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風邪の治療に鍼灸を
こんにちは。
いかがおすごしですか?
風邪ひいてないですか?
風邪の諸症状ってよく言いますね。
例を挙げると
悪寒
発熱
鼻水・鼻づまり
せき
たん
くしゃみ
喉の痛み
頭痛
肩や腰や膝など関節の痛み
背中や首や腕など筋肉の痛み
ってところですかね。
つらいですね。
じゃあ、風邪をひいてしまったとして、治すとするなら原因を考えないといけませんね。
だって原因を正確に当てられなければ、対処を間違ってしまうかもしれませんもんね。
腹が痛いからと言って、みんな盲腸ってわけではないですよね。
盲腸でもないのに盲腸の処置したって腹痛は治りませんよね。
正確な原因を探るというのはそういうことです。
よって、風邪を治すために、どうして風邪になるのか、風邪の原因は何なのか、って話になります。
ざっくりわけて風邪の原因は
@体を冷やした。
A菌やウイルスが体内に入って増殖した。
の2つです。
@の「体を冷やした」ってのは分かりますね。
お風呂から出て服を着ないでいたら体が冷えたとか、外で作業をしてて、暑くなったので服を脱いだけど、そのうち汗が冷えて体か冷えたとか。
そんな感じです。
つまり体温を外部に奪われて、その寒冷刺激によるショックが体を正常に動かせないようにした、ってことです。
Aの「菌やウイルスが体内に入って増殖した」ってのは、他人に風邪をうつされたってことです。
それがインフルエンザなのかアデノウィルスなのかライノウイルスなのかってのは、まあ各論であって、大きく分けるときには論じません。
何かしらの自分以外の生物(?)が体に入ったので、防御反応で風邪症状が出たってことです。
じゃあ、風邪を治すには原因を確かめた後、結局はそれに応じた薬を飲むだけでしょ?となるのでしょうが、この「治す」って言葉がまた難しくてですね。
ご存知でしょうか?
厳密にいえば、風邪は「薬では治らない」んですよ。
昔はね「風邪」「水虫」「(男性の)ハゲ」を治せたらノーベル賞がもらえる、って言われてました。
それくらい難しいってことです。(実際にはもらえませんしね)
今では水虫は治せるようになりました。
ハゲもいけそうです。
でもね、風邪はまだなんですよ。
今の「風邪薬」ってのは、体のつらい症状を軽くしたり抑えたりするのが目的で、「原因」には手を付けていないんです。
結局、今でも風邪を治すには、薬を飲んで、体を休めて、体力を回復させることにより、自分の免疫力をアップさせて治しているんです。
美味いもん食って、クソして寝てろ。ってやつです。
(お医者さんによっては、食事も内臓の体力を使うので「食うな」という先生もおられますが、当院は「食え」派です)
なので、風邪薬に関しての「治す」は「症状が軽くなる」の意味合いだということになります。
当院では「風邪は鍼灸で治る」と常々言っています。
この場合の「治る」も薬と同じ「症状が軽くなる」の意味合いです。
では、どういう理屈で「鍼灸で風邪が治る」と言い切っているのか。
このホームページでもよく出てきますが、東洋医学とは「神経を刺激する治療法」です。
鍼や灸で体のツボを刺激して、その刺激が神経を通して脳に伝わって、脳が刺激のパターンを判断して、体の全体に反応を返す。
鍼灸はそうして治しています。
で、@の原因に関しては治しやすいです。
寒冷刺激の影響が全身の神経に残ってしまったのを、別の部位からの刺激で正常化させます。
神経への刺激ってことで、話の流れは想像しやすいかと思います。
で、問題はAの原因に関してですね。
体の中にいる菌やウイルスに、鍼灸はどう効くのか。
菌やウイルスを1匹1匹を鍼刺してやっつけている、、、訳ではないのは分かりますよね〜。
単位が『匹』でいいのかも議論の余地がありますしね。
じゃあ、Aが原因の時はどうなんだ、と。
答えはですね、「神経の興奮の『適正化』」です。
おんなじこと繰り返して言っているようですが、ちょっと違うんですね。
あなたが風邪をうつされるとき、まずは菌やウイルスは目や鼻や喉の粘膜に付着します。
そこから増殖がスタートするんですが、体は外敵の侵入にいち早く反応するんです。
緊急信号を出すんですね。
すると全身に緊急信号が行き渡り、防御反応が表れます。
それがいわゆる「風邪の諸症状」というやつです。
ですがね、その緊急信号ってやつが問題で。
体は自分を守るために緊急信号を「強く」出します。
ウイルスが増殖してすぐの時ってのは、例えて言うなら「タバコの不始末で灰皿の上に煙が出始めた状態」です。
こんなボヤが家で起こったなら火災報知機は反応するでしょうが、処置が早ければバケツの水でもどうにかなるレベルです。
ですが、体の反応は違います。
ウ〜〜〜ウ〜〜〜!! カンカンカン!!!
