‘09 01月号
 #44 大統領が来る!A 


これで……
オレの『居場所』はこの地球上で無くなった…いや…
もともと最初っからそんな所はどこにも無かったのかもしれない…

 ウェカピポの一投が大統領を襲う。

何か意味のある『大きなもの』のために護衛できればそれでいい…
それしかできないのがオレの性質だ…

 敗北する方にはつかない…そう宣言していた男が圧倒的優位の男に弓をひく…もとい鉄球を投げる。

『ルーシー・スティール』か…一度も会った事もないただのちっぽけな女の子のために…
この国を敵に回してしまった
だが、ま…それもいいか……これでオレの気分もけっこう…
清らかだ

 ウェカピポの投擲は大統領とそのスタンドをひるませ何メートルか後退させた…しかし、
「何なんだ!?こいつはッ!!」驚愕するDio。「こいつの能力は!?」
「…『透明』になるとか『変身する』…とか、そんなんじゃあない……」
 ヴァレンタイン大統領の顔にポッカリと穴が空いている。
Dirty deeds done dirt cheap』 “いともたやすく行われるえげつない行為”」
 突然なセリフを言う大統領。

ドン   ドゴォア

 Dioに向かって左右の拳撃を放つスタンド。
しかし恐竜の反射神経でかわすと逆に大統領の首を両手で絞め、壁に押し付ける!!
「はッ!?」「こ…これは…!?」
「何だ!?消えた!!?」
「今度は消えたぞ、手ごたえはあったのに」
『だがいるッ!臭いはあるッ!間違いなくヤツはこの『場所』にいる!』
 必死に大統領の居場所を探るDio。
「『Dio』オオオオオオー――ッ」
 ウェカピポが絶叫するッ!
今度はDioの背中から、ハッキリと染み出てくる大統領。この世のものとは思えない光景である。
「『Dirty deeds done dirt cheap』 “いともたやすく行われるえげつない行為”」
 またもやあのセリフを言う大統領。
背後の大統領を右肘で攻めるDio、しかし宙に跳び出しそれをかわすと両拳で地上のDioを攻める大統領。

ボッ!  ボッ! ボッ! ボッ! ボッ!ボッ!

 ウェカピポが再びナイスフォローを行う。今度は『衛星』が大統領を襲う。
かわしはするものの左側の感覚が失われていく。
「ネアポリス護衛式鉄球――『左半身失調』!」
「Dioッ!失調は十数秒しか続かないッ!」
「その間に『逃げる』か!?このままヴァレンタインを『始末』するか!?」
「どっちにしても動くならヤツの『左側』からだッ!」
 ウェカピポの言うとおり、左側に回ったDioとウェカピポを認知できない。
Dioが投げた小石を易々と頭部に受けてしまう。
「礼を言うぞッ!!ウェカピポ、やれるぞッ!」
 左側から鋭い爪を生やした両手でヴァレンタインを襲うッ!!

ドグシャアアア

 角にある…例の国旗を巻き込んで大統領を攻撃…のはずが再び姿を隠す大統領。
「くそッ!!ま…まただッ!!」
『だが…『何か』に隠れている…!!『何か』に…溶け込むように隠れるのがヴァレンタインの『能力』だ…』
『しかも『残り香』だッ!!いるッ!!確実にヤツはいるッ!!』
 国旗がヒラヒラと舞い、地面に落ちる。
『オレの足元 数センチ下にやつはいるッ!国旗の下に今、やつはいる』
 ウェカピポが叫ぶ。
「Dio、失調の時間が切れるぞ!!そこから離れろッ!!」
『いや!!『正体』をつかむ事だ…』『見るなら失調中の今だ…逃げたらそれは2度と不可能になる』
 Dioが心を決し、国旗を掴み跳ね上げるッ!!
すると国旗の柄のように大統領が一体化していた。
「『平面』だ」

URYYYYYY
 ここまで来たら引き返せない!両手のラッシュを敢行するDio。
ズボアッ
 姿の消えた大統領を追うように両手が旗に潜り込む。
さらにDioの襟を掴んだ大統領はそのままDioを国旗に引きずり込む!
気付くと……Dioは2人の大統領とウェカピポと…Dio自身を発見した。
「Dioが2人!?」「大統領がもうひとり!!『国旗』の中から……」
「『いともたやすく行われるえげつない行為』!!体半分だけな…こっち側に入れてやる!」
 何故か今月から使い始めた決め言葉を言いつつ、スタンドの指先がDioの左頬に喰い込む!!
「うおおおおおおおおおおおお」
 『遺体の左眼球』がDioの身体から飛び出す。そして大統領がキャッチ。
「これでついに『左眼球』が手に入ったッ!そしてこの『隣り』の場所に自由に入って来れるのはこのわたしの能力だけだ」
「引きずり込まれたおまえ自身がもうひとりの『自分』と出会う時!その肉体がどうなるのか?……」
 サッ と体半分引きずり込んだDioから離れる大統領。
「ゆっくり味わえ…」
『オ…オレの『体』はどうなっている!?この場所はいったい!?何なんだ!?』
『胴から下はどこにいるッ!?オレは何をされたんだ!?』
 するとDioの腹部が…積木が崩れるように、心太(ところてん)が押し出されるように…Dioの腹部が崩壊していく。
「何ィィィー――ッ」
ドバ ドバ ドバ ドバ ドバ ドバ ドバ ドバ ドバ 
「Dioッ!Dioの『体』が半分に!!ど…どうなっているッ!」

(8分前)――
16:10 PM――
フィラデルフィア 独立宣言庁舎前付近

 馬を留め、ジャイロに向かって歩き出すディスコ。それを陰から覗う大統領。
そこをDioが通りがかる。
「やはりな。いいぞ、尾けて来たなDio」
 と言って国旗の中に溶け込む大統領。

「うしろだジャイロッ!何しているッ!!!うしろにいるぞォー――ッ」
 叫ぶジョニィ。ジャイロの愛馬 ヴァルキリーから出現し、ジョニィの荷物に手を伸ばし大胆にも銃を抜き取る。
「はッ!」
ダンッ   ダンダンダンダン ダンッ ダンッ
 その光景を老画家が目撃する。
「……脚が動くのか、ジョニィ・ジョースター」
 そして国旗の角のウェカピポと屋根の上のDioを確認すると再びヴァルキリーを扉として溶け込む。
そしてまたも現れた時、その姿は3人となっていた。

16:13 PM――
フィラデルフィア 独立宣言庁舎前付近

 そして…Dioとウェカピポ、それぞれがこう叫ぶ。
「このオレが」「ジョニィ・ジョースターを撃ったのか!!」
 そして…おのおのが目撃される。

同じ場所に隣の世界を同時に存在させられる
それがスタンド能力
“いともたやすく行われるえげつない行為”
D・D・D・D・C(ディー・4・シィー)

今月のめい言

 「オレの気分も結構 
 ………清らかだ」

「隣の世界」――少なくとも3つの平行世界を行き来するファニー・ヴァレンタイン米国大統領。壁と言わず人体と言わず、どうやら触れることのできる物体なら(恐らくある程度の大きさは必要かもしれませんが)融け込むように「隣の世界」に自在に訪問可能。しかも「隣の世界」の事象を「こちらの世界」に移すことができます。どうやら全ての人物が、平行世界の数の3人づついるらしいのですが、もちろんキーとなるのは大統領×3です。

○この大統領×3の思考リンクのシステムはどうなっているのかが気になります。全く別々の人間として機能しているのか、それとも思考がリンクもしくは同一のものとして機能しているのか?大統領は合体というか融合できるようなので後者が正解かもしれません。

○平行世界には平行世界でDioやウェカピポがいる。それでは『遺体』はどうなのか?やはり『遺体』は3体ありそれぞれの世界に存在しているのか?ここらへんはハッキリして欲しいものです。さもないと悩みすぎてインフルエンザにかかりそうです。

