以下の出来事は確固たる証拠を見つけようと探してもどこにもないだろう
しかしながら状況的な史実は各地に多数残っている |
初めに言葉があった。(ヨハネによる福音書 第一章第一節)
この言葉に命があった。そしてこの命は人の光であった。(同 四節)
そして言葉は肉体となり わたしたちのうちに宿った。(同 十四節) |
およそ2000年ほど前の出来事と思われるが
『その人物』は人々にとって新しい考えを示されたが
彼の存在は当時の社会ではあまりにも危険とみなされたので
人々のかわりに十字架にかけられ処刑されてしまった |
しかしどういうわけなのか…? きっと医学的にもありえないのだろう
致命傷を負ったにもかかわらず『その人物』は処刑後3日たったのち、息をふき返し蘇生した
その時、遺体安置所で『その人物』の傷ついた体を亜麻布でくるみ
香料で手厚く清めていたアリマタヤのヨセフという男に向かって
――『彼』は感謝を述べると次にこう言った―― |
涙を流しながらアリマタヤのヨセフは『彼』に聞いた
「またお会いする事が出来ますか?」
『その人物』はアリマタヤのヨセフの足元の砂に『9カ所』の場所を印で示すと
『物事は円―――回転したならば』
それだけ告げるとそのまま光の中に姿を消した |
『その人物』が印した『9つ』の印はどこかの地図のようであったが
誰にもそこがどこなのか?
何を意味するのか?
まったく理解出来ず、またそれ自体を信じようとする者さえいなかった
しかしアリマタヤのヨセフはそれを正しく書き写し生涯 大切に守った |
姿を消した『その人物』はその後…
東へ東へと旅を続けた |
それぞれの地方の人々と時には生活を共にし言葉や習慣を覚え
幾年も幾年も時は流れても旅は終わらなかった
そして世界の最も東の果ての地に来ると『彼』はそこで船を作り始めた
その場所に住んでいる人々も喜んで一緒に船を作るのを手伝い
そこから広がるとてつもない大きな海を更に東へ東へとこぎ出した |
広い海を渡り切ると『彼』は残りの生涯をその辿り着いた場所で過ごした――
旅に出てどのくらいの年月がたったのだろう…何歳になったのか?誰にもわからない
そして『彼』が息を引き取る時――その土地に住む人々も彼にこう言った… |
しばらくするとその地方に地震が起こり、断層が地面を引き裂いた
その後、雷と嵐が来て洪水がその土地を砕き流した
『彼』の遺体は決して腐る事はなかったがこの時『9つ』にバラバラになり
風と流砂が土の中や表面を『東へ』『東へ』と押し運んだ
『彼』が広い海を渡ったその土地は大陸だった
時には動物や鳥が『彼』の一部を運び
たまに原住民と出会い
時には一部を樹木が押し上げ
時には153匹の魚が川を渡してくれたりした
そしてまた嵐や地震や流砂の繰り返し
『彼』が一番最後に人と出会ったのは――― |
最近、サンディエゴと呼ばれている場所の奥の方の砂漠で
訓練中の軍隊が遭難して全滅した時だった
その砂漠には流砂の中に彼の『心臓部』があった――
偶然、その中隊の若い軍人に拾われ――
その軍人はたったひとり砂漠から生還した |
その後――その軍人はその大陸にある彼の国で出世して行った…
そして若い軍人はこう思った
『心臓』があるなら残りの部位もある筈だ この遺体を集めなくてはならない
きっとこれは何かの宿命に違いない――軍人はその国の大統領にまで登りつめると… |
(8分前)
16:05 PM
フィラデルフィア 独立宣言庁舎前付近 |
まだジョニィが撃たれる前、挟撃作戦が始まる前の2人をウェカピポが見つめている。
場所は例の公園である。
「何気ないがこの公園の周辺は大統領側の騎兵だらけだ。ジャイロたちには無理だ」
確かに無数の騎兵があちこちを駆け回っている。
「あの様子…ジャイロ・ツェペリとジョニィ・ジョースターは現在――眼球を手に入れるために『Dioの足跡』を追跡しているようだが」
「無理だ」
「ヴァレンタイン大統領側もここでこのまま決着をつける気だ」
「Dioにたどり着く前にジャイロたちはこのフィラデルフィアで負ける」
「SBRレースを利用してゴールしたままこの街から逃げていれば良かったものを…」
「2人はこのまま大統領側に追いつめられて暗殺される」
その時、ウェカピポの目的が現れる。
『いたぞ…Dioだ…』
「さて…この場合、オレは誰の味方をしたものか?」
「敗北する方にはつかない。敗北したら行く所がなくなる。その道だけは2度とたどらない」
『今…大統領を倒すとしたならチャンスがあるのはDioだけだ。誰かがヤツから『左眼球部』を取りあげようとする時――』
『あと一個で全てがそろう大統領は必ず直接、自分自身でDioの前に姿を現さなくてはならないわけだから……』
Dioを追うウェカピポ。途中でディスコとすれ違う、一瞥するがそのまま通り過ぎる。
「どっちへ行った…『Dio』?ヤツはどうやって大統領に近づくつもりなのか…」
ふと、地面に目を落とすと……ウェカピポが右腰のホルダーから鉄球を取り出す。
「何の罠だ?」
ウェカピポが地面に落ちていたそれを爪先で蹴飛ばす。
「弾倉に弾丸が装填されている。何で落ちている?誰が置いた?」
大きなアメリカ国旗、ウェカピポの後ろに翻っていたその旗に人影が浮かび出す。
ユラリ と動くと右手からスタンドの右手が顕現し(……大統領のスタンドのようだが?)慌てて振り返るウェカピポの右手から鉄球を叩き落とす。
しかし『衛星』は発動し国旗の男に『左半身失調』が出る。
ウェカピポはその隙をつき、先ほど落ちていた拳銃に飛びつき発砲するッ!!
全弾命中して倒れこむ国旗の男。
「はッ!」
なんと倒れている男はジョニィだった。いや…ジョニィになった?
「こッ!?これはッ!?」「何だ!?バカなッ」
「おまえは……!?何だと!?」
ジョニィが反撃しようとする素振りを見せたため、思わずまた発砲してしまうウェカピポ。
しかしジョニィは幸いなことに排水溝へ逃げ去る。
「脚が動くのか……ジョニィ・ジョースター」『だがいったい?』
その時、ウェカピポはその姿を双子の女の子に見られる。慌てて身を隠すウェカピポ。
『ど……どいういう事だ!?ジョニィ・ジョースター!?なぜジョニィ・ジョースターがオレを襲った!?オレがジョニィを撃ってしまうなんて……』
『いや…今のは本当にジョニィ・ジョースターだったのか?』
『だが仮にジョニィが本当にオレを襲うなら彼がこんな近距離の背後から攻撃なんてするだろうか……?』
『しかもその『動機』は何だ?何のために!?』
少し壁から身を乗り出して様子を見るウェカピポ。この姿をジャイロに見られたのだろうか?
『弾丸は確かにジョニィに4発は命中した…オレは夢でも見てしまったのか?』
そこにあの男が登場。
「これまでは予定どおりじゃあないか。ジョニィ・ジョースターは生きている方がふさわしい」
「なあウェカピポ」
その男はDio。
「おまえ、今!何をしていた…」「マジェントが生きていた」
「オレがおまえを尾行しているのを知ってたはずだ、Dio」
Dioがまぶしそうに右手を顔にかざす。
「……ああ、マジェントと君は仲がいいと思っていたからなあ」
「今、何を見た?おまえ、オレを誘い込んだな?なぜ、オレを今 公園の方へ誘い込んだ?」
(8分前)
16:05 PM
フィラデルフィア 独立宣言庁舎前付近 |
まだジョニィが撃たれる前、ウェカピポに後をつけられる前のDio…馬から降りるとファースト・レディの写真を見つめる。
「死んだはずの『ルーシー・スティール』か」
『大統領のとこの内部にいるスパイは夫人の姿に化けているルーシー・スティールで』
『彼女の『正体』がまだばれてないってんならそろそろ『イタダキ時』ってとこかな。そろい始めている『『遺体』』をこのフィラデルフィアでこのDioが全て…総取り』
「だが街中がとり囲まれている。大統領の警備兵がやたら騒がしい感じではあるがな」
そこに、Dioの背後に警備兵が立つ。
「おい!おまえ、どこへ行く?そこで止まれッ!」
ガォオン!
人間の反応を上回る速度で背後の警備兵を倒すDio。あっという間に服を奪い警備兵に変装する。
「どこへ行くだと?」「君が見張ってるこの独立宣言庁舎の中へ入って行くんだよ…」
「君のボスを暗殺しにな……『保護色』か?」
気を失った警備兵を恐竜化させ木の保護色迷彩をほどこす。
そして、堂々と独立宣言庁舎の中へ入っていく。
嗅覚を使い建屋内をうかがうDio。
「ム!」
「いや…違うな……。そろい始めているんじゃあないな」
「全てそろっている」
「『遺体』はそろい終わっているんだ。『頭部』も…すでに」
そこに階段を下りてくる一人の男……その男、ヴァレンタイン大統領。
警備員に変装しているDioが敬礼する。
『ヴァレンタインが……ひとりだ…ひとりで出て来ているぞ』
『護衛もいない!ひとりでどこへ行く気だ?決着をつけに出て来たのか?全て『遺体』がそろったからだ!!今ここで襲えるぞ!』
『……ここで暗殺してやるか!!』
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