「チラーチェヌグドゥシガ・ククローウニヤッサー」(顔は人でも心は鬼)
天獅子悦也「闇のギース」より抜粋
「な…なんだこいつはッ!す…姿が変わった!Dio!」
悪党顔とはいえ端正な面貌が欠片も残していない。
「ス…『スタンド使い』だった!この能力はッ!やはりこいつはッ!」
驚愕するジョニィの目の前で……
ゴワシィイ
DioDioDio……と彩られた身体を踊り跳ばせ強力な尾の一撃をジャイロの顎に叩き込むッ!!
「ジャイロォォオオオオ」
扉の傍にいたジャイロはそのまま外に吹っ飛び崖下へ!しかし幸運なことに崖途中から生えている木に引っかかった。
続いて恐竜Dio(以後、ディオナソーと呼ぶ)はジャンプ一番、上空からジョニィを襲う。
「『牙(タスク)』ッ!」
ジョニィの左手が星に彩られ、甲には手甲のようなオブジェが顕現、そして指先からは爪弾が火を噴く!!
「ギャアアアーーース!」
弾爪が顔面に命中するがディオナソーの攻撃は止まらない。尾の攻撃をかわし乗っていた台から転がり降りるジョニィ。
「敵だッ!Dioはやはり!テロリストの仲間!!敵だった!」
再び発砲するジョニィ、しかし今度はかすらせることもできずかわされる。
「つ…『爪弾』を、か…かわした!この距離で………!!」
恐るべき俊敏性、ほんの2〜3mの距離で弾爪をかわした。今度はディオナソーの爪がジョニィの喉元を狙うッ!
ゴウ ボゴオオ
背後から投げられた鉄球をかわすディオナソー。
「お」「おいおい」
「すげえ『動体視力』だな………こんな至近距離なのによォ〜〜〜〜〜余裕こいてかわしやがったぜ」
シルシル ゴバアァ
攻撃の第二波!壁にめりこんだ鉄球が戻ってくる。だがそれをもかわすディオナソー。
「ジャイロオオオオオーーーッ、頭上だああああーーーッ」
コーフィーの乗っていた台に押し倒されるジャイロ。鉄球を持っている右手もディオナソーの左脚によって制される。
今度はディオナソーの牙がジャイロの喉元に迫る。
「てめえの目的は…やはり次の『遺体』を探すことか?」
「それとも単に…オレらを殺して奪うだけか?…スゲエ敏感すぎる動きだ。だがよォーーゆっくりした動きなら……安心してよける気にならねーだろ?」
少し変なことを言い始めるジャイロ。ディオナソーの動きも止まる……ん?ということは知能が残っているということ?
「とても攻撃されてるとは思えねえような動きならよォォーーー鋭く身をかわしたりしねえはずだよな…安心してよォォォォーーー」
その時、缶詰の1個がコロコロと転がってきた…と思いきや
バ ン
中から鉄球が飛び出しディオナソーの首を打ち、回転によりエグるッ!!
「鉄球をカンヅメの中に入れた」「金属板への入れ方は秘密にしとくぜ」
「だがダメージは今いちのようだ!立ち上がってくるぞッ!鉄球を命中させられねえッ!逃げるぞ!」
「とにかくジョニィ!早くここから外へ出ろォーーーッ」
外に出て木の扉を2人がかりで閉める。が、ディオナソーも内側から扉を壊そうと攻撃を繰り出す。
「なんなんだ、こいつはァーッ!?こんな『スタンド能力』!!いったいどういう能力なんだ?」
「こいつは恐竜だジョニィ!どうやらDioは『恐竜』の能力と合体してるってとこらしい」
「『キョーリュー』?キョーリューってなんだ?」
「知らねーのか?すげーでかい生物のことだ!アフリカ象よりでかい!1838年にオーエンて科学者が『恐竜(ダイナソー)』って言葉を創ってそう呼び始めた!」
「こいつは象より小さいが」
スゴク的確なツッコミだ!
「うるせーな!とにかく人類が生まれるずっと前、地球に棲息していたんだ!」
「なんでDioがそんな昔の生物の能力を!」
「化石に関係あるのかもなッ!このロッキー山脈コロラドの崖で発見されて以来ゴロゴロ化石が見つかっているッ!」
その時、ジャイロはジョニィの腕に刻まれた言葉が光っていることに気付く。そしてふっと夜空の星をみる。
「くそッ!ドアが破られるぞーーーッ。崖の下へ行くぞォォ!ジョニィ!」
「だめだッ!ぼくは行かない!!Dioが『遺体』を狙っているなら」
「Dioを倒さなくてはいけないッ!」
「それより逆に絶対動くなッ!!Dioは止まっているものは見えてないッ!」
バキィイイイン
ディオナソーがドアを破り外に飛び出す。
「動くなジャイロッ、決してッ!」
「Dioはなぜか『動く』ものだけ見えているんだッ!それが恐竜なんだろ!」
それが恐竜なのか?
