デモンバスターズEX

 

 

第28話 カノン大武会予選之四

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐一 「・・・・・・」

豹雨 「・・・・・・」

リング中央を軸に、それぞれ自分から見て右の方向へ動く。
等距離を保ちつつ、二人で円を描くように動いている。
その間、互いの視線は交わったままだ。

豹雨 「言っとくが手加減なんざしねェからな。ぼーっとしてるとあっさり終わるぜ」

肩に担いでいた大太刀を鞘から抜く。
右手に太刀と持ち、左手で鞘を後ろへ放る。
放物線を描いて飛んでいった鞘は・・・・・・。

澄乃 「えうっ!!」

見事に澄乃の頭部を直撃し、バウンドした鞘はそのまましぐれの手の中に収まった。

しぐれ 「・・・・・・」

澄乃 「えう〜、痛いよ〜」

ま、そんなことはどうでもいい。
何か俺の後ろで同じことをやりたがっている輩がいる気配を感じるが、無視だ。

さやか 「う〜、ますますおいしい子だよ〜」

エリス 「・・・・・・はぁ」

外野は放っておこう。
周りなど関係ない。
ここには、俺達二人だけだ。

豹雨 「どうした、得意の氷刀は」

祐一 「まぁ、待てよ」

そう、俺の武器は氷刀だ。
俺達が共に戦っていた時から、それは変わらない。
サイズは自由、二刀としても使える。
どんな局面でも使える万能な、俺がもっとも得意とする武器。
だが、決定的な力に欠けることも事実。
正直、ただの氷刀で豹雨の斬魔刀とやりあえるとは思えない。
だから、今日は出し惜しみは無しだ。

祐一 「今日は氷刀は使わねぇ」

豹雨 「ほう」

祐一 「俺が使うのは・・・・・・こいつだ!」

右手に力を集中する。
四神と契約を結んで以降、ずっと何か違和感を感じていた。
それは、さやかがゴッドフェニックスを手に入れたように、俺の中にもまた、新たな力が生まれている証拠だった。
まだ一度も成功させていないが、ぶっつけ本番には慣れてる。
昔の修行はそればっかりだったからな。
ここで、新しい俺の力を引き出す!

祐一 「おおおおおおおおお!!!!!!!!」

力が手に集中する。
明確なイメージが浮かんでくる。

ギンッ!

祐一 「・・・・・・ふぅ・・・・・・待たせたな」

俺の右手には、今まで使っていた氷刀とはまるで違う。
イメージの産物とは思えない見事な氷の剣だ。
玄武と契約し、磨きがかかった俺の能力が生み出した、新たな剣。

祐一 「名付けて、氷魔剣」

豹雨 「おもしれェ」

普通の剣よりも若干厚く、長い。
だが、手に馴染む。

祐一 「行くぜ、豹雨!」

豹雨 「来な、小僧!」

 

ギィンッ!

 

二人の剣が交わる。
5メートルはあった距離が一瞬にして縮まり、互いの剣の間合いに入る。
どちらの剣も定寸よりも長いから、密着とまでは行かないが、それでもここから下がるつもりはない。

祐一 「はぁあああああああ!!!!!」

豹雨 「おらおらおらぁ!!!」

近距離からの連撃・・・いや乱撃に近い。
がむしゃらに打ち込みを繰り返す。
速さは互角か・・・。

ガッ ガッ ドガッ

祐一 「く・・・!」

重い。
一撃一撃がまるでハンマーで殴りつけたような重い攻撃だ。
速さは今のところ互角だが、パワーは向こうが上か。
体格も若干豹雨の方が大きいから、重量も違う。
正面からの押し合いは、不利。
ならば。

祐一 「フッ!」

打ち合いを止めて、横へ滑り込む。
隙を見つけて懐へ入り込めば・・・。

豹雨 「甘ェ!」

祐一 「うぉっ!」

ガッ!

ちっ、読まれてるか。
横薙ぎの一撃を辛うじて防御する。
このまま押されるのはまずい。
一旦距離を取る。

祐一 「凍魔天嵐!」

武器は変わっても、俺の必殺技は変わらないぜ。

豹雨 「へっ!」

パリンッ

効かないか、やっぱり。

豹雨 「てめェのその技はよく知ってるぜ」

当然だろうな。
俺達は互いの手の内を知り尽くしてると言っていい。

豹雨 「今度はこっちから行くぜ・・・・・・・・・しぐれ!」

来たな!

祐一 「おらぁぁぁっ!!」

 

バッ

 

祐一 「おまえのその技こそ、いい加減見飽きてるぜ!」

まだ完全に見切れたわけじゃないが、かわす方法は模索し続けてきた。
今のも、僅かに喰らっただけで済んだ。

豹雨 「ほう」

祐一 「いくら今まで幾多の敵を葬ってきた技でも、こう何度も見れば回避方法の一つくらい思いつくってものだぜ」

豹雨 「ちったァやるようになったってことか」

やはりどちらの剣技も互いに知り尽くしているな。
パワーでは若干向こうが上だが、スピードもほぼ互角。
結構行けそうだな・・・・・・。

祐一 「なんとなく、今ならおまえにも勝てそうな気がしてきたぜ」

豹雨 「調子に乗るなよ、小僧。一千万年早いんだよ」

あいつが手を止める。
どうしたんだ?

豹雨 「ちょうどいい。てめェが新しい剣を試したように、俺も試させてもらおうか」

祐一 「何?」

豹雨 「今までの技は連れと名前が同じなんでな、新しい技でも作ろうと思ってたところだ」

あ、そういえば、しぐれってそうだな。
名前が被るから新技開発かよ。
ま、俺達同じデモンバスターズ仲間には通じないと思って、前から考えていたのかもしれないがな。

豹雨 「こいつはまだ未完成だ。手加減はできんから、気ィつけろや」

何をどう気をつけろと言うんだって。
まぁ、いいさ。

祐一 「忘れたかよ、豹雨。俺はデモンバスターズの中で、もっとも護りに長けるんだぜ」

豹雨、エリス、アルドの三人が超攻撃的な性格と特性をしている中、俺と楓さんはむしろ護りを得意とした。
それが五人のバランスを上手く取っていたとも言える。

祐一 「見せてみろよ、おまえの新技とやらを!」

豹雨 「ああ、見せてやるよ」

構えは前と変わらないか?
だが、この圧迫感・・・・・・さすが豹雨のプレッシャーは違う。

豹雨 「かむなぎ」

 

ぞくっ

 

こいつは・・・・・・やばい。

一瞬、何もかも止まったように感じた。
まさに、凪ぎの状態だ。

だが俺には、その直後に押し寄せてくる巨大な奔流が見えていた。

何とかかわすのが精一杯だった。

 

 

 

祐一 「・・・・・・・・・・・・」

豹雨 「感じただろう、静寂の刻を」

 

かわしたつもりだったが、俺の体は、場外まで吹き飛ばされていた。
もし、まともに喰らっていたら・・・・・・。

これが雛瀬豹雨・・・・・・。

戦ってみてはじめてわかる。
この男が何故、無敵不敗を誇っているのか。
どんな敵と対峙しようとも、決して負けることがない。
相手が強大なら、その上を行く。

最強の男。
俺達デモンバスターズの頂点。

 

 

 

 

さやか 「はじめて見た。祐一君が負けるところ」

エリス 「あれが、アタシ達全員が尊敬し、目標とする男よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「Fブロック勝ち抜きは、お笑いトリオに決定! これにより、本戦進出の全6チームが決まりました!」

 

浩平 「よっし」

琥珀 「勝ちましたねー」

浩平 「まぁ、しかし。Dブロックの試合の後じゃいまいち盛り上がらない試合だったがな」

琥珀 「・・・ですね」

美凪 「・・・はい」

戦っていた本人達だけではない。
あの祐一と豹雨の試合は、見ていたもの全員に衝撃を与えるものだった。
何よりも、豹雨という男の強さを・・・・・・。

浩平 「柄にもなく興奮しちまったよ。相沢とはじめて会った時も思ったが、世の中本当に強い奴はいるもんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐一 「やれやれ。わざと負けるどころか、本気のほんとに負けたよ」

エリス 「まぁ、まだまだってことね」

祐一 「だな」

落胆はしていない。
悔しい気持ちはあるが、なるべくしてなった結果だからな。
次に戦う時は、こうはいかないぜ、豹雨。

 

 「では引き続き、本戦トーナメント組み合わせ抽選会を行います。各チームの代表は、中央リングにお集まりください」

 

さやか 「これからどうする?」

祐一 「当初の予定通りに行く」

エリス 「ええ。大会を盛り上げる役は、他の連中に任せましょう。アタシ達はこれで自由に城内を動ける」

完全な自由とはいかないけどな。
少なくとも門の内側にはいるんだ。

エリス 「じゃあ、ここで一旦別れるわよ。観客に上手く紛れて、例の場所に集合」

祐一 「よし」

さやか 「了解」

俺達の大武会はここまでだ。
カノン潰し、行動開始だぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

浩平 「抽選会抽選会っと」

香里 「・・・・・・(どこと当たっても、次は一筋縄ではいかないでしょうね)」

澄乃 「抽選会だよ〜」

ライトニング 「さて、誰が相手になるか」

無亮 「誰が来ようと、勝つのは俺だ」

郁未 「・・・・・・」

予選を勝ち抜いた6チームの代表が中央リングに集まる。
さらにそこへ二人の人間が加わった。
ナイツ・オブ・ラウンド、ジークフリードと氷上シュンである。

郁未 「(ジーク・・・)」

浩平 「(氷上)」

それぞれの思惑を胸に、組み合わせ抽選会が始まった。

 「それでは、まずこちらが引いたくじの順に呼びますので、呼ばれたチームの代表は前へ出て、こちらからくじを引いてください。ではまず・・・」

司会者が片方の箱からくじを引く。

 「お笑いトリオチーム」

浩平 「ほい来た」

最初に呼ばれたのは浩平達のチーム。
前へ進み出た浩平がくじを引く。

浩平 「1番だ」

 「お笑いトリオチーム、1番。続いて無双チーム」

無亮 「おう!」

 「無双チーム、3番。次に・・・美坂チーム」

香里 「はい」

三番目に呼ばれたのは香里のチーム。
引いたくじは、5番だった。

 「次は、あんまんチーム」

澄乃 「は〜いだよ〜」

あんまん片手にくじを引く澄乃。
出た数字は・・・・・・。

 「6番」

香里 「!!」

澄乃 「6番だよ〜」

6番。
それは即ち・・・。

 「一回戦第三試合の組み合わせは、美坂チームvsあんまんチームとなります」

香里 「(相沢君を破ったあの男のいるチームと、初戦で!?)」

澄乃 「6番〜、6番〜、えう〜」

 「次に、チームエクスカリバー」

ジーク 「うむ」

 「7番。続いて・・・チームエルヴンブレード」

ライトニング 「・・・2番だ」

浩平 「(俺らの相手はあいつらか。あのライトニングとかいう奴、確かランキングで相沢に次いで11位だったな。強敵か」

ちなみに、無双チームのリーダー無亮は、ランキング12位である。
どうでもいいことではあった。
何故なら・・・。

 「チーム永遠、4番。対戦相手は無双チーム」

氷上 「ふふふ(一回勝てば折原君達とか。まさかとは思うけど、初戦なんかで躓かないでくれよ、折原君)」

浩平 「・・・・・・」

 「さて、ということは残った8番は・・・・・・」

郁未 「・・・・・・」

 「一回戦第四試合は、チームエクスカリバーvsチームノワール・ムーンとなります」

ジーク 「・・・・・・」

盛り上がる周囲を余所に、郁未とジークは互いに向き合う。
一年少し振りとなる二人の再会だった。
そしてジークのチームには、ついこの間舞を倒した一弥もいる。

郁未 「(カノンに来ればいずれこうなるとは思ってたけど・・・・・・因縁の対決、か)」

 「これにより、明日より行われる本戦の組み合わせが決定いたしました!」

 

わぁあああああああああああ!!!!!!!!!

 

会場全体が揺れるような盛り上がり。
すぐに試合が始まれというぐらいの興奮と熱狂だった。
本戦開始は、明日。

 

一回戦組み合わせ

第一試合

 お笑いトリオチーム(浩平、琥珀、美凪)
     vs
 チームエルヴンブレード(ライトニング、ファイヤー、ウォーター)

第二試合

 無双チーム(無亮、牙毛、空破)
     vs
 チーム永遠(氷上、アヌビス、メサルス)

第三試合

 美坂チーム(楓、香里、栞)
     vs
 あんまんチーム(豹雨、しぐれ、澄乃)

第四試合

 チームエクスカリバー(ジークフリード、一弥、ゼルデキア)
     vs
 チームノワール・ムーン(郁未、舞、さくら)

 

8チーム24人の頂点に立つのは果たして誰か・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく