‘08 09月号
 #40 真の力(パワー) C 


『何だ…?』『?』
『ぼくに…?何が起こった?』
『う…撃たれた…!!ぼくが…?こ…これは?……』
 ジョニィの眼に少なくはない量が飛び散っている血と馬と…何者かの脚。
「銃声だと?ジョニィ!?」
 ジャイロを含めて公園の人々も騒然とする。
「は!?」「『木のうしろ』…」
 不幸中の幸い、地獄で地蔵尊とでも言うべきか…背後から近付いていた大統領の存在に気付く。
その大統領は木の後ろに隠れて、正体を悟られてはいないようであるが。

「おい!てめえだッ!そこで止まってろォォッ!!」「動いてんじゃあねえッ!!」
 ジャイロの正面から近付いて来た髪留めの男に、鉄球を構えて怒鳴るジャイロ。
それに素直に従い(…それが怪しいが)両手をホールドアップする。

 一方路地の向こうのピンチのジョニィ。
さらにジョニィを襲った奇襲者が再び銃口を向ける。
「ヒヒヒーーン」
 その時、J&Jの馬が嘶(いなな)く。
それで喝が入ったのか、目覚めて左指先を奇襲者に向ける…が。
ドバ!
 逆に手首を撃たれて弾爪は上の庇(ひさし)に当たってしまう。
息も絶え絶えのジョニィ。その姿を見た奇襲者があることに気づく。
「足」
 ジョニィの足が動いている。
「お…おまえ…は…」「よくも…この『スタンド』は…」
 今度は右の指先を向けるが…
ダン  ダン
 逆に胴に2発の弾丸を受けてしまう。

「何だとォォー――〜〜」
 たて続けに響く銃声と一般人の怒号。ただならぬ気配にジャイロに焦りがでる。
ジョニィの元へ駆け出そうとした時、足もとに碁盤の目のような幾何学模様が展開されかけていることに気づく。
その碁盤の目は髪留めの男から出現している。
「てめえらッ!」「何人組だァー――ッ!?」
『『スタンド使い』が少なくともこいつを入れてこの公園に…そこの『木のうしろ』…ジョニィのところで『3人』いるッ!』

 再び場面はジョニィに。
右腕を踏んでタスクを封じた奇襲者はトドメの一発を放とうと撃鉄を上げる。
ドギャアリン!!
 トドメの一発がジョニィを襲うが、先ほど外れた弾痕がジョニィの身体を呑み込み間一髪で救う!!
そして逃走ッ!!
「!!」「下水溝へ…」
「ジョニィ・ジョースター、足が動くのか…」
「だがまあ、これでいい。とりあえずジョニィが消えた…致命傷であるしな」
 不吉なことを言って姿を隠す奇襲者…。

ジョォォニィィィィイイイッ!!
 ジョニィへ向かって走るジャイロ。
それを見ながら髪留めの男が左腕にあった金属の腕輪のようなものが開く。それは縦が上からA、B、C…、横が1、2、3…の碁盤目状になっている。
 現場に到着するジャイロだがそこには誰も居ず、馬と飛び散った血痕のみ。いや、ジャイロはそこで意外な人物を目撃する。
一本先の細い路地からウェカピポが顔をのぞかせて、すぐ引っ込めた。
『何!?今のは…!?何だ?今のあれは!?』
「てめえッ!動くなっつったらそこで止まってろオオオオー――ッ」
 八つ当たり気味に髪留めの男に鉄球を投げつけるジャイロ。
すると左腕の機械――便宜的にタイプライターと呼ぶが――の「2×F」の場所のボタンを押す。

ドグシャアァァ!!

 投擲したはずの鉄球が逆にジャイロの左肩あたりに命中して存分なダメージを与える。そしてダウン!!
「オ………!?オレの…!!『鉄球』!!?」
 すると髪留めの男が懐から五寸釘を5本取り出し、手を放す。そして、ジャイロがいる場所と対応するボタンを押す。
ジャイロも危険を察知して逃げようとするが間に合わず、降って来た五寸釘を足に受けてしまう。
 派手にゴロゴロ転がって碁盤目フィールドから脱出するジャイロだが、歩みを進める髪留めの男によって再び碁盤目フィールドの内にとりこまれてしまう。

「こいつはッ!?」「この『敵』は!!こいつの『能力』は…!!」
『しかも…もっとヤバイのはジョニィだ!誰に攻撃されてどこへ行った!?くそ!撃たれたのか?あの排水口、流血がある』
『しかも『ウェカピポ』をまた見た!それもどういう事だ?』
『…そしてDio…』
『…何か…全員が動き始めていた…既に…このフィラデルフィアで…』
『これは…『遺体』がすでに大統領のところでそろったという事だ…つまり状況は…追跡しているのはオレたちの方ではなく』
『逆にオレらが排除されるだけ…』

 髪留めの男がまたもや懐から何かをとりだす。小瓶である。おもむろにフタを開ける。
もちろん中身は紅茶や牛乳ではない、小瓶の表面にご親切にもドクロマークがクッキリと刻印されている。
「おい…何だてめぇ…それは」「まさか…」
「くそ…やってみやがれ…ちくしょおぉー――〜〜」
「おい…やっぱり、や…やめろォォ!!」
 髪留めの男が試しに一滴地面に垂らしてみると…  ドジュンッ
そして  ポイッ

 以下次号ッ!!


