デモンバスターズFINAL

 

 

第20話 蘇る最強伝説

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒れ果てた赤い大地。
そして遠くに見える巨大な塔。
それだけが、ここにある全てだった。

祐一 「砂漠の遺跡から空間を飛んでこんなところに来るとはな・・・」

芽衣子 「不自然な空間だ。おそらく以前から確認されていた次元の揺らぎは、全てこの空間をここに固定するためにやっていたのだろう」

祐一 「何のためにだ?」

芽衣子 「さあ、そこまでは」

まぁ、ろくでもないことなのは確かだろう。

さくら 「それにしても、大きな塔だね〜」

郁未 「大きすぎね。大樹ヴィオラよりもさらに大きいんじゃないの?」

エリス 「魔界は何もかも、地上とは規模が桁違いよ。それでも、あれは本当に大きい部類に入るけど」

あれが、魔族の本拠地、か。
他に何もないし、あそこを目指すしかないみたいだな。

すっかり大所帯の俺達は、塔へ向かって歩き出す。
その間周りを眺めてみるが、見事なまでに何もない。
何もなさすぎて、不気味だ。

浩平 「お、さっそく団体さんのお出ましみたいだぞ」

その何もない空間に、ようやく存在感のあるものが現れた。
魔獣の群れだ。

栞 「た、たくさんいますね・・・」

香里 「しかも、一体一体が大きい・・・」

全て中型から大型の魔獣だ。
数は数百・・・いや千に上るか?

澄乃 「え、えう〜。目の前が魔獣さんでいっぱいだよ?」

琥珀 「いきなり大変そうですね」

セリシア 「上等よ。まとめて吹っ飛ばして・・・・・・?」

緊張する奴らを制して、前に出たのは五人だけだ。

楓 「ここは、私達に任せておいて」

香里 「楓さん?」

祐一 「雑魚の相手をちんたらやってるのは時間と体力の無駄だ。とっとと片付けようぜ」

言うまでもない。
進み出た五人は俺達デモンバスターズの五人。
こうして全員が肩を並べるのは実に二年半振りくらいになるわけだ。

アルド 「まずは準備運動といったところでしょうか」

豹雨 「汗の一つもかかせりゃ上等だがな」

エリス 「ブランクがあるからって、足引っ張るんじゃないわよ、楓」

楓 「大丈夫」

祐一 「全部片付けるのに、十分もいらないか」

俺達は、一人一人でも強い。
だが、五人揃えば、その力は無限大だ。

後ろの連中が固唾を呑んで見守る中、俺達は魔獣の群れに向かって飛び込んでいく。

 

 

 

エリス 「いつものように、倒した数の一番少ない奴が罰ゲームよ!」

アルド 「毎度のことながら楽しいですね。今度こそ豹雨に受けさせてみたいですよ」

豹雨 「無駄だぜ。俺に勝てる奴なんざいやしねぇよ」

いつもの如く、真っ先に突っ込んでいくのはこの三人。
そう思ったら、三人の上を越えて行く人がいた。

楓 「みんな悪いけど、先手もらったよ!」

神剣草薙が光を発し、楓さんが上空からそれを一閃する。

ズバァァァァァァァッッッ!!!!

魔獣の群れが真っ二つに割れる。
楓さんの必殺、天浄烈閃が百以上の敵をまとめて叩き潰した。

祐一 「ちっ、先こされた」

エリス 「どうやら鈍ってないみたいね。なら、遠慮はしない!」

飛び上がった楓さんが降りてくるより早く、エリスが抜き出る。

エリス 「吹き飛びなさいっ!」

ゴォオオオオオオオオオ!!!!!

ドラゴンブレスが眼前の魔獣をまとめて焼き払う。
だが、一瞬怯んだ魔獣の群れはまたすぐに突進を再開した。

アルド 「どうやら予想以上に楽しめそうですね」

ズバシュッ!!

十数体の魔獣が一瞬にして細切れになって血の中に沈む。
向こう側へ抜けたアルドの手には、例によってあの禍々しい剣、ブラッディサーベルがある。

怒涛の攻撃が終わった頃、ようやく楓さんが俺の隣に降りてくる。

楓 「・・・想像以上の数だよ、敵」

祐一 「そうなのか」

楓 「うん。斬りつけて出来た空間も、すぐに埋まっちゃった」

そりゃ、数千か・・・下手したら万単位の敵がいるってことか。

祐一 「厄介だ、な!」

話してる間にためた力を解放する。
氷魔滅砕が魔物の群れを貫く。

だがそれで敵が怯んだのも一瞬、さらに怒涛のように押し寄せてくる。

 

ドシュッッッゥゥゥ!!!!!

