純白の遁走曲〜Fuga〜



   Chapter 1−4





















 紗絵は憮然とした顔で縛られていた。
 別にそういう趣味があるわけでは断じてない。そもそも紗絵は、そういう事を趣味にしている類の人種がいるなどという事自体、知っているどころか想像した事すらなかった。縛られているのは、まったくもって紗絵にとって不本意極まりない状況だった。
 その原因を作った張本人は、したり顔で紗絵から少し離れた場所に立っている。紗絵の視線に気付くと、気安く笑いかけてきたが、紗絵はさらに冷たい視線を返しておいた。
 視線を移すと、また別の男が紗絵の事を見据えている。ついでに周辺を取り囲むように立っている20人余りの男達も皆揃って紗絵の事を見ている。どの視線も邪な感情を孕んでいて、ひどく不快だったが、いったい何をもってそんな視線を紗絵に向けているのかという点については、紗絵は理解していなかった。子供の頃から人里離れて長く暮らしてきた紗絵には、男が女に求める欲望というものに関する知識がないのだ。さらに言えば、紗絵の容姿が一般的な同年代の少女よりも魅力的であるという認識もない。
 理解はできていないが、とにかくニヤニヤした男達の視線を四方から浴びせられて、紗絵は非常に居心地が悪かった。
 こんな事になっているのは誰のせいか、論ずるまでもなく明白である。
 人の良さそうな顔をして近付いてきて、結局最後には人を騙してここへ連れてきた少年、相沢祐一。全てはこの少年が元凶だった。
 何故こうなったのかというと――。



 山中の岩場で遭遇したのは、昨日色々あって知り合った祐一であった。
 互いに意外な相手の出現に驚いたが、それぞれの事情を話すと、目的が一緒であるという事に気付いた。
 即ち祐一も、この山に潜伏しているという賞金首のゴメスを捕まえに来たのだ。
 祐一はどうやら、紗絵よりも一足先にこの場所を突き止めていたらしく、既に山の中の正確な潜伏場所まで見つけ出しており、さらに標的が20人ばかりの徒党を組んでいるのを見て、1人では厳しいと見て協力者を探しに一旦街へ戻る途中だったという。
 ここで会えたのを幸運と見て、2人は共にゴメス一党を退治するべく協力関係になった。と、ここまでは良い。
 それがいざ敵の潜伏場所を目前にして、突然祐一が裏切り、紗絵の背後から剣を突きつけたのだ。
 まったく予期していなかった事態に紗絵は成す術なく、祐一に捕らえられてしまった。

「悪い悪い。実は俺はゴメスの仲間になったのだ。で、協力者を探してたのは信用させるための手土産にするためだったのさ」

 というのが祐一の言い分だった。しかも「悪い」などと言いながら少しも悪びれておらず、ケラケラと笑っている。
 第一印象こそ最悪だったものの、その後信用できる人間だと思った相手に裏切られて、紗絵はショックだった。

「善い人だと思ったのに・・・・・・」
「許せよ名雲。世の中悪い奴が勝つものなんだ」

 ちょっと翳りを帯びた表情で気取った感じに言う祐一に対して、紗絵は冷たい視線で応えた。



 そして今、岩山の隙間の広場になっている場所に、紗絵は縛られた状態で座らされていた。
 正面に立っている大男が、手配書の男ゴメスで間違いなかった。周りを取り囲んでいるのがその仲間達だろう。数は20、ゴメス自身も入れて21人である。
 祐一は紗絵を縛っている縄の端を男達の1人に預け、ゴメスの前に進み出る。

「よっ、オッサン。約束どおり、手土産を連れてきたぜ」
「ほう、上玉じゃねぇか。よくこんなのをすぐに捕まえられたな」
「昨日ナンパした子が偶然あんたを狙ってたみたいでな。山の中でうろうろしてたのを捕まえてきたのさ」
「なるほど、偶然ねぇ。てめぇとその小娘が実はつるんでて、俺をはめようとしてる、って可能性もありそうな話だ」
「おいおい疑り深いな。ほれ、このとおりそいつの得物は取り上げてあるし、よ」

 紗絵から奪った刀の包みを、祐一は無造作に周囲にいる男の1人に向かって放る。
 男がそれを受け取ると、手ぶらになった両手を祐一はぶらぶらさせてみせた。

「な。これで仮にあんたの言うとおりだったとしても、こっちが不利になる条件ばかりだろ」
「確かにな。じゃあその娘は俺がもらってもいい、って事だな」
「ああ、好きにしてくれ」

 ゴメスはしばらく紗絵と祐一の顔を見比べていたが、やがて口の端を歪めて紗絵に近付いてくる。
 横を通り抜ける間、ゴメスの視線は祐一の方へ向けられていたが、祐一はおどけた表情をしたまま、その視線を受け流していた。
 祐一とすれ違ったゴメスは、再び紗絵の方を見てニタリと笑う。その笑い顔も、紗絵にはひどく嫌なものに見えた。

「くっくっく、こいつぁほんとに上玉だぜ。俺のものにするもよし、どこぞで売ってもいい金になりそうだ」
「ボス、俺らにも後で味見させてくださいよっ」
「こんな娘、そんじょそこらじゃ手に入らないっすからねぇ」
「へっへっへ」
「まぁ、気が向いたらおまえらにも味わわせてやる。まずは俺からだがな」

 欲望という悪意をむき出しにした顔。四方から向けられてくるそれは、紗絵の心の奥底にちくちくと刺すような傷みを覚えさせた。
 とても不快なものだった。物心ついてから、少なくとも記憶を失ってより後のこれまでは、人の善意にばかり触れて生きてきた紗絵にとって、それは殊更そう思えた。
 そして同時に、こんな悪意ばかりに満ちた世界があるという事実が悲しかった。
 人の物を盗む者、人を騙す者、人に対して欲望を向ける者。紗絵が知らなかっただけで、世の中は悪意に溢れているのかもしれない。

 ――むっちゃんも、こんな世界のどこかにいるのかな?

 紗絵の心に、ノートに綴った“むっちゃん”との思い出が浮かぶ。
 そう。覚えていないけれど、悪意ばかりの黒くて汚い世界の中で、“むっちゃん”の心だけが、紗絵には綺麗なものに見えた。そしてまた、“むっちゃん”も紗絵だけが綺麗だと言った。
 真っ黒な世界の中で、2人でいる空間だけが、白く澄んでいた。

 ――会いたいな、むっちゃん・・・・・・

 そう、ここへは“むっちゃん”の手がかりを求めて来たのだ。こんなところで捕まっている場合ではない。
 ましてや、“むっちゃん”が綺麗だと言ってくれたこの身を、こんな汚れた欲望を持つ男達の手に触れさせるわけにはいかない。
 綺麗なままで、“むっちゃん”に会いに行くのだ。
 強い想いで近寄ってくるゴメスを睨み据えた紗絵は、ハッと気がついて目を見開いた。
 それに気付いたゴメスが、咄嗟に右腕を顔の高さまで振り上げた。

 ギィンッ!

 甲高い金属音が紗絵の眼前で響いた。
 振り上げたゴメスの腕に装備された手甲が、背後から繰り出された剣の切っ先を受け止めていた。

「ふんっ、やっぱりそういう事だったか」
「ちぇっ、惜しいなぁ」

 紗絵はもちろん、周りの男達も唖然とした顔で祐一とゴメスを見ていた。だが、紗絵と男達とでは理由が異なる。
 男達はおそらく、ゴメス自身と同じように祐一を疑っていたのだろう。だから彼らが驚いているのは、祐一の斬り込む動きがまるで見えなかった事だ。動く気配を微塵もさせず、踏み込みから背負った剣の柄に手をかけ、それを抜き放つまでの動作に非常に自然で、動いたと思った瞬間にはもう剣は振り下ろされていた。紗絵でさえ、その動きに気付くのが遅れていたら、見えはしても反応はできなかっただろう。
 もちろん紗絵も祐一の動きには驚いていたが、それ以上にこの展開に唖然とさせられていた。目の前で祐一とゴメスが腹の探り合いをしていたのを見ていながら、紗絵にはこれが祐一の策謀であるという考えがまるで浮かんでいなかったのだ。

