デモンバスターズFINAL

 

 

第43話 最後の戦い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イシス 「無限の魔力・・・そんなのって・・・・・・」

サタンの猛攻は止まらない。
祐一にどれほど反撃の意志があっても、これでは身動き一つ取れない。

サタン 「貴様ぁぁぁっ、いつまで王たるこのオレに逆らうつもりだ! いい加減に死ねぇぃ!!!」

エリス 「!」

さやか 「エリスちゃんも気付いた?」

エリス 「ええ。あいつ、かなり情緒が不安定ね」

高笑いをしながら強者の優越感に浸っていたかと思えば、不必要に激昂してみせたりする。
まともな精神状態とは思われなかった。

エリス 「あいつは・・・・・・そう、そういうこと」

さやか 「だね」

イシス 「何を二人でわけのわからないことで納得してるのっ! このままじゃ祐様が!」

エリス 「だからあんたは少し黙ってなさい! それに、勝つ手段がないわけじゃないわ」

イシス 「え?」

さやか 「どんなにタンクが大きくても、蛇口の大きさには限界があるものだよ」

イシス 「それって・・・」

それは即ち、一度に扱える魔力の量には限界があるということだ。
例え強力な一撃を何発放てるとしても、一撃の威力そのものには上限がある。

エリス 「だから、例え一瞬でも、それを上回ることができれば」

 

 

 

ドドドドドドドドドドドッ!!!!!

 

 

 

祐一 「・・・・・・」

・・・チッ、さすがに目が霞んできやがった。
半分以上の攻撃は防いでいるとはいえ、これだけの数じゃダメージはひたすら蓄積されていく一方だ。
まぁ、お陰で奴のカラクリは大分読めてきた。
そして出た結論は、はっきり言って攻略法無し。
魔力供給の隙をつければと思ったが、そんなものはまるでない。
さすがは完全な生命体だという天使が反転した存在・・・その力も完全というわけか。

サタン 「ハハハハハハハハハハハッ!」

奴自身もそう確信してるんだろう。
自分は完全無欠だと。

祐一 「・・・その慢心が命取りだ」

サタンの力には隙がない。
だが、奴の心は隙だらけだ。

ブシュッ

祐一 「ぐっ!」

左肩に刺さったダインスレフを思い切り引き抜く。
激痛が走り、血も大量に吹き出すが構ってられない。
チャンスは一度、一瞬しかないんだからな。

祐一 「おらぁっ!!」

ブゥンッ!