 

その眼前を覆いつくす全ての敵が、一度に吹き飛ぶ。
豹雨が斬魔刀を薙ぎ払った衝撃波によるものだ。

まずは全員、一通り一回目の攻撃は終えた。
倒した敵の数は・・・。

豹雨 「222匹ってところだな」

エリス 「183」

アルド 「54といったところでしょうか」

楓 「145かな」

祐一 「82、まだまだだな」

いかん、アルドと一番下を争ってる。
しかもあいつは、最初はゆっくり、徐々に数を稼いで行くんだ。

祐一 「そういつも負けてられるか!」

今度は、俺が先頭を切らせてもらう。

豹雨 「俺を出し抜こうなんざ早過ぎるぜ!」

豹雨が俺の横に並ぶ。
同じ刀匠村正を打った剣をともに持ち、魔獣を斬り伏せて行く。

祐一 「100ジャスト!」

豹雨 「250!」

ちっ、ペースを上げないととても追いつけないな。
ならば!

祐一 「凍魔天嵐・連!!」

奥義の一つを連続して放つ。
一振りで4〜5匹をまとめて凍りつかせ、かつ砕く。
10連続で放って、一気に撃破数は150を超える。

祐一 「まだまだ!」

群れの中に深く切れ込んだところで、集まってきた奴らをまとめて潰す。

祐一 「氷槍方陣!!」

半径30メートル以内の地面から、無数の氷の槍が突き出る。
それら全ては、領域内にいる魔獣を尽く串刺しにした。

祐一 「これで、240!」

このまま一気に稼いで・・・。

楓 「あ、祐一君ちょっとごめん」

ぐしゃっ

祐一 「ぐぉ・・・!?」

また上から降ってきた楓さんが、今度は真上に着地して、俺はうつ伏せに倒れこむ。
地面に顔を埋めることになったが、上で大きな力が膨らむのは感じられた。

楓 「封神烈波!」

顔を上げると、光の奔流が何体もの魔獣を飲み込んで、消し去っていた。
はじめて見る技だったが、威力は絶大だった。

アルド 「ほう、新しい技を隠し持っていたとは、さすがですね。では私も、今まで見せたことのないものをお見せしましょう」

言うや否や、奴の持つ死の気配が高まる。
そしてアルドは、自らの体に剣をつきたて、一気に裂く。
血飛沫が、辺りを染めていく。

アルド 「ブラッディプリズン」

その血が、一斉に弾けた。
それだけでなく、弾けた血がさらに広がり、どんどん辺りに侵していく。
一つ一つの血が死をもたらす茨となって、魔獣を串刺しにしていく。
まさしく、血の檻だった。

祐一 「なんて無茶苦茶な・・・」

知ってはいたが、やはりこいつはとんでもない奴だ。

エリス 「そっちばっかり目立ってるのは気に食わないわね。じゃあ、アタシも少しやるか」

いい加減これでもかってくらいのパフォーマンスを俺達もしてきたが、それでもなおエリスの放った魔力の強さは驚嘆に値するものだった。
膨れ上がった魔力とともに、エリスの体に変化が起こる。
金色の眼に赤い色が加わり、頭からは角が生える。

楓 「あれは、魔竜の力・・・?」

祐一 「あいつ・・・」

アルド 「ほう」

嫌っている上に、制御できないと自ら言っていた力を解放するつもりか?
だが、それにしてはいつもと少し違う。
変化があったのは一部だけだった。

エリス 「半竜体。魔竜の力を全部解放すると制御しきれないから、一部だけを出した状態よ。けど・・・」

一部と言いながら激しい魔力を発するエリスに、無数の魔獣が迫る。
だが、大型のその魔獣どもが全て小さく見えるほど、エリスの力は大きかった。

エリス 「これでもパワーは充分よ」

まさに圧倒的。
向かってくる魔獣を、エリスは素手で尽く薙ぎ倒していく。
普段は俺達の頭脳的役割を果たしているあいつだが、そのパワーは間違いなくトップだ。

豹雨 「ぼさっとしてんなよ」

祐一 「!」

反対側では、豹雨が魔獣に囲まれていた。

いや違う。
あれは囲まれているのではなく、近寄り難くて近くまで行かずに群がっているだけだ。
それもそうだろう。
豹雨がそれまで通った道には、斬り伏せられた何匹もの魔獣の死骸が横たわっているのだ。
そのデタラメな強さに、恐怖しているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

栞 「す、すごい・・・・・・」

その光景を、残った者達はただ唖然と眺めているだけだった。
皆の気持ちを、栞がただ一言で代弁していた。
人間にとって脅威たるべき魔獣の群れを、たった五人で、しかも圧倒的な強さを薙ぎ倒していく祐一達。
しかも彼らにとって、こんな戦いは準備運動のために遊び程度でしかなかった。

浩平 「すげぇすげぇとは思ってたけど、ここまでとはな・・・」

セリシア 「すごすぎ・・・」

郁未 「ここまでくると、どっちが化け物だかわからないわね」

香里 「でも、数が多すぎるわ。いくら彼らが強くても、このままじゃ・・・」

香里の言うとおり、倒しても倒しても彼らの周りには魔獣が群がっていく。
今も、数百を一斉に倒したはずがさらにそれを上回る数が押し寄せてきている。

みさき 「やっぱり、手伝った方がいいかな?」

しぐれ 「大丈夫です、あの方達なら」

舞 「・・・・・・」

郁未 「見せてもらおうじゃない。伝説の強さを」

 

 

 

 

 

 

 

 

また群がってきた。
数はさらに増えてるような感じがするな。
だがむしろ、それによって俺達は、さらなる高揚感に包まれる。

アルド 「いい感じですね」

祐一 「ああ、久々に感覚が戻ってきたさ」

エリス 「やっぱりこうでなくちゃね」

楓 「うん。やっと、戻ってきたよ」

俺達は最強のデモンバスターズだ。
その前に、如何なる敵もありはしない。
一つの伝説を築き上げた強さが、ここにある。

豹雨 「さあ、伝説の復活だ」

 

 

『ビックバンバースト!』

 

 

全てが、呑み込まれて行く・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓 「うん、やっと帰ってこられたって感じだよ」

エリス 「まぁ、誰かさんが柄にも無く落ち込んだりしなければ、伝説はまだ続いてたんだろうけどね」

楓 「わ〜ん、それは言わないでよエリスちゃん。猛省してるからぁ」

アルド 「とりあえず準備運動にはなりましたが、やはりこの程度ではまだまだですね」

豹雨 「当然だろ。雑魚じゃ相手になんねぇんだよ」

祐一 「・・・・・・」

皆上機嫌だ。
久々にすかっと一発決めたのだからそれはいい。
だが問題なのは・・・。

祐一 「・・・最下位」

撃破数トップはエリスだ。
次に豹雨、アルド、楓さんと続いて、俺だ。
一位になるのは大概豹雨かエリスで、それはまぁいいとして、俺がビリ。

エリス 「ま、こんなものね」

祐一 「あのなぁ、大体おかしいだろ!」

そう、絶対におかしい。

祐一 「何でビックバンで倒した敵の取り分で、俺が一割だけなんだよ!?」

合体攻撃で倒した場合、倒した敵の数はそれぞれで分けるのだが、普通は山分けだろうに。

エリス 「何言ってんの、当たり前でしょ」

アルド 「まぁ仕方ありませんね」

豹雨 「一番下っ端にはそれが当然だろ」

祐一 「ふざけんなー! 大体な、この無茶苦茶な技をまともに撃てるのは俺の防御壁のお陰だろうがっ。それがなかったら自分達まで吹っ飛んじまう自爆技も同然なんだぞ!!?」

楓 「まぁまぁ、落ち着いて祐一君。大丈夫、私も一割半だから」

それで残りの三人が二割半ずつだ。
どう考えてもおかしい。

エリス 「男が細かいこと気にするんじゃないっ。ほら、罰ゲームよ」

アルド 「豹雨でなかったのは残念ですが、罰ゲームですよ」

豹雨 「罰ゲームだ」

楓 「ごめんね〜、祐一君。罰ゲーム」

くっそー!

エリスの奴喜々としやがって・・・楓さんも謝りながら顔がにやけてんだよ。
こいつらいつか絶対ほえ面かかせてやる。

というわけで、俺の顔には油性マジックで、ビリだの罰だの雑魚だの肉だのと書かれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人の顔を見て散々笑った栞と折原とセリシアを叩きのめしてから、俺達は改めて塔へと向かう。
先へ進む俺達の前に、信じられない光景が広がった。

祐一 「こいつは・・・」

エリス 「・・・・・・」

それは、無数の天使達の屍だった。
血に染まった白い羽が大地を覆いつくしている。
その向こうに、一人の魔神が立っていた。

アシュタロス 「少し遅いご到着でしたな、御前。前座の余興は、もう終わってしまいましたよ」

祐一 「アシュタロス・・・」

アシュタロス 「ようこそ御前、バベルの塔へ。歓迎いたしますよ、我らが未来の王よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく