デモンバスターズEX
第26話 カノン大武会予選之二
大会二日目。
今日は予選二回戦、三回戦、四回戦が行われる。
ちなみに予選は全部で五回戦までだ。
明日は各ブロック決勝と、本戦組み合わせ抽選会が行われ、明後日から決勝トーナメント。エリス 「ねぇ、おもしろいものがあるわよ」
祐一 「ん?」
受付で貰った紙をエリスが見せてくる。
それは、個人ランキングと書かれた紙だった。エリス 「個人個人の実力を大体あの久瀬とか言う爺さんがレベルにして順位をつけたそうよ」
なるほどな。
一回戦で負けた連中は既に削除されており、残る選手は本戦シードのあいつらも含めて総勢・・・・・・294名。
おもしろそうだな。
仲間内の順位だけでも見ておくか。
わりと上位に固まってるとは思うが・・・。栞・・・・・・43位。まぁ、こんなもんだろう。
美凪・・・・・・39位。ほほう、栞とかなり近いもんだな。けど、あいつはよくわからないからな、どれだけ実際には強いか。
さくら・・・・・・34位。あいつがここにランクインか。なるほど。
香里・・・・・・30位。美凪の上を行ったか。なかなかと言うべきかな。
澄乃・・・・・・26位。ほう、あいつがね。
しぐれ・・・・・・25位。姉貴の方か。こっちはまだ一度も話してないからよくわからんな。
琥珀・・・・・・21位。今のあいつなら、これくらいは余裕で行くだろう。
折原・・・・・・20位。琥珀と並んでるな。もっともあいつも美凪同様、真の実力はわからん。
郁未・・・・・・16位。こいつも、果たして真の実力はどうだかな。
舞・・・・・・15位。なるほどなるほど。
さやか・・・・・・13位。ふむふむ。
祐一・・・・・・10位。俺じゃん。
エリス・・・・・・9位。ま、俺より上なのはとりあえず当然か。
楓・・・・・・8位。これも。
上位六人がナイツの2チームってことは、実質上のトップは7位だから、エリスは三番手で、楓さんは二番手ってことになる。
その二人を抑えての7位は・・・・・・。祐一 「・・・・・・・・・・・・おい、エリス」
エリス 「わかってるわよ」
7位、ナイツを除いた事実上のトップにいるのは・・・・・・。
Dブロックの試合。
シードされていたあんまんチーム、澄乃やしぐれのいるチームだが。
戦っているのは・・・・・・。澄乃 「豹雨ちゃ〜ん、がんばれ〜〜〜」
そう、あいつだ。
雛瀬豹雨。
デモンバスターズ最強の男・・・・・・。祐一 「予測できないわけじゃなかったが・・・」
エリス 「まさかこんなところで出てくるとはね。しかも同じブロック」
祐一 「ついでに澄乃達の三人目のチームメイトだったとは・・・・・・・・・・・・なぁ、エリスよ。俺はさっきから観客席に異様な気配を感じている」
エリス 「奇遇ね、アタシもよ。ったく、あのバカは・・・」
栞 「・・・お姉ちゃん。何故か私は今振り返るのがとても怖いです」
香里 「心配することはないわ。あたしもだから」
祐一 「豹雨の奴、どこであんな美人姉妹を」
エリス 「だから捨てられても知らないって言ったのに」
祐一 「キレて暴れたりしないだろうな、あの人」
エリス 「そこまでバカじゃないと思いたいわ。それにしてもあの二人は・・・・・・」
?? 「ふっふっふっふ、知りたいか?」
この声は・・・。
芽衣子 「私、私、私ーーー!!」
出たな、橘芽衣子。
あれ以来、何故か時々俺達の前に現れては意味不明な言動をして去っていく女。
密かにさやかの前にも現れていたらしい。芽衣子 「うっす」
祐一 「・・・うっす」
芽衣子 「澄乃としぐれさんのことが気になるようだな」
祐一 「何故それを?」
芽衣子 「勘だ」
祐一 「・・・左様で」
こいつの言動に理由とか何だとかを求めるのは無駄だな。
芽衣子 「あの二人は龍神だ」
祐一 「龍神?」
エリス 「やっぱり、神族だったのね」
龍神・・・神の一族か。
なるほど、それで豹雨の奴が連れてるのか。
俺らが魔神なんてものと戦ってる間に、今度は神様にまで手を出して、ますます高みを目指してるな。エリス 「よく見ればわかるのに、楓の奴頭に血が上ってて見えてないわね」
祐一 「まぁ、見えてても嫉妬心ってやつは抑えられないだろうからな・・・」
あの人があんなに嫉妬深いとは知らなかった。
そんなに不安ならあの時ついて行けばよかったものを・・・。
女心ってやつはよくわからん。
わぁあああああああああああ!!!!!!!!
とか言ってる間に豹雨の試合終わってるし。
あいつ一人で戦って、あっさりあんまんチームの勝利。
順当に行けば、俺達とはこのDブロック決勝戦で、明日当たる。
久瀬ジジイがこのブロックは俺達とあんまんチームの一騎打ちって言ってたが、間違いなかったな。
ランキング7位、豹雨。
その上は全部シードされてるナイツ・オブ・ラウンドだ。
だれが出場してるんだ?6位・・・・・・メサルス
5位・・・・・・アヌビス
4位・・・・・・氷上
3位・・・・・・ゼルデキア
2位・・・・・・一弥
1位・・・・・・ジークフリード
1〜3位、4〜6位でそれぞれチームだな。
リーダーのジークに、一弥、そして楓さんが警戒するゼルデキアとかいう奴。
もう片方には折原を倒した氷上に、石橋を倒したアヌビス、そして斉藤に対抗心を抱くメサルスか。まぁ、こいつらのことは本戦に残ったら考えればいい。
むしろ、俺達のチームは本戦に残らないかもしれないな・・・。祐一 「エリス」
エリス 「わかってる。これはチャンスね」
あの久瀬ジジイは厄介な存在だ。
戦ってない奴の実力までかなり正確に測ってるから、八百長試合はできない。
わざと負けるのも警戒を招いて危険だ。
その点、相手が豹雨なら、負けてもおかしくない。祐一 「もっとも、やるからにはマジだぜ」
エリス 「当然でしょ。あいつだってそれを望むわ」
あの豹雨と、本気で戦う時が・・・・・・。
一方こちらはお笑いトリオチーム。
彼らも手に入れたランキング表のことが話題になっていた。浩平 「氷上・・・・・・・・・目当ての奴で大会に出てるのは奴だけだが、このまま勝ち進む方向でいいのか?」
琥珀 「あはっ、わたしは構いませんよ。今のままじゃ、たぶんあの男には勝てませんから、この大会で勝ち進んで少しでも力をつけたいんです」
美凪 「・・・私も、問題ないです」
浩平 「そうか、すまん。それにしても、まだほとんど戦ってない状態で上位独占・・・・・・やっぱりあいつらデモンバスターズはすげぇな」
琥珀 「そのうち三人が集うDブロック・・・・・・隠れた激戦区ですね」
浩平 「というより、完全な一騎打ちって感じだな。決勝は明日か・・・見るのが楽しみだ」
琥珀 「はい♪」
美凪 「・・・はい」
そしてこちらは、重苦しいムードが漂う美坂チーム。
楓 「・・・・・・」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
そんな効果音がついていそうな雰囲気をかもし出している楓。
はっきり言って、怖かった。
香里と栞は今にも逃げ出したい気分でいる栞 「(あの人が噂の豹雨さんですか? 祐一さんやエリスさんから聞いてはいましたけど・・・)」
香里 「(楓さんの恋人・・・・・・それが他の女の人連れてればこうなるのも無理はないと思うけど・・・)」
楓 「・・・ねぇ」
香里・栞 「「はい!!」」
楓 「次の試合、私が戦ってもいい?」
香里・栞 「「どうぞ、ご存分に」」
二人は、対戦相手を哀れんだ。
さらにノワール・ムーン。
郁未 「まさかあの男が出てくるとはね。どうする、舞?」
舞 「・・・勝ち抜く、それだけ」
珍しく真剣な顔をしている舞。
それだけあの男に対する気持ちが強いということだ。郁未 「(当たるとしたら本戦か・・・・・・予選には私達の敵になりそうなのはまずいない)」
舞 「・・・・・・腹ごしらえ」
郁未 「ってすぐそれかい!」
さくら 「うにゃあ・・・もう試合だよ、二人とも」
その日の試合も順当に消化されていく。
「美坂チーム! Aブロック決勝戦進出決定!!」
激戦区とか言われていたAブロックだったが、ここまでは美坂チームが軽くやってきた。
二回戦は修羅と化した楓さんによって哀れ敵チームはこてんぱんにのされていたが、その後はまた美坂姉妹による戦いが続いた。
「ノワール・ムーン! Bブロック決勝戦進出決定!!」
まず間違いないと思ってたが、その通り決勝まで行ったな。
「エルヴンブレード! Cブロック決勝戦進出決定!!」
「無双チーム! Eブロック決勝戦進出決定!!」
「お笑いトリオ! Fブロック決勝戦進出決定!!」
それぞれ注目チームが決勝に駒を進めている。
そして・・・・・・
ドシュッ
「ぐわぁ・・・・・・」
どさっ
「勝者! 相沢祐一! チームB・I・D♪、Dブロック決勝戦進出決定!!」
予選は全部さやかに任せるつもりだったが、少し肩慣らしをしようと思って試合をした。
相手は雑魚だったが、まぁ、いいだろう。
もう一方の準決勝はまず間違いなく・・・・・・。
「あんまんチーム! Dブロック決勝戦進出決定!!」
やっぱりな。
これでDブロックの決勝は、俺達と豹雨のチーム。
豹雨自身の強さは絶対であり、残りの二人も神族というすごいチームだ。
もっとも、総合評価はこっちの方が高いんだが、そんなものはあの男の前では通じないからな。
祐一 「さてと・・・・・・明日のことを少し相談しておくか」
エリス 「そうね」
大会二日目の夜、俺達は宿屋にいる。
明日のこととは、予選決勝で負けたあとどうするかということだ。
もちろん本気で戦うが、最終的には負けるつもりでいる。
そうすれば、その後俺達三人は自由に動ける。
せっかく選手としてあそこにいる利点を活かさない手はない。祐一 「会場から出ちまったら意味がないな。試合が終わってから控え室まで・・・或いはそこから出口までの間が勝負か」
エリス 「ルートはもう考えてあるわ。ここに書いてある」
さやか 「へぇ〜、なるほど」
エリス 「三人一緒だと動きづらいから、別々に行って、この辺りで集合」
祐一 「いいだろう」
それにしても、相変わらずエリスの情報収集能力には驚かされる。
どうやってこんな図面を手に入れたんだか。エリス 「敵がいる可能性も考えられるから、その時は各自対応ね」
祐一 「騒ぎにならないように始末をつけて・・・・・・面倒そうだな」
さやか 「何とかなるって♪」
そう思いたいものだ。
だがたぶん、このルートなら警備があったとしても手薄だろう。
エリスがこれで良しと言うんだから、おそらく最適だ。さやか 「ところで、明日の試合はどうする?」
祐一 「そうだな・・・・・・」
今日はずっと試合を見ていたが、全て豹雨が先鋒として出て一人で決着をつけていた。
他の二人が戦うところは見なかったな。エリス 「アタシの勘だけど、明日の試合では豹雨の奴、いきなりは出てこないと思う」
祐一 「勘、ね」
だが、俺もその勘は信じる。
何故なら、俺もたぶんそうだと思うからだ。
今までの試合では敵が雑魚過ぎた。
だからとっとと終わらせたかったんだろう。
俺達が相手なら、色々と楽しむことを模索するはずだ。エリス 「本当はアタシが豹雨と戦いたいところだけど、ま、今回は譲ってやるわ」
さやか 「じゃ、先鋒は私〜」
エリス 「副将がアタシで、あんたが大将」
祐一 「大将ね」
おそらく、向こうの大将は豹雨。
その前の試合がどうなるかはわからないが、最終的には俺と豹雨の勝負。祐一 「・・・・・・」
思えば、常にあの男の強さを間近で見てきたが、ついに対戦したことはなかった。
はじめて、あの男との対決・・・・・・ぞくぞくしてきやがった。
そして・・・・・・予選決勝戦。
つづく