今月のめい言

  特になし  

○ジョニィを背後から撃ち、その上「致命傷」を与えたと嘯(うそぶ)く影で表現される人物―今のところは名前も容姿も、性別さえも判然としない。便宜的に「奇襲者」と呼びます。銃による暗殺を実行し、スタンド能力を使ったようにはみえません。「エンペラー」のように拳銃自体がスタンドということでも、「セックス・ピストルズ」や「マンハッタン・トランスファー」のように銃弾の軌道操作でもなさそうです。候補としては、戦闘慣れしているジョニィの背後に忍び寄ることが可能なことが能力と関係しているかもしれません。

○この奇襲者は誰であろうか?「影の人物」として表現されるのは理由がある。大別としては2つあります。

○(1)演出としての影。ギリギリまで隠しておいて、見開きで顔を ドーンッ と明かす。3部のDIO、4部の形兆、5部のディアヴォロ等々…。3部のDIOは、荒木先生の言によると「DIOだけが目立たないように影にした(情報元の資料を見ないで書いているので若干表現に違いがあるかもしれないです)」そうですが、ゲームにおいて真っ当なDIOの他に「影DIO」というキャラもあることからも意外とキャラはたっちゃいましたけどね。マンガのことは詳しくないですが、ギリギリまでヴィジュアルを検討できるというメリットもあるのかもしれないです。

○(2)何らかのトリックに絡んでいる場合。実は既知の人物だったり、こいつか!と思わせて本当は後ろのあいつの場合だったりと、読者を騙して驚かせるための伏線のための影の表現の場合。最近ではサンドマンがそうでしたね。私的に随一のトリックだと思うプロシュートのケース、他にはサーレーやJ・ガイル等々です。

○そうなると奇襲者は、女性だったりする可能性もありますし、再びレースの参加者が暗殺者ということもあるかもしれません。ゼニヤッタ・モンダッタなんて出て来て欲しいですけどね、名前が面白いから(笑)。

○便宜的に「髪留めの男」としますが、彼の一風変わったスタンド能力を分析してみましょう。地面に碁盤のマス目状のものを展開し、宙にあるものを(これが条件かどうかはまだ未確定ですが)を指定したマス目に確実に落とすというのがザッとみた限りの能力です。鉄球を投擲するジャイロにとっては厳しい能力といっていいでしょう。地面を転がっている場合はどうなのかという不明点があるので、まだ有利不利がわかりませんが…。とはいえ、先手必勝とばかりに解り易いほどデンジャラスな薬品の小瓶を宙に放り出した髪留めの男。ジャイロが逃げても、髪留めの男は指先を動かして隣のマス目を指定するボタンを押すだけです。果たして凌ぐ術はあるのでしょうか?

○もう1つ見逃せないのが、ウェカピポの動向。なぜウェカピポがあの場に…よりも、あの場にウェカピポが居るということはどういうことかを考えるのが大事です。つまり、ウェカピポはDioを追っていたはずであるから、あの場にウェカピポが居るということはDioも近くにいるということです。あまり考えられることではないですが、ジャイロをDioが助けるという可能性もあります。


☆16巻がちょうど発売されたので書きます…というわけでもなく、なかなかこの16巻というのが深いので少し書いてみます。著者近影の文章の「このホラー演出は許せない!」も面白かったです。

☆#62「いともたやすく行われるえげつない行為」。TVのニュースを見ていると、えげつない行為をしている人はいっぱい確認できますけどね。

☆ここで質問です。「えげつない行為」をしたのは誰でしょうか?大統領?私は元々「ラスボスはJC」と予想しているのでえげつないのはJCだと思っています。一見、大統領のえげつない行為からJCがルーシーを救ったようにもみえますが…JCが復活するためにルーシーさえも利用されているともとれます。フィラデルフィア・シティの攻防において大統領が自ら出張ってきていますが、これを第6部までの「ラスボスぶらり一人旅」とみてもいいのですが、今まで部下を使ってきた大統領が今回は自らが部下に墜ちたとも見ることができます。誰の部下か?もちろんJCでしょう。

☆今現在では上記は私の推測ではないですが、ここまで露骨なタイトルをつけた作者の嫌悪感が誰を指しているのかはストーリィーが進めばわかってくるでしょう。それが楽しみで楽しみでワクワクします(笑)。

☆そして問題作の書き下ろしマンガ!!ジャイロの所属している芸能事務所がよくOKを出したな…とワケの解らないことを考えてしまいましたけど。何かこのブッ飛び方は中川翔子の影響かな〜と根拠もなく思いましたけど。

☆というか真の問題とはジャイロの渾身の崩し顔でも、ジョニィの平然とした流しでもなく。このおまけマンガが#63とクレジットされているところッ!2巻の「SBR・レース開催のいきさつ」は番外だし、10巻の「スタンド説明」は何のナンバーもなかった。このストーリィ−と何の脈絡もないのにクレジットされているこの外しが、なかなか面白い…というか、ツッコミ待ちなのかなと考えてみたり。ではでは。

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