‘08 02月号
 #34 追憶の館 B 


『『清める水』は手に入ったっ!!』『ポケットには『爪弾再生』のためのハーブもあるッ!!』
『また両手指!10発撃てるっ!!』
 身体にまとわりついた「捨てた物」を水で流れ落としたジョニィ。馬上から荷物を下ろして必要なアイテムを得る。
そして、指先を偽ダニーに向けるが…躊躇(ためら)いの表情を見せるジョニィ。
その時……!!

こころが迷ったなら……ジョニィ・ジョースター…撃つのはやめなさい
「………………………!!」「!?」
 何者ッ!?容姿は全身に傷、手の甲に穴、茨の冠…あぁ!!
よいな…心が迷ったらだ……撃つのはやめなさい」「『新しい道』への扉が開かれるだろう…
 後ろを振り返るジョニィ、しかしもはや誰の姿も見受けられなかった。
「な!?何だッ!?今のは!?」
 そしてジョニィの脚が震えだす。
「今うしろに!!何だッ!?ま…また幻覚かっ!?いや違うッ!!確かに今、背後に誰かいたッ!」
「幻覚とは何かが違うっ!息遣いと体温があったっ!!男がいたッ!!しかもッ!」
『しかも、ぼくの動かない両脚もいったい何なんだッ!!』『ケイレンしている…』
『こんな事なんか今まで一度もなかった…脚が動いているッ!!今の男はッ!!いったいどこから来た?』
『まさかッ!!』
「はッ!」
 再び偽ダニーが襲ってくる。
ドバ  ドバ  ドバ
 弾爪を3発発射!水筒の水もかけるが全てかわされてしまう。
「ジャイロ、そこへ行くぞッ!」

「『両脚部』の遺体を体内に持つのはジョニィ・ジョースターの方…」
 場面は再びジャイロと敵本体である。
「…という事はつまり」
「これからとことんジョニィに『追い込み』をかけるという事だ。手を抜くとこちらがやられる」
「『遺体』のためだ…覚悟してもらうぞ…」
「本番はここからだ、我がスタンド『シビルウォー』の攻撃はこれより完成される」「人は何かを捨てて前へ進む」
 ジャイロはすでに制圧済み…とでも思ったか堂々と姿をさらす。
「ハァハァ…や、野郎〜〜」
ガシィ   メシャァア
 鉄球を掴み上げるもその重さに腕が耐えられず折れ曲がる。腕だけではなく、全身も徐々に潰れていく。

「ジャイロ、どこだぁあああー――ッ」
 角型ランプと水筒を持って、ジョニィがジャイロのいる建物奥部に入ってくる。
「ジョニィ」「ジョニィ…『本体』がいるぞ」
「ジャイロ!!そこかッ!?ジャイロ!?そこにいるのかッ!!」
「近くに『本体』がいる!『本体』を撃てッ!」
 しかしガラクタの隙間を走っている小さな何かがいる。
『『本体』を殺る……!!ああ…!!しかし『本体』もだが…あの白ネズミとはここで決着をつける!白ネズミを撃たなくては…ここで『消さ』なくてはきっと『本体』までたどり着けないだろう』
 その時、自分の周囲に落ちているガラクタに目を向けたジョニィの顔色がみるみる青ざめる。
「こ…この『本』は……こ、これは!学校へ行ってる時、途中で読むのをやめて捨てた『本』だ。全部全部ぼくの『本』だ」
「この『三角定規』も貸した友達が…伝染病にかかったから棒でつまんで崖から投げ捨てたやつだ。ぼくの『定規』」
「となりの『四つ葉のクローバー』は…もう忘れていた…誕生日の時、女の子からもらったやつだ。女の子と学校のクラスが変わってから…もうどこへ行ったのかさえ覚えていない…」
「そして…トロフィー、このトロフィーは…くそっ!ブッ壊したはず……Dioに勝てなくて2着だった時のトロフィーだッ!!」
「な…何だ?全部だッ!ここにあるゴミは全部!!」「ぼくが今まで捨てたものだッ!!」
 ショックを受けているジョニィの背後から偽ダニーが襲いかかるが、気づいたジョニィがかわしながら迎撃する!が、それはかわされてしまう。
かわした拍子にクローバーと本が身体に触れてしまうが、即座に水筒の水で流し清める。
再び襲いかかる偽ダニー、しかし今度こそはジョニィの弾爪がネズミのどてっ腹に穴を開ける。
後ろの家具から割れたガラスがジョニィの脚に降る…それもスタンド攻撃のためジョニィの脚に喰い込もうとする。
慌てて水で流そうとする…

ガシイ

 ガラスの中から腕が伸びジョニィの手首をガッチリと掴む。そしてガラスの中から実体化してきたのは…
「神は…連れていく子供を間違えた…。なぜニコラスの方が…あいつが落馬なんかするはずがなかった…」
「神が一人連れて行かれるならお前の方が良かった!ニコラスはおまえのせいで死んだのだ」
 ジョニィの父親…が出現する。ジョニィの最大のトラウマ―家族が利用されるのだ。
「や…やめろォ…。げ…幻覚だ……」
『父さんのわけがない。父さんはケンタッキーで生きている…。これは『白ネズミ』と同じぼくの幻覚だ』
 ジョニィの頬に涙が流れる。
『く…くそッ!う……撃ってやるッ!これはスタンド攻撃!!この幻覚に触られたら終わり!『撃てる』!こいつを『爪弾』で消してやるッ!』

心が迷ったなら撃つのはやめなさい。成長するのだ……再び『新しい道』への扉が開かれるだろう
 またもや茨の君が姿を現す。
『ま…まただッ!誰だ!?今のは!まさか!!まさかあなたは……!?』
『イエス様……!?』
『あの『聖なる遺体』は!!い…いや!そんなわけがない!!しかも『撃つな』とはどういう事だ?』
『撃たなきゃやられる……こいつは『敵』!スタンドなんだ!』
 迫りくる偽ダディッ!

ドン

 防衛のために発砲するジョニィ!
偽ダディの右耳を吹き飛ばす。しかし口から悲鳴をもらしたのはジョニィの方であった。
「わああああああああああ…父さん」
「く…来るな……撃ちたくい……こ…来なで…」
『こ『息遣…この…』『父さんのものだ
「来るな!近寄るな…」
『捨てたのはぼくの方じゃあない!あなたがぼくを『見捨て』たんだ…』
『あなたはレースにも来なかった!銃で狙撃された時も病院に見にさえ来なかった!!』
「やめろっ!!来るなぁあああー―――ッ」

「ジョニィ、よくこらえた!」「今だ!『本体』の位置がわかったぞ」
「鉄球の回転で地面をエコーで捜していたッ!おまえの左後方だ!!」
 単にやられていなかったジャイロ!さすがだッ!!
「おまえにとどめを刺そうとゴミの陰を移動しているッ!!『位置』を感じるッ!!」
「そこだッ!!止まったぞッ!」
 ジャイロの助言通りの位置にタスクを撃ち込むジョニィ!!
本体の右腕にタスクが命中する。思わず姿を現した本体の喉元にタスクを撃ち込む!

