デモンバスターズUltimate

 

  −1.5−

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さやか 「さやかで〜す♪」

ヘル 「・・・ヘルです」

イシス 「イシスです」

ミド 「どうも、ミドガルズオルムと言います。長くて言いづらいでしょうから、ミドで構いません」

「「「・・・・・・」」」

ミド 「あれ? どうしました、みなさん。そんな水族館でコアラを見たような顔をして」

ヘル 「それ、とても分かりづらいわ、ミド」

さやか 「いや〜、一人だけ男の人だし、ちょっと違和感が・・・」

イシス 「この場合、四人目はエリスだと思うのだけど・・・」

さやか 「まぁ、エリスちゃんはねぇ。ヘルちゃんとミド君とは相性悪そうだし」

イシス 「そうね。それで、私達はここで一体何を話せばいいの?」

さやか 「何でも、今後のために魔界の情勢を分かりやすく説明しろ、だって」

イシス 「どうしてそんなことわざわざ・・・?」

ヘル 「・・・時間稼ぎ」

さやか 「だめだよ、ヘルちゃん。作者さんがなかなか執筆が進まないから、とりあえず何か書いて誤魔化そうとしてるなんて、口が裂けても絶対言っちゃいけないよ」

ミド 「思いっきり言っちゃってますねぇ、さやかさん」

さやか 「あ・・・」

イシス 「はぁ・・・。まぁ、そういう話は置いておいて、魔界の情勢でしたね。といっても、至って単純なものなのだけど」

ヘル 「真魔の血脈を頭に抱く勢力がたくさんある・・・終わり」

さやか 「ほんと単純・・・というか味気なさすぎ」

イシス 「けれど実際、その通りなのよ。そしてどこの勢力も、上下の力の差が大きすぎて、トップの魔神によるワンマンアーミー」

ミド 「つまり、魔界の勢力=真魔の血脈、ということになりますね」

さやか 「ふ〜ん。じゃあもう、主だった真魔の血脈を紹介して終わり!」

イシス 「適当な・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔界公爵アシュタロス

 

さやか 「バベルの塔での戦いでおなじみの人だね。美しく、が口癖のナルシストさん」

ヘル 「・・・綺麗なひと・・・」

ミド 「ですが、強いと聞きますね。おそらく現時点において、間違いなく魔界最強の一人だと思われます」

イシス 「強いのは知っているわ。でも実際には、あの方が本気で戦っている姿を見たひとはいないそうよ」

さやか 「謎多き魔神、か・・・。祐一君はこのひとのこと、結構買ってたよね」

イシス 「この先、祐様の最大の宿敵になるのでしょうね・・・おそらく」

 

 

 

 

 

獣魔王ベリアル

 

さやか 「このひとも説明不要だね。結局豹雨さんとの勝負がどうなったのかはわからないけど、魔界に戻ってきてるみたいだし、また祐一君を狙ってくるのかな?」

イシス 「かもしれないわね。性格は粗野で好戦的・・・祐様とは幾度も戦っていました」

ミド 「ある意味では、典型的な魔神と言えますね。基本的に魔神は好戦的で、戦いを好む種族ですから」

ヘル 「このひとも・・・強い」

イシス 「ええ、強いわ。もっとも、祐様に勝った事は一度もないけれど」

さやか 「だからこそ、祐一君を目の敵にしてるわけだ」

 

 

 

 

 

 

アスモデウス

 

さやか 「このひとは、どんなひと?」

ミド 「魔界一の剣豪、と聞いています」

イシス 「魔界一かどうかはわからないけど、確かに凄腕の剣の使い手らしいわ。あと兄上から、物静かな方だと」

ミド 「領土的野心はなく、彼の勢力は彼の強さに惹かれて集まった武闘派集団らしいですよ。それで常に強い敵を求めて魔界中を動き回っているとか」

ヘル 「・・・無頼」

さやか 「本質的にはベリアルと同じみたいだね。こっちの方が紳士的っぽい印象があるけど。ベリアルはただの暴れん坊、こっちは決闘者、って感じかな」

イシス 「確かに。ベリアルは祐様と戦う以外にも、手当たり次第に破壊を行うようなところもあるから」

 

 

 

 

 

 

ハデス

 