抜いたダインスレフを逆手に持ち替え、サタンに向かって力いっぱい投げつける。

サタン 「何っ!?」

これにはさすがの奴も虚をつかれたようだな。
反応が僅かに遅れる。

奴が放っている魔力球が全て、あの剣を追尾するようになっていた。
だから、それをサタン目掛けて飛ばせば、一瞬だけ全ての攻撃は奴自身に返る。
そこが、勝機だ。

祐一 「くたばれっ、氷神烈壊!!」

投げつけたダインスレフを追うように、溜め込んだ魔力を一撃に込めて解き放つ。
俺自身と奴の魔力を束ねた特大の一撃だ。

サタン 「お・・・おぉぉぉおおおおおお!!!!」

激しい凍気の嵐が、サタンを飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

イシス 「やっ・・・た?」

エリス 「・・・・・・」

さやか 「・・・・・・」

固唾を呑んで見守っていた三人は、祐一の反撃決まってほっと一息つく。
これ以上ないタイミングで最高の一撃が入ったのだ。

さやか 「(これでダメなら・・・)」

エリス 「(・・・もう勝機はない)」

しかし、現実は無情だった。
白い雪煙の中から、サタンが姿を現す。

サタン 「フッ、少しだけびっくりしたぞ」

その身には、胸から肩にかけて大きな逆袈裟の傷がついていたが、既に再生を始めていた。
直撃には違いなかったが、致命傷にはなっていない。

イシス 「そ・・・んな・・・・・・」

さやか 「・・・あれで、倒しきれないなんて・・・」

エリス 「確実に倒すなら、あいつの再生能力を無効化するほどに畳み掛けないと・・・」

さやか 「だけど、祐一君にはもう・・・」

エリス 「・・・追い討ちをかけるだけの体力が残っていない・・・!」

彼女達とサタンの見ている前で、祐一は床に膝をつき、肩で激しく息をしていた。
左肩からの出血も激しく、誰が見てもこれ以上戦える状態ではない。

オシリス 「真魔の刻の影響も受け付けないほど消耗しているな」

真魔の刻においては、その血脈に連なる者は魔力の充実と、高い治癒能力を得ることができる。
今のサタンほどではないが、魔力の供給もされるため、限りなく無限に近い魔力と言える。
だがそれにも限界はあった。
それを超えれば、真魔の刻の影響はなくなる。
極限まで力を振り絞ったエリスとフェンリルの戦いでもそうであった。

オシリス 「これまでか・・・」

イシス 「・・・エリス、もう止めないで。祐様が逃げる間の時間稼ぎくらいなら!」

エリス 「ダメよ」

イシス 「エリス!」

エリス 「だってあいつは・・・まだ倒れてない!」

握り締めたエリスの拳からは、血が滴り落ちていた。
本当ならばイシスと同じように祐一を助けに出たい女としての自分を、必死に抑えているのだ。

さやか 「・・・・・・」

一方、さやかの方は他の二人よりも少しばかり冷静だった。
いざとなれば、かなり無茶だがこの場を切り抜ける秘策が彼女にはある。
冥界門を開き、その向こう側へ飛び込めば、この場から逃げることはできるのだ。
もちろんその場合、飛び込んだ先でどうなるかは保証できないが。

それは本当の本当に最後の手段だったが、必要な時が来れば、躊躇うことなくさやかはその手段を取る。
しかしさやかは、まだ祐一が勝つと信じていた。

さやか 「(君なら、絶対に勝てる)」

根拠などない。
それでも、そう強く信じられた。

その想いが届いたわけではあるまいが、祐一が呼吸が落ち着く。
ゆっくりと立ち上がった祐一の目は、まだまったく光が衰えていない。
それどころか、いつにも増して自信に満ちているようにさえ見えた。

祐一 「・・・ふぅ・・・これだけは使いたくなかったんだがな」

サタン 「何?」

祐一 「思った以上におまえの力がすごいからな、仕方ない。このデュランダルの真の力・・・見せてやるよ」

エリス 「デュランダルの・・・」

イシス 「真の力?」

エリス 「さやか、わかる?」

さやか 「ん・・・」

話を振られたさやかは顎に手を当てて考える。
見つめるその先には、祐一が手にする白みかかった透明な刀身がある。

さやか 「・・・わからないね」

エリス 「あんたでも?」

さやか 「あの剣は、周囲の魔力を吸い上げて、それを祐一君の魔力に変換することができるところまではわかる。だから・・・・・・あ!」

エリス 「周囲の魔力を吸い上げる?」

イシス 「それって、サタンと同じことができる・・・ということですか?」

エリス 「無茶だわそれはっ。こんな混沌とした魔力を・・・この塔に蓄えた魔力は、何十万、何百万の魔物を生贄にして集めたんでしょ・・・そいつらの怨念が染み込んでる。ドラゴンズハートがそうだったように、強い怨念のこもった魔力をまともな精神で扱えるわけがない!」

はじまりの魔竜王の怨念が染み込んだドラゴンズハートの魔力をエリスが扱えたのは、フェンリルを倒すという意志を共有したからであった。
そうでなければ、怨念に引きずられて暴走するだけだったろう。