「か…」
 噴水のように血を噴き出す喉元を押さえる本体。偽ダディも崩れ落ちる。
「そう…いいぞ…ジョニィ…」「ぶっぐっ…」
「これでいい…わたしの最終攻撃は…ついに…」
『完成』したな…ぐっ…」「人は…」
「何かを『捨てて』前へ進む」
 まだ終わっていない?さらに話続ける本体。
「これから…ジョニィ…おまえは私を『捨てて』…前へ進む」
私を『撃ち殺す』という事はそういう事だ
 この能力の真の狙いがついに語られる。
「ついにおまえは『わたしを殺した』。わたしを『捨てた』んだ…わかるか?」
「わたしが最終的におまえにやって欲しかったのはこれなんだ」
「だからこれからわたしのものを全ておまえがジョニィ・ジョースター!」
『おっかぶるんだ』!
「わたしが捨ててきた過去の罪を全ておまえがな」
「これでわたしの過去は『清め』られた」
 首から大量の血を噴き出しガラクタの中へ倒れ崩れ、こと切れる。
「何の話だ……?今のは!?…こいつ何を言ったんだ?」
「だから『清め』られた…と言ったろう」
 ジョニィの背後から何者が立ち上がる。仲間がいたのか!?
しかし出てきたのは彼自身であり、ジャイロの症状もさらに進行する。
「ついに我が『スタンド』―『シビル・ウォー』は……」
「『完成』したのだ」
 よくみると転がっているランプから精霊のように出てきている。
「こいつ!!」
 タスクを2発撃つジョニィ。しかし弾爪はあらぬ方向に飛んでいく。
ジョニィの両腕を何者かが掴み射撃を妨害したのだ。

ズズズ…  ゾロ…ゾロリ  ズルリ

 ゾンビ、いやゴーストか…。死者であることが一目でわかる人々が数十人という単位で顕れる。
「これが……おまえがおっかぶった罪だ」
 ゾロゾロ、ゾロゾロ、ゾロゾロ顕れる。
「何なんだこれはぁぁぁー―――ッ!!」
「………」「このわたしも…これまでたくさんのものを罪深く『捨てて』前へ進んで来た」
「普通の人々以上にな……自分の罪を『清め』たかった」
「だからこんな『スタンド』を身に付けたのかもしれない。そして『遺体』を手に入れるため」
「お前に全てをおっかぶせてな…わたしを殺した瞬間!つまりここで捨てたものはおまえのものとなるからわたしは蘇れた」
「あれは1863年の事だ…」「あの場所…あの時…」

当時――わたしは身も心もボロボロにすさんでいた

あの若き日――
わたしはドヴォルザーグのような音楽家になりたかったのに
――戦場に召集され――
もっとも辺ぴな場所の見張りの任務を命ぜられた

くる日もくる日も戦場の恐怖とまったく音もない闇夜ばかり眺めていたので……
耐えられなくなってアルコールを飲むようになっていた

そして寝過したそんな時だった
『敵軍』がやって来たのは……

 スタンドの名が示すように南北戦争(The Civil War/American Civil War)を経験していた軍人クズレ。

目を醒ました時――すでに――
わたしの潜む木の下を『敵軍』は通過していた――

『ランプに炎をともして近くや数キロ先の味方の陣営に合図を送る』

任務はたったのそれだけだった
だが、わたしはしなかった
…ランプに炎をともしていたら木の上のわたしが見つかって殺されていたからだ
そして、わたしは再び静かに残っていた酒を飲んだ


ほどなくして陣営から銃声が起こり、町から登る火と煙が木の上から見えた
町の人々は虐殺され、あの戦争はそこから敗北へ向かった
そしてそれが今いるこの『町』だ

「この亡霊どもはわたしが生きるため『捨てて』来た人間たちだ!!それを今おまえがおっかぶるッ!!」
 ゴースト達が一斉にジョニィに襲いかかる!ジョニィの手足をひきちぎりにかかる!!
「わたしは『清め』られて蘇ったぞッ!そこにある『両脚部』ももらう資格が出来た!」
 手足をひきちぎられる激痛に絶叫をあげるジョニィ。
それでも回転する爪を軍人クズレに向けるが……
心が迷っているならジョニィ・ジョースター…撃つのはやめなさい。決して『新しい道』は開かれない
 再びJCが背後に立ち、ジョニィに囁く。
「もう迷っちゃあいない。わかったんだ…さっきわかった!」
「撃つべき場所が…爪弾は!!」
 発射音と共にタスクが撃ち抜いたのは…ジョニィの左のコメカミであった。
「自分を撃つッ!!」
 すると弾痕の穴にジョニィの身体が巻き込まれるように吸い込まれていく。
「『黄金の回転』」「『新しい道』へ行くぞ