ヘル 「私達と、同じ力の持ち主」

さやか 「このひとがそっか。私、ヘルちゃんと同じ、天地魔の三界においてはたった三人しかいない、冥界の力、冥力の使い手。ヘルちゃんは会ったことある?」

ヘル 「・・・・・・変な人」

さやか 「ほぇ?」

ミド 「変わり者とはよく聞きますね。まぁ、変わり者という点では僕達の父君も同じですが、この方の場合はもう少し違った感じの・・・」

ヘル 「優男、気障、かっこつけ、口達者、軽薄」

さやか 「もしかしてヘルちゃん、このひとのこと嫌い?」

ヘル 「・・・・・・・・・」

イシス 「あまり良い評判は聞かないけれど、同時に悪い評判もあまり聞かない・・・アシュタロス以上に謎の多い存在ね」

さやか 「なるほどね〜。これまた癖の強そうなひとだね」

 

 

 

 

 

 

オシリス

 

イシス 「言わずもがな、私の兄上よ」

さやか 「だね。でも説明不要に見えて、このひとのこともあんまりよく知らないんだけど。戦ってるところも見たことないし、基本的に寡黙だから自分のことも語らないし」

イシス 「兄上は強いわ」

さやか 「あ、お兄ちゃん子の意見は聞いてないから」

イシス 「誰がブラコンよ!」

さやか 「あ、自分で言うってことは自覚あり?」

イシス 「むぅ・・・!」

ミド 「けれど、かつては闘神祐漸、最近では四魔聖といった強者が常に傍らに置いていたことから、彼らに信頼されている存在だったとは聞いています」

ヘル 「・・・強者の腰巾着とも・・・」

イシス 「兄上はそんなひとじゃない!」

さやか 「まぁまぁ、喧嘩しないの。とりあえずわかるのは、彼が自らトップに立つのではなく、誰かのナンバー2として力を振るうタイプだってこと」

ミド 「ですね」

さやか 「実際どれくらい強いのかは、そのうち祐一君に聞くとしよっか」

 

 

 

 

 

 

ガネーシャ

 

ミド 「四魔聖、さらには闘神祐漸の時代よりさらに前、魔界の東西それぞれの地方で有名になった魔神がそれぞれ三人ずついました。西にアシュタロス、ベリアル、アスモデウス・・・東にシヴァ、ガネーシャ、阿修羅王」

さやか 「シヴァ・・・あのひとと同格の魔神か〜」

イシス 「会った事はないけれど、あまり良い評判は聞かないひとよ。高圧的で、何より自分より弱い相手としか戦わないタイプだって・・・」

さやか 「小物なんだ。でも、実力はあるから質が悪い、と」

ヘル 「本当に強いひとは、小物は相手にしない・・・。前に、兄様が言っていたわ」

イシス 「あのひとは・・・そう言いそうね」

さやか 「フェンリルか〜。そういえば私は、話はたくさん聞いてたけどちゃんと会ったことはなかったっけかな?」

ヘル 「兄様は・・・怖いひと・・・」

ミド 「同じ兄弟でも、違うと感じさせられますよ。少なくとも、力においては、この世で並ぶ者無しでしょう」

イシス 「今思い返せば、あんなものまで御そうと考えていた四魔聖と兄上達も無茶をしたものね・・・」

さやか 「というか話がすっかり逸れてるね。要するにガネーシャっていうのは嫌われ者、ってことで」

 

 

 

 

 

 

ケルベロス

 

さやか 「地獄の番犬・・・名前だけなら地上でも有名だね」

ヘル 「知ってるわ。兄様に何度か挑んできたことがあるから」

ミド 「それで生き延びているのですから、この方も並大抵の存在ではありませんよ」

イシス 「フェンリル、魔竜王と二大魔獣と呼ぶなら、三番手に位置すると言っても過言ではない魔獣よ」

さやか 「そういえば、このひとみたいに獣型の魔神もいるけど、ほとんどのひとが人型だよね。なんでだろ?」

ヘル 「それは・・・」

ミド 「またいずれ、語られることもあるでしょう」

 

 

 

 

 

 

阿修羅王

 

