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このお皿はご覧の通り大疵物ですが、これほど写実的に描かれた茄子図は初めて見ました。 実は私、昔からデザイン化された白抜き茄子文が欲しくて探していたのですが、そんななかでこのお皿に出会いました。 「茄子」 は 「成す」 に通じる縁起文ということで、お皿の文様として古くから描かれております。 しかしながら、「なす」はいずれにしても日本語の「音」合わせですから、中国からの 伝来文様ではなく、磁器以前からの日本独自の画題としてあったものと思います。 お皿の茄子文と言えば、中期末から後期にかけてのデザイン化された白抜き茄子文のイメージが強いのですが、 日本独自の画題として考えてみると、磁器以前の絵画の世界からの延長でありますから こうした日本画的具象画が存在することは至極当然のことであります。 青海波や茄子絵の描き方、高台周囲の波頭文と蛸唐草の構成は18世紀の中葉頃までに 見られるものなので享保から少し下がった位のものと判断しています。 大疵ですが見逃すとまず出会えないような気がしたのです。 と云うことで、当コレクションとしては看過するわけには行かない一枚でありました。 2009年2月1日 A |