染付 七宝繋波に鮎文皿
元禄時代 径21.7cm 高3.1cm 

先月中は鮎漁の解禁まもなくで、鮎の話題もTVでよく見られたが最近はあまりなくなった。
昔、会社勤めで関西に居た頃には岩や石がゴロゴロした清流が比較的近かったので、釣りに出かけたこともあったが、
関東平野の田園地帯、満々たる水を湛えた利根川下流の故郷に納まってしまった現在はとんと縁がなくなってしまった。

鮎のお皿を見るとあの頃を思い出す。今頃になると鮎も大きくなっていて釣れると喜びもひとしおであったが、
この時期の釣り方は「友釣り」と言って、囮の鮎を使った独特のもので、初心者には難しくなかなか釣れませんでした。
鮎の縄張り習性を衝いて、後方に釣り針を取り付けた囮鮎を侵入者として送り込み、追い出しに来た先住鮎を
引っ掛けて釣るという、まことに狡猾な釣りで「だまし討ち」みたいであまり好きではなかった。

と言うのは、「釣れない者のヒガミだー」と連れて行ってくれた先輩に良く言われたが、その通りで
めったに釣果はなく、現地で購入した囮鮎がお土産ということもしばしばでありました。
それでも陽に煌く清流に踏み込んで竿を操った感触は鮮明な記憶として残っている、良い経験をさせてもらった。

この皿も駆け出しの頃から気になっていた皿で、数年前に手に入れたときは嬉しかったー。
お気に入りの一枚です。

2008/7/1