さやか 「さっきも話に出たけど、どんなひとなの?」

イシス 「女性の方よ。聡明な方だけれど、中身は結構好戦的。たぶん、ベリアルの次に祐様と多く戦ったことのある魔神ね」

さやか 「へぇ、祐一君の古い知り合いなんだ。で、イシスちゃんはどうしてそんな苦虫を飲み込んだような顔してるの?」

ヘル 「・・・苦虫を、噛み潰した・・・」

イシス 「別に・・・。良い方よ、あのひとは」

さやか 「・・・・・・」

イシス 「ただ・・・あの方が祐様と戦う時いつも、「私が勝ったら私のものになれ」って言うから・・・」

さやか 「あ〜、なるほどね」

ヘル 「やきもち」

さやか 「綺麗なの?」

イシス 「とても美人よ。剣の腕も、アスモデウスと並び称されるほどの二刀の使い手で、祐様とも戦い以外の時は剣の話で盛り上がったり・・・」

さやか 「それはまた、油断ならない相手だね・・・」

ミド 「な、なんかお二方、顔が怖いですよ・・・」

ヘル 「(ガクガクブルブル)」

 

 

 

 

 

 

ロキ

 

ヘル 「父様」

ミド 「厳密には、真魔の血脈ではありません。けれど、数億年という月日を転生を繰り返して生きてきた方なので、その間には真魔の血を引いていたこともあるでしょうね」

さやか 「フェンリル、ヘルちゃん、ミド君のお父さんで、今私達がご厄介になってるお城の持ち主さん・・・そして、一体何を企んでいるんだろうね〜?」

イシス 「ほぼ全ての真魔が一目置く存在よ。不思議と、それだけの迫力があると、兄上も言っていた」

さやか 「本人も色々と謎が多い上に、三匹の子という最強のカードを持っている。他にも、古くから伝わる宝具とかもたくさんあるみたいだね」

ヘル 「さやか・・・いつの間にそんなことまで・・・?」

さやか 「んー、道に迷ってる間にちょっと宝物庫みたいなところに迷い込んで〜」

ミド 「え!? あそこ、鍵かかってませんでした?」

さやか 「かかってたような〜、かかってなかったような〜」

ミド 「うわぁ、もしかしてこの間掃除した時に閉め忘れた!?」

ヘル 「・・・ドジ」

ミド 「し、知られたら怒られるかも・・・父君はともかく、兄君に知られたら・・・」

ヘル 「お仕置きを口実にした苛めが・・・」

ミド 「ひぇ〜!」

イシス 「・・・・・・ほんとに、こんなひと達があのフェンリルと同じ血を引いているのかしら・・・?」

さやか 「不思議だよね〜。フェンリルは聞けば聞くほど、終末を導くって話も本当だろうって感じるけど、この二人からは全然想像できないよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さやか 「と、こんな感じで適当に有名どころらしい魔神を紹介してみたけど」

イシス 「実際に真魔の血脈と呼ばれる存在はまだまだたくさんいるわ。けど、最強の座を競っているのは、こんなところね。少し前まではこれに、シヴァ、ブラッド・ヴェイン、ルシファー、ベルゼブルが加わっていたのだけど」

さやか 「そう考えると、私達すっごいことやったんだよね」

イシス 「そうでしょうね。まぁ、祐様の成したことである以上、当然の結果だけれど」

さやか 「そんなこと言うわりには、サタンとの戦いでは随分心配してたよねぇ」

イシス 「あれは・・・だって・・・・・・」

ミド 「でも、こんな話をしてどうするんです?」

さやか 「まぁ、簡単だよ。これから魔界を制するために、祐一君とエリスちゃんが戦っていくべき相手の整理・・・ってところかな」

イシス 「大物だけでこんなにたくさん・・・・・・って、兄上は別に違うでしょ」

さやか 「さぁ、どうだろうね?」

ヘル 「魔神の本質は闘争。それは真理・・・抗いようのない、血の宿命・・・」

イシス 「・・・・・・」

さやか 「まぁ、先のことはわからないよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


あとがき

 決して時間稼ぎとかその場しのぎではない、と、思う・・・。この間話で大事なのは、今後敵として登場する魔神の簡単な紹介(本編では適当にスルーしたまま登場してる可能性があるゆえ)と、友人関係となった四人による雑談の雰囲気を描くということ。実際このような会話が交わされたかはさておき、彼女らの関係はこんな感じである、と。