、色々と構想の見直しをしたためでした。で、結論としてこの物語は、なんとなくオウガバトルの雰囲気に似ているけれど全然関係ない完全オリジナルファンタジー (いや完全というのはおかしいか・・・)、ということになりました。ゆえに、一部設定やら魔法名やら地名を使用していますが、オウガバトルシリーズとの関連性は、一切ありません。じゃタイトル変えろということになりそうですが、まぁ、前の名残ということで。
では今度こそ、デモンバスターズとは一味違ったシリアスタッチ(?)な物語をどうぞ。

ちなみに、主な出演者はこちら・・・

Kanon
 相沢祐一
 美坂栞
 美坂香里
 北川潤
 川澄舞
 倉田佐祐理
 倉田一弥
 久瀬
 斉藤(?既にカノンキャラじゃねぇ・・・)

AIR
 国崎往人(今回は主役だ?)
 遠野美凪
 みちる

ONE
 折原浩平
 川名みさき

水夏
 上代蒼司
 白河さやか

ダ・カーポ
 朝倉純一
 朝倉音夢
 天枷美春
 白河ことり
 芳乃さくら
 杉並

月姫
 遠野秋葉
 琥珀
 三澤羽居
 月姫蒼香

平安京オリジナル
 エリス・ヴェイン(デモンやリレーSSでおなじみ)
 その他大勢・・・


 

Ogre Battle Original

 

 

プロローグ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は法暦728年――。

戦乱は既に過去のものとなり、人々は表向き平穏な日々の中にいた。

だが、争いの火種は、常に水面下でくすぶっている。

今この時も、どこかで・・・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青年 「さて皆の衆、とくとご覧あれ。ここに倒れている人形、種も仕掛けもないただの人形だ」

街の広場で、一人の男が地面に置いた人形を指差しながら語っている。
置かれているのは、かなり使い古されたボロ布の人形である。
本人の言うとおり、種も仕掛けもあるようには見えない。

青年 「ところが・・・ほれ」

そこへ男、背の高い銀髪の男が手をかざすと、不思議なことに人形がひとりでに動き始めた。
観衆の中から僅かだが感嘆の声が上がる。
客の反応に気をよくした青年は、さらにその人形を左右へと歩かせ始める。

青年 「さあ、どうだ」

人形は青年のいる場所からかなり離れても自然に動き続け、客の目の前をぐるりと廻ってもとの場所まで戻ってきた。

「・・・・・・・・・」

青年 「・・・・・・」

一転して沈黙が訪れる。
青年の方は隠そうとはしているものの顔の端から滲み出ている物欲しそうな表情。
客の方はそれからどうなるのかという期待と不安の眼差し。
そんな両者の思惑が微妙にすれ違いながら交叉し、やがて・・・・・・。

「さあさあご覧あれ、こっちの男が火を吹くよー」

「おおおお!!」

別の声が広場に響くと、観衆は一気にそっちへ押し寄せ、青年の前は一瞬にして閑散とした。

青年 「・・・・・・ぉ・・・」

「おお、若いの。ええものを見せてもろうた。これをやろう」

よぼよぼの爺さんが何故か栓抜きを置いていく。

「おい、これやるよ」

生意気そうな子供が瓶の栓を置いていく。

少女 「・・・どうぞ」

最後に一人の少女が瓶を持ってくる。

青年 「・・・・・・これで俺にどうしろと?」

少女 「・・・・・・・・・元に戻して・・・」

外れた栓を、少女が起用に瓶に戻す。
そして栓抜きでそれを再び外す。

少女 「・・・開けてみましたとさ」

青年 「そうか、よかったな・・・」

少女 「・・・・・・ぽ」

どうしてだか赤くなる少女と、意気消沈する青年。

青年 「だぁーーー! やぁってられるかぁーーー・・・・」少女2号「バッカやろぉーーーーーーー!!!!!」

ズグァーーーーーン!!!!!

少女 「・・・・・・」

わかりやすく状況を説明すると。
声を張り上げて勢いよく立ち上がった青年の脳天に、真上からほぼ同時に飛び上がった小さな少女のかかと落としが見事に決まり、あまりに見事すぎたために少女の方もバランスを崩し、結果二人ともに地面に沈んだのであった。

「おおおお!!!!」

そして何故かその大ボケが受けたのか、今日この広場で一番の歓声が起こり、おひねりが投げ込まれる。
目を回して倒れている青年と小さな少女には構わず、背の高い方の少女は小銭を集めて廻る。

大陸西の国、ヴェルサリアの首都カザフの広場での出来事であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

往人 「いってぇ・・・・・・」

先ほど広場で人形を動かしていた青年、名を国崎往人という。
頭にできたたんこぶを水で冷やしているところだった。

みちる 「なーにが、稼ぐのは任せとけ、だ。全然だめじゃないか、バカ国崎往人」

飛びかかと落としを決めたツインテールの小さな少女は、遠野みちる。

美凪 「・・・結果おーらい」

最後に、満足げに集めたお金を勘定している背の高い少女が、遠野美凪。
彼らは、旅人であった。

 

 

 

みちる 「だいたい、国崎往人の芸がつまんないのは今さらだよ」

往人 「何言ってやがる、今まで散々これで稼いだろうが。都会の人間が冷たいんだよ」

40センチ近い身長差がある二人が密着してにらみ合うと、往人はほとんど真下を、みちるは真上を見る形になる。
首が疲れそうだなぁ、などと端から見ている美凪は思いながらも口には出さずにいた。
ちょうどそんな二人の姿が見ていて微笑ましいからである。

・・・・・・ドタバタ

美凪 「・・・?」

言い合いを続ける二人を見ていた美凪は、ふと遠くから数人の足音が聞きつけてそちらを向く。
音の感じからして、武装した人間達のようだが、三人のいる方へ向かってきていた。
安宿なので、近付くとはっきりその音が聞き取れるが、言い合いに夢中な二人は気付いていない。

往人 「このクソガキは人をどうこう言う前にてめぇで稼いだことあんのか!」

みちる 「そっちこそいい大人のくせして全然稼げないで情けないぞー!」

バンッ!

兵士 「怪しげな術を使う人相の悪い男がいるというのはここか!」

おそらくは足音の主と思われる数人の兵士達が扉を開けて中に入ってくる。

みちる 「にんそうの悪い男ならここにいるよ」

往人 「誰が人相が悪い! 大体怪しげな術とは何だ! これでも俺の国では由緒正しい・・・」

抗議する往人の周りは、あっという間に兵士達に囲まれ、取り押さえられて縄を打たれる。

往人 「・・・って、何事だ!?」

兵士 「申し開きはあとでゆっくり聞いてやる」

往人 「おいおいおい、俺が何したってんだよ!? なんとか言え、美凪、みちる!」

みちる 「国崎往人・・・・・・いつかはこうなると思ってたよ」

美凪 「・・・監獄の中でも、お元気で」

二人の連れは、冷たかった。

兵士 「女どももひったてろ!」

が、兵士達は容赦なく、二人にも縄を打つ。

みちる 「にょわっ、何すんだー!」

美凪 「・・・やはり、こうなりましたか」

みちる 「って、どういうこと美凪!?」

美凪 「・・・実はこの間・・・二人の分のケーキを私が・・・」

往人 「無いと思ったらおまえかー!?」

みちる 「み、みちるのケーキーーー!」

兵士 「ええい、やかましい!! とっとと連れて行け!」

往人、美凪、みちるの三人は、突如としてやってきた兵士達によって城へと連れて行かれた。
物語の幕開けは、主人公達が投獄されるという形によって始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カザフ城内――西の塔。

現在、ヴェルサリア王の座は空位であった。
政治は国の重鎮たるシュタインと遠野の二家による合同で行われているが、早急な王位継承を求める声も強い。
だが、王位継承権の持ち主はいずれもまだ幼く、第一継承権を持つフローラ姫も、今年で14歳になったばかりであった。

ここ西の塔は、そのフローラ姫の部屋がある場所である。

フローラ 「・・・あ・・・・・・」

?? 「まだ起きてたの」

バルコニーから空を見上げていたフローラの後ろに、音もなく一人の少女が現れる。
どう見てもまだ子供と思えるほど小柄であるが、表情はとても大人びていた。

フローラ 「エリス・・・」

エリス 「いつまでもそんなところにいたら、風邪ひくわよ」

フローラ 「うん、ありがとう」

そう言いながら、フローラはまた空を見上げる。
雲はなく、今夜は星がよく見えた。

フローラ 「・・・・・・星が・・・」

エリス 「何かあるの?」

フローラ 「わからない・・・でも、よくないことが起こりそうな、そんな気がして・・・不安になる」

エリス 「心配しなくても、あんたはアタシが護るわ。何があってもね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

首都から少し離れた郊外の丘で、同じように空を見上げている少女がいた。
黒い服に、白い帽子をかぶった髪の長い少女は、名を白河さやかという。
スイカをこよなく愛するという、その筋ではそこそこ名の通っているらしい絵描きにして魔女である。

さやか 「凶星、か。果たしてそれは、誰にとってのものなのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく