‘11 04月号
 #69 新たな世界 D 

「『THE WORLD』」
「時は止まった……『秒前』!」
 ジョニィが放ったタスクの発射を受けて時を止めるDio。愛馬から跳び下りる!
放たれたタスクAct.4は推進は止まっているが、弾爪の回転は凍った時間の中でも回転し続けている。

「『秒前』!!」
 隠し持っていた拳銃を抜きジョニィに向けて撃鉄を起こす。しかし弾丸はでない。
意外なことに止められた時の中では銃は使えない。

「『秒前』」
 発砲を諦めて歩を進めるDio。

「『秒前』」
 スタンドのザ・ワールドがジョニィの左側に回り拳を構える。
Dioは薬莢のケツを叩き、その弾丸を拳銃に込める。

「『秒前』」
 ジョニィに銃口を向けるDio。

「『時は動き出す』…」
「はッ!」
状況に気付くジョニィ。
 ザ・ワールドの迎撃のために弾爪を撃つが首筋にDioの弾丸を受ける。
ザ・ワールドの左肩を傷つけることが出来たが、大きく体勢を崩す。6発のタスクを発射するが当てることは出来ずそのまま落馬してしまう。


{おおー――っといきなりここで何が起こったァー――ッ!?}
{突然ですッ}
{ジョニィ・ジョースター騎手が落馬していますッ!!}
{出来事が把握できません!!ジョースター騎手が落馬しDioも馬を下り立ちつくしていますッ!}
{ジョースター騎手が負傷していますッ!怪我をしていますッ}
{なんと残す距離約1000メートル、ブルックリン橋を渡り終えるギリギリのところでいったい何が起こったのでしょうか!?}
{ジョースター騎手が落馬して負傷していますッ!!}
{そこにディエゴ・ブランドー騎手が歩み寄りますッ}

「これで『馬から下りた』な」
「大統領から聞いた解説によると…『無限の回転』はもう無いわけだ。『馬の力』を利用することはな…」
「これからオレのところへ戻ってくる…この橋の『鉄骨』へ撃ち込んださっきの『無限の爪弾』を消し去ったらだが…」
「…だろう?」
「撃ち込んだ『無限の回転』は無限だから消えることはなく、まだこの橋の上にいる。『Act.4』」
「違うか?」「そうしたつもりだろう?それがおまえの『計画』」
「そしてそれも予定通り…」
「オレの『計画』だ」
 Dioがザ・ワールドの背中に乗る。
「ここに戻ってくるッ!!」
 そしてザ・ワールドが右脚のみで立つ。
そこへ地面を伝ってAct.4が迫る。
片足で立つザ・ワールドにAct.4が接触する。
「『無限の回転』か……これしか防御する『方法』はないとはな…」
「しかし勝利には犠牲はつきものでもあるわけだ」
「来たか…」 

ドンッ

無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄アァアッ!!
 左手の手刀で右スネの辺りから脚を切断するDio。
ぐあああッああっ
「『回転』は……おまえ自身がくらえッ!」
 切断されたザ・ワールドの右脚がジョニィの身体に当たる。
そう…これこそがDioの狙いだったのだ。ジョニィの身体に『無限の回転』の症状が顕れる。
「『Act.2』!!」
 タスクを発射するが、自分のもとに戻ってしまう。Act.4の効力である。

 その時、Dioの脳裏には大統領の遺言がよぎっていた。
「『Dio』…無限の回転を逆に利用しろ」
「一度ジョニィ・ジョースターの『無限の回転』を体に喰らってしまったなら…もはや何者だろうと何も『道』はなくなる」
「何者だろうとだ。この世から…『消滅する』という物理的事実を肉体も精神も受け入れざるを得ないのだ」
「それを逆に利用しろ」
無限の回転をジョニィ自身へぶつけるのだ。勝利しなくてはならない
「それしか『道』はない」
「Dio、おまえの『勝利』だ!」
 再び乗馬するDio。
{再び騎上に戻った『ディエゴ・ブランドー』!!}
{ついにブルックリン橋を渡り終え…『市庁舎前』を左方向へ走り抜けますッ!!}
{ディエゴ・ブランドー騎手も橋の上で落馬したのでしょうかッ!?右脚を大きく負傷している模様ですッ…!!}
{しかし速度は落とさず、依然後方を離したまま単独最終直線ブロードウェイに入って来ましたッ!!}
 ついにゴール直前。
{残り500メートル!前方にトリニティ教会が見えて来ました!!とはいえDioのスタミナが持つのでしょうか!?}
{『ポコロコ}ッ!『ノリスケ・ヒガシカタ』がDioに迫り追い上げます}
{2番手に『スループ・ジョン・B』!}
{ジョージー・ポージーもネリビルも加速して続きますッ!!}
{残り400メートルッ!!}
{300メートル!}