そして立ち上がったディオナソーが、熊の死体によりかかってジッとしているジャイロとジョニィに息も荒く近づいてくる。
『動くな…!目ばたきさえも!間違いないんだ、見えていない…さっきもそうだった…コーヒーを認識できていなかったんだ!』
目ばたきするなとは御無体な!それなら最初から目をつぶればいいのでは…でも生命危機を目の前にしてマブタを閉じる奴はアホかな。
と思っている間に、本当に見えてないのか崖の方へ歩いていく。が…、
クンクンクン…
『おい!バレたんじゃねーかッ!きっとバレたッ!犬みてーに臭いをかいでいるッ!戻ってくるぞーーッ』
『慌てるなジャイロ。絶対にわかってない!この熊の臭いを嗅いでいるだけだッ!コーヒーの臭いも嗅いではいたがどこにあるか見えてはいなかった!』
そしてまた崖上に戻ってきて、熊の死体を尾でバシバシと打つ。尾がかすめるほどの近くを通るジャイロとジョニィは心胆がさぞ寒いであろう。
しばらくすると家の中に駆け込んでいくディオナソー。
「やったのか?どこへ行った!?行っちまったのかよッ!?とりあえずヤツはオレ達を見失ったか!?」
とりあえず一安心?と思いきや鉄球を蹴り蹴りしながらまた戻ってきた。鞠を追いかける猫を彷彿させる。
『こ…これは…!?ち…違うようだ…ジャイロ…たしか…Dioは!そ…そうだ…ヤツは知っている!Dioは1st.STAGEで君の能力を既に見ている!』
ジョニィが懸念すること…それは!
「ジャイロ…まずいぞッ!回転している鉄球が君のところに戻ることをヤツは知っているッ!」
「君の鉄球で君を見つけるつもりだッ!鉄球の行きつく所ッ!」
「ヤツが鉄球を追って来るぞォォォォーーーッ」
血に飛びつく鮫のごとく鉄球の後を負い掛けるディオナソー!!
グシャン
??????ジャイロの両大腿部がぺシャンと潰れ、その上を鉄球が転げ通っていく。もちろんディオナソーもジャイロを通過。
鉄球が壁にぶつかるや続いてディオナソーもぶつかる。
「落ちつけジョニィ…『戻って来た鉄球』はその回転でおれの脚をつぶして平面にした。そしてどうやらオレらが壁の向こうへ逃げたと思い込んでくれたな」
「や…やったッ!崖の下へ行ったぞッ!」
とりあえず一息ついたといえるだろう。ジャイロがジョニィの左腕をみて話し出す。
「ジョニィ…その左腕の文字のことだが…今……気づいたことがある。その文字の『並び』のことだ」
ヒュン
あれ?ジョニィの背後で何かが動く。
カサカサカサ……
熊の身体が乾いてポロポロと崩れている。
「ジャイロ……!!?な…なんか妙だ……この下から」「なにか…聞こえるか?」
地の底に潜む龍のごとき呼吸音…そして揺れる足元。
「ギャアアーーース」
嘘ォォォーーーッ!!!またもや恐竜ッ!!
「く…熊がッ!こいつも『姿』がッ……!しかも生きていたッ!」
今度こそはアフリカ象よりも大きい恐竜…クマナソーがジョニィに襲いかかる!!しかし…
「くぐれッ!ジョニィッ!おまえの体も回転で平たくしたッ!」
「壁の下へ行くんだッ!排水溝を行けッ!」
「そしてこんな時だがもうひとつ言っておくぜ!さっき言ったその左腕のことだ!」
「それは文字じゃあねえッ!……今わかったッ!」「オレ達は予想以上に目的地へ近くまでせまっていたッ!」
「『星座』の形だッ!文字の並びが『星の配列』になっているッ!」
「北斗七星ッ!」
「形が一致するぜ!そして場所もだッ!Crusの方は北極星!」
「文字自体が星座を表す地図になっているんだッ!」
Crusを表す山の頂上(「C」を形作っている穴)に北極星がのぞく場所から、ジョニィの左腕のmovereと同じ位置関係に北斗七星が来ると……
「北斗七星が地上に沈む位置!!それを示している!!星座を山と地上に合わせろ!!」
「『遺体』のある場所はあの『丘』だ!」
「これから取りに行くぞッ!おまえさえその気なら!」
○「ひでえッ!化け物は化け物をうみだすのかあッ!」…と言ったのは若き日のレオ・スピードワゴンであったが、なんと恐竜化の症状も感染していく!!しかも死んだはずの生物が生き返るなどまさにゾンビ!
○と、ここで思ったのですがもしかしてDioも誰かに染つされたのではないでしょうか?実はDioはスタンド使いではなく、陰に黒幕的な敵がいるという可能性もあるのではないでしょうか。Dioが倒れていたのもその黒幕から攻撃を受けていた(感染させられていた)からとも考えられます。
○ジョニィの腕に刻まれた「文字」の意味が判明。「山」と「北斗七星」の位置関係でした。大変におもしろい趣向だと思うのでめい言に決定。山と北斗七星で「泰山北斗」を意識して…いるわけないか。大統領の胸の文字が何なのか気になりますが…やっぱり星座なのか?それとも他の形?
○今、思い出したのですが…大統領の胸にある「遺体の心臓」は1st.STAGEに落ちていたものなのでしょうか?
○今後の展開としてはジャイロVS.クマナソー、ジョニィVS.ディオナソーが予想されます。それにしてもディオナソーにも十分に効かなかった鉄球ですが、さらに大きいクマナソーに通用するとは思えません。またジョニィも乗馬の状態ではないので、俊敏なディオナソーにはかなり苦戦するのではないでしょうか。
○クマナソーはでかい分、口の中に鉄球をぶちこめるよう気がします。まあ、何でもありの鉄球術ですから予想がつかないと言えばそれまでなんですけどね…。ジョニィの弾爪は直線しかないのがネックなのですが、「回転している爪」に弾爪を当てて弾道を曲げるのではと予想しています。俊敏な恐竜に弾爪を当てるのは「死角」か「超至近」からの発砲だと思いますが、とりあえず弾道を捻じ曲げた「死角」からの攻撃なのではないでしょうか。
ではまた次号!
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