ジャイロ&ジョニィ ウェカピポ Dio
1890年12月28日
14:45
マジェント・マジェントと対決
15:06 7th.STAGE ゴール
15:51 7th.STAGE ゴール
15:59 ジャイロ、Dioの愛馬の糞を確認
16:05   J&Jの姿を陰から見つめる 独立宣言庁舎に侵入
大統領と遭遇
ルーシーを目撃
16:10 ジャイロとジョニィが別れる Dioを尾行開始
ディスコとすれ違う
ディスコとすれ違う
ジョニィ、大統領に撃たれる
Dioを見失う 屋根の上でウェカピポの銃撃を受ける
ジョニィを撃ったことになる
16:13 ディスコと大統領に挟まれる
ディスコを倒す
大統領に襲われる
ジョニィを撃ったことになる
Dioと遭遇 ウェカピポと遭遇
公園にいる人に聞き込み 大統領の襲撃を受ける
16:18 Dio、「隣の世界」に引き込まれて身体崩壊


○大統領のスタンドDirty Deeds Done Dirt Cheaps――通称D4Cの能力がほぼ解明されたとはいえ、まだまだ充分に理解できていないです。この3つの平行世界は時系列が一致しているわけでもないようです。大統領がジョニィを撃つ→Dioに「隣の世界α」のジョニィを見せる→ウェカピポに「隣の世界β」を見せる…と私は理解しているのですが、正しいのかな。

○この時系列のズレを利用すれば、ルーシーがどこに向かったかも解ります。過去の事象を「隣の世界」から呼び出すことで情報を得ることができます。ルーシーが逃げたという話で思い出しましたけど、大統領の傷が治ったのはどういう仕掛けでしょうか?大統領同士が融合できることと関係あるのでしょうか?もしかして本当は4人いたけど1人減ってしまった!?

大丈夫なのか!?Dio。『遺体の左眼球』を取られたのもそうですが、腹部の辺りが崩壊するかのように肉片が飛び出しています。少し言い方が悪いのですが、一見の価値のある面白い画像です。心太(ところてん)のように押し出された肉片は、長方体に幾何学模様が造形されています。この現象が、大統領の言葉によると「もう1人の自分と出会った」結果らしい。ドッペルゲンガーに会うと死ぬというあれでしょうか?このままいけば、上半身と下半身が別々の世界息絶えるという珍しい死に方になってしまいます。

○『遺体』を手に入れると素質や才能、条件があった者のスタンド能力を引き出します。『遺体』を手放すとスタンド能力もなくなると考えられており、事実ジャイロのケースでは『遺体の右眼球』を手放した後はスタンド能力は発現していません。ただし、『遺体』を全て奪われたジョニィが依然として「タスク」を使い続けているというケースもあるため一概には言えません。(ジョニィのスタンド能力は「悪魔の手のひら」の影響という可能性もある)

○よって『遺体の左眼球』を奪われたDioも「スケアリー・モンスター」を使用し続けられる可能性はあると思います。死して大地に還るとしても、大統領に一矢を報いてくれるはずです。あいつはやってくれる男です!!

○大統領の能力の何が厄介かと言えば、溶け込むように「隣の世界」へ移動できるために攻撃が当たらないのが1番ではないでしょうか。これに対して、ジャイロの鉄球が大統領に命中して動作を止める効果を発揮すれば、勝利の道が見えるはずです。

○そして今号のキラリと光る一言が今月の名言で紹介したウェカピポの言葉です。人間の「力」には2種類ある。Dioのように自分の欲望や目的のために万難をあらゆる手段で除くための行動をする者たちが持つ「生き延びる力」、私利私欲を排しより正しいもののために行動する者たちが持つ「動かす力」。何を動かすかといえば我々の「心」です。仗助の言動に噴上裕也が動かされたように、ジョルノの言動にアバッキオが動かされたように、自分の保身よりも一人の少女を護るために行動することを決意したウェカピポは「動かす力」をその身にまとったことは間違いないです。ウェカピポ、死ぬなぁ〜〜!!

○これからの課題は、いかにしてこの「大統領の能力の情報をジャイロに報せるか」と「ジョニィを探し出して戦線に復帰させるか」です。後者はホット・パンツの登場が優勢か…?

○来月は休み、この続きは3月号です。ではでは。

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