「戻れ『スローダンサー』ッ」
 愛馬を呼んで何とか騎乗しようとするジョニィ。鐙に手をかける…が。
グルグルグル
 回転が発動して地面に落ちてしまう。
『ハァーッ ハァーッ ハァーッ ハァーッ』
『無…『無限の回転』…『き…騎乗できない』…ダメだ…』
{1890年9月25日午前10時!西海岸・カリフォルニア・サンディエゴをスタートしたこの北米大陸横断SBRレースッ!}
{総参加騎手数3652名!走行距離約6400q}
{走行日数時間!116日と6時間と33分…12秒}
 もはやどうにもならない。ジョニィの目から涙があふれる。
{レースの覇者はッ!!}

『ディエゴ・ブランドー』!ゴォォォー――――ルッ

{ついに!} {ついに!} {ついにッ!} {ついに!}
{ついにッ!} {ついに!} {ついにッ!}
{ついに決着がつきましたーッ!1着でゴールしたのは『ディエゴ・ブランドオオォォー――ッ』!1891年1月19日6時33分12秒ッ!9th.STAGEの勝者はディエゴ・ブランドー――ッ!!}
{FINAL STAGE特別獲得賞金10億円!並びに総合獲得合計ポイント442Pで}
{SBR最終総合勝者ディエゴ・ブランドー――ッ!獲得賞金60億円!!!}{合計金額70億円の獲得ですッ}
{その他副賞として大陸横断鉄道株主賞!ホライゾン新聞社賞!北米馬主協会賞!野菜品種改良社賞!通信カタログ販売賞!!}
{世界の頂点はッ!!}
『ディエゴ・ブランドーで完結ですッ』!!
 紙吹雪が舞い、人々の歓声があたりを包む。この場に居る全ての人々の尊敬を集める。1着以外は全て関係ない。頂点が1人いるだけ。
SBRレースは終了したのだ!!

ゴール地点・マンハッタン トリニティ教会地下に
すでに造らせていた『地下シェルター』へ
『遺体』を納骨格納するのだ

 大統領の遺言とおりに教会の地下へ下りて行くDio。

裏門 墓地裏から地下へ入れる
『シェルター』の扉の造りはいたってシンプルだ
扉は今!『施錠』されていない…
『遺体』を中へ納めて施錠すればいい

 協会地下の薄暗闇の中に剛健な造りのシェルターがその姿を現す。

シェルターと扉は一度『施錠』したなら君も含めて
『どんなスタンド使い』だろうと、あるいはどんな軍隊であろうと
80年間は破壊する事は出来ないだろう
そういう造りになっている
だが『遺体』は所有者であるおまえの味方となる


Dio、この国とおまえが『ナプキン』をとるのだ
わたしの代わりに…

 かくしてDioがジョニィから奪った『遺体』がシェルターに格納される。

『全ての幸運』と『世界の中心』がこの場所となる

今週のめい言

 「無駄無駄無駄……無駄無駄アァアッ!」 

○予告通りタスクAct.4の『無限の回転』を完封したDio。基本コンセプトは『大統領の遺言』によるものですが、片足を失うという代償を伴う覚悟の実行は見事なものです。

○Dioの計画を順に追っていくと(1)まずジョニィにタスクAct.4をわざと撃たせる。(2)そしてジョニィを馬上から引きずり降ろす。(3)自分(ザ・ワールド)の身体の一部を囮にして『無限の回転』をジョニィ自身にぶつける。

