藍九谷 花唐草鮎図変形皿 江戸前期:径18.6*10.5cm 高3.2cm

昔、会社勤めの頃、滋賀県にある工場に勤務していたことがある。
そこには渓流釣りの名人がいて、今頃の季節だと、稚鮎釣りを教えてもらった。
鮎は成魚になると川石についた水苔しか食べないのだが、幼魚の時は肉食で
虫や動物性プランクトンを食べるらしい。
虫に似せた毛鉤に食らいつくのである。これは初心者の私にも釣ることが出来た。
鮎は小さいけど鮭科の魚なので、口が大きくて、この皿の鮎のように結構怖い顔をしていた。

この皿の鮎の表現などは盛期の藍柿に近い描き方をしている。
さりながら器形や裏面の作り、唐草を見ると、古九谷や藍九谷そのものという雰囲気である。
こう見るとこの皿は寛文から延宝にかけての皿と判断することができる。
銘は角福。

渋くて美しい皿である。

2001/5/18