「危ねぇところだったぜ。この女の表情が変わるのを見なかったら、反応が遅れて首の上と下がおさらばするところだ」
「失敗したな。本気で捕まってると思わせといた方が信用させやすいと思ったんだけど、裏目に出ちまったか」

 ゴメスが腕を振って剣を弾くと、祐一は一歩下がって剣を肩に担ぐようにする。腰に帯びるのではなく、背中に背負っていただけあって、通常のものよりかなり長大な剣だった。見た目だけで相当な重量があるとわかるが、あれを持ちながら先ほどの動きは並外れていた。
 祐一の実力が侮れないものと知ってか、ゴメスはそちらに体を向けて構える。僅かに腰を落とした構えは、祐一が斬り込んできても即座に動ける体勢だ。この巨体でどれほどの素早さがあるのかは不明だが、その構えからただの力自慢ではなく、歴とした武術を会得しているのだとわかる。
 2人の様子を冷静に観察しながら、しかし紗絵の頭の中で混乱していた。

「え、えーっと・・・・・・どういう、こと?」

 事態がさっぱり飲み込めない。
 自分を手土産と称してゴメスの仲間になろうとしていた祐一がゴメスに斬りかかっている。導き出される答えはわりと単純なのだが、紗絵の頭はそこに行き着かない。

「あの・・・・・・相沢君?」
「すまん名雲。どうやら失敗したらしい」
「だ、だから何が?」
「ふむ。このゴメスって野郎はだな、大した実力もないのに結構長い間逃げ回ってる。それはこいつが逃げるのに長けてるだかだ。やばくなりそうなのを察するとすぐに逃げる。正面から行くと、こっちが強いってわかると逃げられる可能性が高いから、何とか懐に飛び込みたかったんだけどな」
「・・・・・・・・・」
「まー、一撃で仕留められはしなかったけど、これでも八割方条件は満たしてるがな」
「・・・・・・それって、最初からそう教えておいてくれるわけにはいかなかったの?」
「いや〜、名雲って演技は下手そうだったからな。本気で捕まってると思ってた方が信憑性が出ると思って。敵を騙すにはまず味方から、って言うだろ」

 そこまで言われれば、紗絵にも事の概要が見える。
 油断させた上で背後からバッサリ。それが祐一の狙いだったようだが、紗絵が直前で祐一の動きに気付いてしまったために相手に意図を読まれてしまった。祐一の策を知っていれば、あそこで表情を変える 事はなく、ゴメスに気付かれる事もなかっただろう。が、その場合紗絵の演技力の問題で本気で捕まっているように見えず、相手が背中を見せるほど油断しなかったかもしれない。
 どちらのせよ「かもしれない」でしかないので、結果として失敗した以上、祐一の落ち度には違いなかった。
 だというのにこの少年、まったく反省の色がない。

「あたしが捕まっちゃってる状況はどうするの?」
「そうだぜ、小僧」

 紗絵の傍らに立つゴメスが手招きをすると、周囲にいた男が一人が長柄に斧のついた武器を持ってくる。
 それを受け取ったゴメスは、斧を紗絵の頭上にかざす。

「これで小娘はこっちの人質だ。武器を捨てねぇと仲間が死ぬ事になるぜ」
「いや、別にその子とは仲間ってわけじゃないし」
「ええっ!? じゃあ、あたしの事見捨てるってこと!?」
「助ける努力はするが、ここで2人とも捕まっちまっても何も良い事ないだろ?」
「で、でも、このままじゃあたし死んじゃうって」
「うーむ・・・・・・すまん」
「すまん、で済む問題じゃないでしょ!?」
「はっはっは! とんだ悪い男に引っかかっちまったみたいだな、お嬢ちゃん。どうだ、俺も悪い男だが、あの小僧よりは大事にしてやるぜ。俺の女になるなら助けてやるよ」
「そ、そんな・・・・・・」

