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江戸時代前期 (1615〜1672年)
初期伊万里 (元和1615年〜慶安1651年頃)
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初期伊万里編



 初期伊万里と同時代の唐津の資料を掲載しました。
これは日本在来の焼物の世界に入ってきた磁器が、当時いかに革新的なものであったかを明確にしたいからです。

この時代以前の日本の焼物は六古窯に代表される陶器の歴史でした。陶器の場合には具象的な絵付けはなく、茶道以降、景色と呼ばれる、造形と窯変、釉薬の発色により想起されるイメージを愛でておりました。陶器においてもこの資料のように、鉄釉での草文などがありますが、これも絵としてよりも景色の補足的な意識であったように思われます。

ここに、硬質な白地で「絵」の描かれた磁器の出現は、まさに異文化そのものであり、驚きと憧れの対象となったことでありましょう。当初は朝鮮や志那風の意匠の絵付でありましたが、充分にキャンバスたり得る白さと滑らかさを持った磁器は、当時すでに成熟していた絵画の世界の絵師たちも注目して行ったことは想像に難くない。これが磁器製造が始まって以来数十年で、世界に誇る超一級の美術品にまで到達し得た盛期伊万里の原点なのでありましょう。

【唐津資料】伊万里市の唐津焼コレクター多田(英)氏に頂戴した出土品。