となって「ボヤに市内すべての消防車が消火に当たるような重大な状態」に持ち込むんです。
これは体の反応が良くて、体のことを心配しているからこうなるんです。
菌やウイルスをなめてかかるとえらい目に合うのを知っているんですね。
じゃあ、鍼灸で反応を抑え込んじゃダメじゃねえか、と皆さん考えておられるのが手に取るように分かりますよ。
ですがね、本来はボヤ程度なら「火を消す反応だけ」でいいはずなんです。
体内の免疫で風邪の菌やウイルスをやっつけるのが目的なら、「免疫機構『だけ』フル稼働」していればいいんです。
体の節々が痛くなったり、頭や目の奥が痛くなったり、咳や鼻水がドバドバに出る必要はないんです。
風邪をひいたときに、そのための鍼灸施術をすると、まず「頭や体の節々の痛み」が軽くなります。
菌やウイルスをやっつけるのに、「そこ」は反応する必要はないからです。
神経の興奮の適正化の結果です。
そして「喉の腫れと痛み・咳」が軽くなります。
ゼロにはなりません。
必要最小限になるんです。
「鼻水と痰」に関しては変化がないかもしれません。
体内で行われた免疫の仕組みにより、排出される「細菌・ウイルスと白血球の死骸」が鼻水や痰となって外に出されるからです。
「熱」も少し下がります。
熱に関しては免疫においては必要な時がありますから、下がらないこともあります。
ですが、皆さんが思っておられる「熱と体調不良の相関」は大きく崩れます。
熱が高くても「痛い」「つらい」「だるい」がとても少ないんです。
神経の興奮の適正化の結果です。
そして神経の興奮の適正化により、より必要な仕組みへ栄養やエネルギーが回せるようになります。
鍼灸施術により免疫機構の活性化が見られるとの報告もあります。
免疫機構が活性化するなら、「本当の風邪の完治」への時間も短くなるんです。
ここで「痛くないしつらくない」→「治った!」→「動こう!!」となってはいけないんです。
なぜなら、表面的なつらさは適正化されましたが、内部の免疫機構はフル稼働の状態だからです。
やはり風邪を治すためには、表面的なつらさはなくなったとしても、体を休めて免疫機構へエネルギーを回すことを怠ってはいけないんです。
鍼灸施術を受けたとしても、やっぱりその日は「美味いもんを食ってさっさと寝る」ようにしなければいけません。
まあ、翌日も仕事は70%ぐらいに抑えて、定時に帰ってさっさと寝る方がいいと思います。
翌々日からバリバリ働いたらよろしいかと思います。
これを機会に「風邪をひいたら鍼灸も選択肢に入るよ」というのが広まっていくといいなぁ、と思います。
当院に連絡するとき、「予約しようと思ったけど、風邪ひいてるからどうしようか迷っちゃうなあ」なんて思わずに、「肩と腰と、あと風邪もひいてるんで治してください」とか言って頂ければ、サクッと対応させていただきます。
お力になれると思いますよ。
皆さんの助けになれれば幸いです。