 俯いた紗絵は全身を小刻みに震わせる。
 こんな男に比べれば祐一の方がまだマシだった。しかしその祐一は半ば紗絵の事を見捨てているようなもので、周りに紗絵の味方はいない。
 祐一の言い分は、もうどこまでが本当でどこまでが嘘なのかわからず信用できない。ゴメスの方は、紗絵に自分の女になれと言っている。女が男のものになるというのがどういう 事か、紗絵はよくはわからないが、少なくとも紗絵は“むっちゃん”以外のものになるつもりは毛頭無い。
 いったい、どうすれば良いというのか――。









 その光景を、じっと見詰める者がいた。
 広場にいる人間は誰一人として気付いてはいない。
 視線の主は、最初に祐一が縄で縛った紗絵を連れて現れた時から、ずっと岩山の上から下の様子を見ていた。
 紗絵の姿を見た時、本当はすぐに動こうかと思ったのだが、祐一の顔を見て何か目論見があるような気がしたので、しばらく静観していたのだ。
 今に至り、祐一の策はどうやらほぼ失敗に終わったようだった。というかあれは詰めが甘すぎて策とも呼べない気がするが。しかも祐一はともかく紗絵の方は大ピンチだ。
 どうやらこれまで。そう思った視線の主は、目を細めて広場に中心に意識を集中する。
 そして、小さく息を吐き出した。









 突然の事だった。
 いきなり広場の中心、紗絵のいる辺りで激しい旋風が巻き起こり、その場にいた全員がよろめく。
 紗絵も急に起こった旋風に目を瞑ったが、中心にいた紗絵には風の影響はほとんどなかった。その代わり、紗絵は自分の身を縛っている縄が緩むのを感じた。風の一部が、まるでカマイタチのようになって縄を切断したのだ。
 体が自由になった事に気付いた紗絵は、咄嗟に奪われた刀を探す。
 すぐに見付かった。風に煽られた際、持っていた男が落としたらしく、地面に転がっている。
 風が収まるのと同時に、紗絵は地面を蹴って刀の下へ走った。逸早く旋風のショックから立ち直ったゴメスが声を張り上げるが、構わず紗絵は刀を拾って地面を転がる。
 起き上がった紗絵は、男達の輪の外側に出ていた。
 手にはしっかりと、刀が握られている。素早く包みと解くと、左手で鞘を持ち、右手を柄にかけて抜き放った。
 紗絵は立ち上がる。右手には抜き身の刀が握られているが、その姿が異様だった。刃と峰が逆なのだ。本来、刀の刃があるはずの反りの外側に峰があり、反りの内側に刃がついている。言うなれば、逆刃刀である。
 陽光を反射して輝く刀身は業物のそれとわかるものだが、それは刀として、本来の用途からかけ離れたものだった。
 だがそれこそが、紗絵の旅の相棒である。。
 いたずらに他者の命を奪う事を望まない純粋な少女が、進むべき険しい道のりで出会うであろう敵と戦うための、身を守り、道を切り開くための力だった。
 顔を上げ、キッと眼前にいる敵を見据える。
 その視線は決して鋭いものではないが、今までの柔らかな雰囲気に包まれた少女のものとは違う。刀を手にした紗絵は、1人の剣士であった。