エリス 「こんな魔力を扱えるのは・・・サタンだけよっ」

サタン 「・・・・・・くっくっく」

祐一の言葉を聞いて、またサタンが笑い出す。
そうしている間にも、先ほど付けられた傷はどんどん治癒していく。

サタン 「笑うしかないな。そんななまくらな剣の真の力などを見せたからこのオレに勝てるだと? はっはっは・・・・・・・・・ふざけんじゃねぇっ!!!」

笑っていたかと思えば、突然怒鳴り声を上げる。
その声に呼応するように、凄まじい魔力が吹き出した。
今までのそれを、さらに上回るほどに。

サタン 「このサタン様に勝てるだとっ!? いつまで思い上がってるつもりだ貴様ッ!!」

祐一 「思い上がってるのは、おまえだろう」

サタン 「!!!」

祐一 「焦るなよ。すぐに見せてやるから・・・・・・行くぞ、デュランダル」

剣を縦にして、顔の前で構える。
その状態で祐一は、静かに目を瞑る。
すぐに、膨大な量の魔力が集まりだした。

 

ゴォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!

 

魔力の流れが突風となり、目で見えるほどに吹き荒れる。
デュランダルを中心として、まるで台風であった。

祐一 「こぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・!!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・

力が集まるほどに塔が揺れ、祐一の周囲ではスパークも起こっていた。
それほどの力がどこにあったのか誰もが疑問に思うほどに強大な力が、祐一に集まっていく。

エリス 「何が・・・起こってるの?」

イシス 「いったい・・・・・・」

さやか 「・・・・・・・・・わかったかも」

イシス 「え?」

エリス 「わかったって?」

さやか 「感じない? この力の流れの出所」

エリス 「出所って・・・・・・・・・!」

ハッとしてエリスは自身の体を見下ろす。

さやか 「そう。祐一君は、私達の力を集めてるんだよ。私、エリスちゃん、イシスさん、オシリスさん・・・・・・それだけじゃない」

力の流れは、もっと広範囲に及んでいた。

オシリス 「祐の仲間・・・その全てか」

嵐は尚も激しくなる。
魔力がどんどん、祐一のもとに集まっているのだ。
まったく質の違う魔力は、デュランダルを通して祐一自身の魔力として変換されていく。

祐一 「・・・さーて」

尚も魔力を集め続けるデュランダルを、祐一は地面に突き立てる。
そこから自分の体を中心に、円を描くと、暖かい光が生まれ、祐一の身を包み込む。
すると、左肩をはじめ、傷がどんどん癒えていく。

さやか 「あれって・・・!」

エリス 「楓の最上級回復魔法!?」

体力を全快させた祐一は、集めた魔力を一気に全身から放出する。
そうすると、どれほどの量の魔力を集めたのかがよくわかった。
サタンのそれと同等か、それ以上の魔力が祐一の体から吹き出していた。

サタン 「ば・・・馬鹿・・・な・・・・・・」

悪い夢でも見ているような表情で、サタンが唸る。

祐一 「どうした、怖気づいたか?」

サタン 「け、消し飛ばしてくれるっ!!」

サタンが掌を祐一に向かって突き出す。
巨大な魔力波が放たれ、祐一に襲い掛かる。
先ほど、防御も回避もできなかったものをさらに上回る一撃である。
だが、今の祐一にとってはどちらも不可能ではなかった。

祐一 「玄武!!」

ズズンッ!