○(2)が巧妙なところで無限の回転をジョニィにぶつけても効果が出る前に再度Act.4を撃たれる可能性を封じこめたのです。『無限の回転は無限の回転で中和することができる(回転の方向で正負があるようですが)。これは考えるよりも難儀な行動だったでしょう。なにせ、時間停止5秒を丸々(2)の行動の準備に費やしましたから。半端な攻撃ではジョニィのように練達の騎手を落馬させることはできません。久しぶりに見られた『本体とスタンドの連携攻撃』によりジョニィを引きずり降ろすことに成功させました。そして(3)、自分の左脚を切断する覚悟!Dioの完勝というところでしょうか。

そしてついに幕を閉じたスティール・ボール・ラン・レース!!全9STAGEsを走破し、トップ・オブ・ザ・ワールドに輝いたのはDio(8th.STAGEの途中から別のDioに代わりましたが)ことディエゴ・ブランドーです!Final STAGEも含めて、STAGE優勝3回という偉業は天晴れと言うしかないでしょう!

○大統領が前もって用意していた、SBRレースのゴール トリニティ・チャーチ(三位一体教会)の地下に建造されていた『遺体専用格納シェルター』…恐るべき頑強さを誇り、しかも一度施錠したら二度と開かないらしい。「80年はどんな軍隊もスタンド使いも破壊できない」という代物であります。そしてDioによって『遺体』はシェルターに置かれた状態となっています。ところで『80年』という数字には何か意味があるのでしょうか?80年後の1971年というのは…空条承太郎の誕生日とほぼ一致するのですが…。因みに承太郎の誕生日は『1971年1月21日〜2月19日(水瓶座)の間』です。ただし諸説あります。

○少し興味ある現象として、時間停止中には拳銃が機能しないようである。あのままでは時間流動した途端に弾丸が飛び出すということもないようである。Dioが薬莢のケツを叩いて(つまり撃鉄が機能したと同じ状態にして)拳銃に込めました。その結果、時間流動と同時に弾丸が飛び出しました。この法則で行くと、時間停止中にマッチを擦っても火は点かず、時間流動と伴に火が点くということになるのでしょうか。

○さて…このまま教会地下シェルターの扉は閉じられて『遺体』は封じ込められるのでしょうか?Dioが『ナプキンを取り』世界の中心となるのでしょうか?それもまた無限にある平行世界の中での1つの結末でしょう。ジョニィはどうなったのであろうか?自らの無限の回転を喰らい、絶望の中でこの世界から消滅してしまったのでしょうか?

○『遺体』は所有者であった大統領に対して『全ての害や不幸を吹き飛ばす空間―能力名:ラヴ・トレイン』という『奇跡』を提供しました。ところで、短時間でも所有者であらしめたジョニィには『遺体』は何の奇跡も与えていないのでしょうか?短絡的な予想かもしれませんが、私は『遺体』が奇跡を起こしていると思います。いやもはや予想ではなく願望です。つまり『ジャイロの復活』です。かつてロンギヌスによりその御身を刺し貫かれながらも息を吹き返したように、D4Cに胸を貫かれて絶命したジャイロの息も吹き返してくれないだろうか?ジャイロが復活すれば…ジョニィも復帰である!

『無限の回転は無限の回転で中和することができる。ジャイロが復活すればジャイロの無限の回転―能力名:ボール・ブレイカーによりジョニィのAct.4は解除されます。今まさにDioが扉を閉めようとした時に実況がこう叫ぶのを願います。{7位でジャイロ・ツェペリ、8位でジョニィ・ジョースターがゴールしました}。

○もしジョニィ(達?)が『遺体』を取り戻したらその『遺体』はどうなるのでしょうか?やはりヴァチカンに保存されるのが筋というものでしょうか。アメリカの東端からさらに大西洋を渡って東に行きヨーロッパに行くというのも筋のように思えます。意外にノリスケ・ヒガシカタも『遺体』が目当てで、『遺体』は日本に運ばれてそこから続編…みたいな予想はどうでしょうか?

○来月号で最終回。よって予想は今号で終りです。最後の結末を見守りましょう!

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