今週のめい言

「『新しい道』へ行くぞ」

ついにJC降臨ッ!!『遺体』の主要部が集まったことでなにやら魂魄が活発化したのか、「迷いがあるなら撃つな」という助言を与えにジョニィの元にちょくちょく顕れます。

○私はキリスト教徒ではないのでこういうことを考えてしまうのですが、はたしてこの御方は味方なんでしょうか?もしかして敵では?強力かつ膨大なエナジーの持ち主だということは『遺体』が断片となっても奇跡を連発するところからも判ります。しかしこのエナジーが、果たして何の目的で起動するのかが見えてこない。言い換えると、『遺体』が全てそろって何が起こるのか?

○『遺体』集めというのは、端的に言えば「パワーアップアイテム収集」ということなのでしょうが、思考を持ったJC自身が顕れたということはもはや大統領の意思を超えた出来事が起こるのは確実だと思うのですが…。とにかく完全復活JCのスタンドは(居るとしたらですよ)メイド・イン・ヘヴン級の天変地異、震天動地を起こしてしまうかも。

○キリスト教では世界の終わりには死者が墓から蘇り、神の御前で最後の審判を受けるという…。それに酷似した状況がジョニィの目の前に展開される。ただし、肉体を持たないゴーストという形であり、しかもこれは個人の記憶から抽出され具象化されたもので本物ではないのでありますが。それにしても「本体が死ぬことで完成するスタンド」とは稀有な能力です。130体を超えるスタンドの中で、このシビル・ウォーの他にはノトーリアス・BIGとリンプ・ビズキットだけでしょう。

○先月号の感想をアップした後に他のサイトを回ったら、3〜4つのサイトで「今度の敵はリンゴォ・ロードアゲインに通じるものがある」と言っていたのは少し驚きました。私は、この敵は「下衆野郎だ!」と決めつけていたので全く考えることもなかったです。

○前にリンゴォ・ロードアゲインの性格を分析したことがありましたが、その結果として私は彼は死にたかったのだと結論づけました。ただ死にたいのではなく、彼は己の美学に殉じて死にたかった。大統領に協力したのも彼の美学からの行動であり、世話をしてもらった大統領に一命を掛けても借りを返そうということなのでしょう。この感覚、我々つまり日本人には共有できる感覚なのではないでしょうか。彼の美学は侍に似ている。戦国時代で言えば長尾影虎、南北朝時代で言えば楠木正成…合理性よりも己の美学にこだわり殉じた侍です。

○そしてあの軍人クズレ…過去のエピソードはしょうがない。自分の命が惜しいのは当然。その時の罪の意識を引きずっているのは悔恨の情があるからでしょう。しかし後が悪い。その罪を償うわけでも贖(あがな)うわけでもなく、ジョニィに罪をおっかぶせるとは…。こういう能力だということは、彼の心の中には罪を他人に押し付けたいという欲望があったということでしょう…それを「清める」というずうずうしさ。とてもじゃないが、この薄汚い奴をリンゴォ・ロードアゲインと同列と見ることはできないです。

○ジョニィが自らのコメカミを撃った目的は何であろうか?「罪を清算しての復活」はまさしくキリスト教的である。自ら撃った弾痕に吸い込まれる姿はなかなかシュールです。現れる時はどこから出てくるのか非常に気になる!新しくなったジョニィは下半身不随も治っているかもしれません。『新しい道』を自らの脚で踏み出すジョニィが見れるかも。

○最後にスタンドの分析を。この「シビル・ウォー」というスタンドは非常に強力なスタンドです。対象者のトラウマを引き出す精神攻撃がべらぼうに高性能である。非接触でも嵌められるし、本人が忘れているようなエピソードも引き出す、引き出すのも複数、対象者も複数可、おまけに遠隔視もできる。これだけ強力だと何かしらの限定や制約あるはずです。考えられるのは、場所があの館に限定されるということでしょうか。決まった場所に罠を張るという、なかなか4部風なスタンドです。

○そういえばまだジョジョの小説よんでいないなぁ〜…と思いつつ、また次回。


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