呼びかけに応じて、それは祐一の眼前に顕現した。
甲羅が盾となり、サタンの魔力波を弾く。

エリス 「神を召喚した!?」

さやか 「私の時と同じだね。今の祐一君ならこれくらいできるよ」

さらに、サタンの攻撃を完全に防いだ玄武の後ろから、白い影が疾走する。
猛スピードで突撃していったそれの爪が、サタンの身を引き裂いた。

サタン 「ぐぉぉぉ・・・こ、これは!?」

影の正体は、白毛の虎であった。
それこそ、四神の一角、白虎。
しかも、それだけではなかった。

グォオオオオ

天が鳴動しているかのような重厚な嘶きが頭上から響き、サタンは空を見上げる。
そこには、青い鱗の龍、青龍が牙を剥いていた。

エリス 「白虎に、青龍・・・四神を三体まで・・・・・・」

さやか 「ここまで来たら最後まで!」

甲高い鳴き声が響き渡る。
玄武の甲羅の上に乗った祐一が頭上に掲げた掌の先では、その身を炎に包んだ不死鳥が羽ばたいていた。

祐一 「行け、朱雀!!」

朱雀の炎が、サタンの全身を焼く。

イシス 「信じ・・・られない・・・・・・」

エリス 「四神召喚・・・確かに四神は本来一つの神だから、一つ召喚できれば他を呼び出せても不思議はないけど・・・だからって・・・・・・」

さやか 「もうはっきりしたね。さっきの回復魔法と言い、祐一君は魔力だけでなく、その相手の能力まで得てるんだよ」

 

 

 

ボォンッ!!

 

 

 

奴を包み込んだ朱雀の炎が四散する。
さすがに、これをまともに受けてもまだまだ堪えないか。

サタン 「貴様ぁ・・・・・・許さんぞっ!!」

サタンの姿が視界から消える。
圧倒的な超スピードは健在かよ。
だがおそらく、狙ってくるのは召喚した四神ではなく、俺自身。
対処はそんなに難しくない。

祐一 「どこから仕掛けても無駄だ」

きついの一発行くぜ。

祐一 「ブラッディ・プリズン」

 

ドドドシュッ!!!

 

サタン 「な・・・かはっ・・・!?」

さっき俺が流して飛び散っていた血が全て刃となって辺りを包み込む。
アルドの奴が見せたえげつない技だが、敵味方問わず全方向広範囲を攻撃するにはもってこいだ。
例えサタンが高速移動をしていても、これだけの数の血の刃をかわすことはできない。

サタン 「お、おのれぇっ!」

全身を串刺しにされても、まだ堪えないか。
ならば。

祐一 「青龍!」

血の檻から抜け出したサタンに向かって、青龍がその巨大な口を開く。

祐一 「龍気砲!!」

ドォォォンッ!!!

サタン 「ぬぉおおおおおおっ!!」

特大の一撃を受けて、サタンが吹っ飛ぶ。
だがそれでもめげずに、猛烈な勢いで仕掛けてくる。

サタン 「死ねぇぇぇ!!」

ブゥンッ!

その攻撃は空を切る。
いや、正しくは俺の残像を切った形になるのか。

祐一 「残念だな。それは影だ」

ザシュッ!

背後に回りこんだ俺の斬撃がサタンの背中を切り裂く。
怯んだサタンに対して玄武が体当たりを喰らわし、吹っ飛んだところに白虎が追い討ちをかける。

祐一 「おっと、忘れ物だ」

俺が斬り付けた際、ダインスレフを落としていっていた。
それを拾い上げ、逆手に持って振りかぶる。
さっきみたいにただ投げ返すわけじゃない。

今使ったのは郁未の技、それに舞の剣技。
さらにこいつはイシス、そしてオシリスの必殺技・・・。

祐一 「ライトニングストライク!!」

 

ドォォォンッ!!!

 

魔力をいっぱいに込めて投擲した剣は雷の一撃となり、サタンを貫いた。

サタン 「がはぁっ・・・!」

これだけやれば、さすがの奴でもダメージが出てくるだろう。

サタン 「こ、こんなものがぁ・・・・・・!」

ズンッ!

地響きとともに、サタンの足下から巨大な板のようなものが現れる。
朱雀と白虎がそれに対して仕掛けるが、完全に攻撃を弾かれた。

サタン 「ふははははは、無駄だ! この盾はバベルの塔の外壁、そして魔門と同じ呪法で作られているのだ。貴様や地上の神ごときの力で破れるものか!!」

なるほど、そういうことか。
どう見てもただの板で、盾には見えないんだが。
何にしても・・・。

祐一 「馬鹿かおまえは。一度破られたものをご大層に持ち出してくるなんざ、三流のやることだ」

振りかぶった剣の先に、黒い炎を生み出す。

祐一 「ヘル・ブレイズ」

三本の黒い炎が床を走り、鉄壁のはずの盾をいとも容易く砕いた。
崩れ落ちる盾を前に、サタンは呆然とした表情で佇んでいた。

 

