地震対策の検討 (2011.3.11 東日本地震を体験して)

すべてのコレクターさんは地震にたいしては、常に不安と恐怖を抱いていることでしょう。
そんなに心配なら入念に保護梱包して仕舞い込んでおけば良いのだがそうはいかない。
身近に置いて眺めていたいのもコレクターの心、「眺めていたい」 VS 「怖い」 のジレンマの中にいる。

数があれば全点飾っておくわけにも行かないから選択される訳であるが、これも悩ましい。
眺めていたいのは「お気に入り」のものである、さすがに「高額」のものは恐怖心が勝って陳列されることはないが、
ミドルクラスの上手は出ている。

ホームページを始めて結構な年月が流れたが、やって良かったと思うのは自分のコレクションをいつでも眺められることである。
収納コレクションにしていたら、記憶の彼方に埋まってしまったものも何点かあったろうし、出したり仕舞ったりしているうちに事故
に遭うものもあったろう。時々、あのお皿を「見たい触れたい」と思うことがあっても、HPの詳細写真を眺めれば感触も風合いも
蘇ってそこそこ満足できる。このHPは自分のためのものであったのだと最近は感じている。

「だったら、なおのこと収納しておけよ!」と云うことなのだが、飾り棚はあるし、そこを空しゅうしておくのも切ないし、引っ込める
ことは出来ないでいる。

そんななかでの311地震、震度6 の2連発。
一応自分なりの地震対策はしていたので、軽微な被害でことなきを得たのであるが、今後の対策のために、数点の被災事例を
検証した。

・・・・・あはは、そんな大層なものじゃないだろう!

でも、でも、少しは地震対策の参考になるんじゃー。




効果のあった対策 (震度6までの実績)

 棚の転倒防止金具
   市販の固定金具で木ネジやビスで固定したものであるが、効果絶大。
   これはありがたかった、飾りだな、リビングボード類は建物部材に金具で固定していたので一切
   転倒しなかった。書斎(?)の本棚は固定してなかったので倒れていた。散乱した本を眺めて、これ
   が本じゃなくてお皿だったらと思うとゾッとした。

 棚板前端のストッパー
   蕎麦猪口の飾り棚に付けていて、簡単なものであったが猪口は一つも落下しなかった。

被災事例 (震度6での事象)


第1図
棚は倒れることはなかったが、中身は揺すられて移動してしまう。中段の棚板はガラス面からはかなり引っ込めてあるので、隙間が大きい。これは大きな見落としであった。これも棚板の前端にストッパーを設置しておけば良かったのだ。

飾り棚を求める時は棚板とガラス面の隙間の小さいものを選ぶのが良いと思う。










第2図
物体というものは、人為的にやろうと思っても出来ないような状態でバランスすることがある。このことは昔工場に勤めていた頃に経験していたことなので驚きはしないが面白いものである。

生産ラインで大量の商品を搬送するところでは時々考えられないようなバランスで詰まりを起すことがあった。確率1万分の1だから良いかーとはならない。一日何十万個も流しているのだから、一日何十回も停止することになる。こんな機械使えるかと言われる。現場では日常的に絶対を求められるのである。

少し脱線するが原子力発電所の実態はどうだ。想定外だったからと言い、絶対安全は不可能だからと言い、絶対を追求しなかった怠慢が引き起こした事故なのだ。元弱小企業の凡々技術者から見ても甘い。想定外を対策するのが技術者の使命。すべてのコントロールが不能になったときどうするの対策が絶対安全の入り口なのだ。


話は戻るが、このバランスは状況がちょこっと変われば崩れてしまうのだ。引き戸の場合は反対側の戸を開けて手を差し込んで救済したが、開き戸はどうしようもなかった。
後で考えてみるとガラスを破って救済した方が安くついたのだが、思いつかなかった。でもガラスを破る振動で落ちたろうとも思う。

これも、隙間の問題と、ストッパーの問題ですね。


第1図

第2図


第3図
上の段に酒注を置いていたがこれが意外にガッチリしたもので、下のサラが犠牲になった。
上にあるものは落ちると言う当たり前のことを考えて下のものに害をなさない程度のものを置くことにする。例えば漆器製品などにするか。







第4図
高さ120cmほどのレトロ家具の上に蕎麦猪口と幕末の通い徳利を置いていたが、破損状況を見ると後から徳利が落ちてきて割られたと思われる。
実際は通い徳利は肉厚のごついものなので、猪口だけが砕かれたのだが、モノによっては両方壊れてしまったろうと思う。

これらの事例もストッパーなどの落下対策をとるか、または一品を品良く飾って置けば良かったのだ。
助かるチャンスがあったのに、壊してしまって後悔しているのである。

第3図

第4図




こうした検討手法は産業界ではKYTと呼ばれる安全活動手法の一つです。
本来は事前にこれらの事象を推察して対策をとるのが目的なのですが、事後の反省も重要な安全行動なのです。
・・・・「コケの知恵は後から回る」・・と言われても、二度と失敗を繰り返さないことが大事なのです。