「おう、何かよくわからんが、脱出おめでとう、名雲」

 気安く声をかけて親指を立ててみせている祐一には例によって冷たい視線を返しておく。

「ほう、そっちの嬢ちゃんも、ただの小娘ってわけじゃなさそうだな」

 続いて声をかけてきたゴメスに視線を移す。
 紗絵は静かな表情で、しかしはっきりと怒りを露にする。

「ゴメスさん、だったよね。それに周りの人達も。物を壊したり、人の物を盗ったり・・・・・・人を殺したり、たくさん悪い事してるんでしょ。そういうのって、すごく良くない事だと思う」
「そうかい。正義感の強い嬢ちゃんだな。けどな、世の中やったもん勝ちってんだよ。善人なんざつまらねぇ、悪人の方がよっぽど美味い汁を吸えるってものさ」
「そうみたいだね。すごく、悲しいけど・・・・・・」
「さっきも言ったが、嬢ちゃんも俺の女になるならおいしい目に合わせてやるぜ」

 さっきから何度も、ゴメスがその言葉を口にする度に、紗絵は他のどんな言葉よりも強い不快感を覚えていた。

「それ、やめて。あたしを自分のもの扱いしていい人は、この世で1人だけなんだから。そういうのも、許せない」
「何だ、男がいんのか? そっちの小僧・・・・・・じゃねぇよな」
「・・・・・・あと許せないの、あたしの事騙して利用しようとした相沢君とか、相沢君とか、相沢君とか・・・・・・」
「おいおい、倫理的な事言ってたかと思ったら個人的恨みの方が強いのかよ」

 紗絵のじとっとした視線を受けて、祐一が呆れた感じで肩を竦める。
 とりあえず、祐一の事は後回しだった。目下のところ、紗絵の敵は目の前にいる、ゴメスという賞金首の男だった。
 道徳的にも、個人的にも、この男は許せない相手だった。
 だが倒す前に、一応聞いておかなければならない事があった。

「ねぇ、一つだけ聞いてもいい?」
「あん? 何だ?」
「“むっちゃん”って男の子に、心当たりはない?」
「はぁ? 何だそいつぁ? そんな愛称で聞かれたってわかるかよ。まぁ、どっちにしろ覚えがねぇがな」
「そう・・・・・・」

 がっかりするより、むしろホッとした。
 あの占い師を自称する謎の少女、芽衣子からここに来る事が“むっちゃん”に繋がる手がかりになると言われてやってきたのだが、こんな悪人達と“むっちゃん”の間に直接の繋がりなどあってほしくなかった。
 そうとわかれば、この男と話す事はもう何もない。これ以上、不快な言動をされるのは嫌だった。
 紗絵は刀の柄に両手をかける。

「む・・・・・・」

 ゴメスが紗絵の様子を警戒した瞬間、紗絵の姿がその場から掻き消える。
 周りで見ていた男達は、その出来事にただ唖然とする。だが紗絵の動きを正確に捉えていた者がその場に2人いた。

「上か!」

 その内の1人、ゴメスが頭上を仰ぎ見る。
 一瞬にして、紗絵はゴメスの真上まで跳躍し、刀を振りかぶっていた。
 頭上から迫る紗絵に向かって、ゴメスは手にした斧を振り上げる。
 両者の得物が衝突する。
 常識的に考えて、勝負の分がどちらにあるかは明白だった。
 上という優位を得ているとはいえ、紗絵の細身とゴメスの巨躯ではそんな優位など無きに等しい腕力の差がある。その上武器の大きさでも、圧倒的にゴメスの斧に分がある。ゴメスの巨体が繰り出す斧の一撃を前にしては、紗絵がいくら上から体重を乗せた一撃を放とうと、 正面からの打ち合いでは勝負になるはずがなかった。
 しかし――。

 ガッ―――!!!

 紗絵が振り下ろした逆刃刀は、一撃の下に斧を砕き、それを手にしていたゴメスをも叩き伏せた。
 肩に打撃を受け、地面に突っ伏したゴメスは、そのまま再び起き上がる事はなかった。完全に気を失って痙攣している。
 まさしく勝負にすらなっていなかった。
 誰もが想像したのとは、逆の形で。



















あとがき
 どこでも見られるような、とても王道的な展開。私の書く話で主人公が強いのは常の事である。祐一はますますよくわからないキャラになってきているが、次回でちょっとだけその本質に迫る。