 

 

エリス 「楓にアルド、郁未に舞、さらにはイシスとオシリス・・・」

さやか 「その上まさか、私の技まで真似されちゃうなんてね」

イシス 「すごい・・・祐様」

 

 

 

サタン 「おのれ! おのれ! おのれぇ!! 馬鹿な! 馬鹿な!! 貴様などにっ、貴様なんかにぃっ!! このサタン様が負けるはずがないっ!!!」

今までで最大の、おそらくサタンにとって正真正銘本気の魔力波が放たれる。
ここまでくるとさしもの玄武でも防ぎきれないか。
それほどとんでもない威力だ。

祐一 「まともに喰らったらただじゃ済まないな。だったら・・・」

相殺・・・いや、押し返す。

祐一 「サタン、確かにおまえの力は凄まじい。この一撃なんかフェンリル以上だろうが・・・まるで洗練されていない」

どれほど強大でも、質が伴ってなければ意味がない。

祐一 「本当に洗練された力っていうのは・・・こういうものだ!!!」

十二分に溜め込んだ力を解放する。
俺のその一撃はサタンの魔力波を止め、さらにそれを貫いていった。

 

 

 

ドォォォォォォォォォォンッ!!!!!

 

 

 

さやか 「これって、ドラゴンブレス!」

エリス 「!!」

 

 

 

渾身の一撃も返され、サタンは心身ともに打ちのめされていた。

意味がわからなかった。

己に敵う存在などいるわけがないのだ。

真魔王サタンは、神も魔も凌駕し、全ての者の頂点に立つはずだった。

それが存在意義であるのだ。

 

 

 

・・・・・・なんのために?

 

 

 

サタン 「!!?」

祐一 「わかったか、サタン。おまえには戦いに賭ける確固たる信念がない。どれほど大きな力を持とうと、そんな奴は強くなんかない」

サタン 「・・・・・・では・・・貴様は何だ? 何故それほどの力を持っている!?」

祐一 「これは俺の力じゃねぇ。俺が今まで出会い、ともに戦ってきた仲間達の力だ。そいつらと俺は、時に助け合い、時に競い合って、この世界で一番強い奴になってやろうって戦い続けてきた。仲間達と俺自身のために戦い続けることが俺の信念だ」

サタン 「戦い続ける・・・信念・・・・・・」

祐一 「それが俺の、生きるってことでもある」

サタン 「・・・生きる・・・・・・?」

祐一 「おまえは、それを失くしちまったんだろう、ルシファー」

 

サタン 「!!」
ルシファー 「!!」

 

そう、サタンはルシファーだ。
どんなに姿が変わっても、奴がルシファーであることに変わりはなかった。

 

 

 

さやか 「彼は、生きる意味を見出せずに、迷いを抱えたまま戦っていた」

エリス 「そんな曖昧な心しか持たない奴は、反転したって曖昧なままよ」

 

 

 

祐一 「さっき言ったとおりだ。おまえに俺は倒せない」

今となっては、力は互角。
ならば、心の強さの違いが、勝敗を分ける。
もうサタン・・・ルシファーに勝ち目はなかった。

サタン 「・・・それでも、オレは・・・・・・」

奴の黒い翼の一部が、白さを取り戻す。
だが同時に、異常な魔力が収束していく。

ルシファー 「僕には、世界を滅ぼす道しか残っていない!!」

最後の魔力をもってして、バベルの塔の全ての魔力を暴走させるつもりか!
それをさせるわけには・・・いかないっ!

祐一 「この・・・馬鹿野郎が!!」

 

ドシュッッッ!!!

 

力を解放する寸前のルシファーを斬った。

それによって、塔の暴走も収まる。

斬られた場所から血を流しながら倒れ行くルシファーの顔は、不思議と満ち足りていた。

祐一 「っ!」

最後に、ルシファーの声を聞いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・これでやっと・・・終れる・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく