{先頭は英国の騎手ディエゴ・ブランドー}
{それをサンドマンが追うッ!ジャイロ・ツェペリもいるぞッ!そして1st.STAGE5位のジョニィ・ジョースター――――ッ!!}
またもやデッドヒート!!
{ジャイロ・ツェペリが出たッ!2nd.STAGEゴール前!またジャイロだッ!ここでジャイロが飛び出したぞォォォー――ッ}
{残り直線で600メートルッ!過酷な自然地形ッ!容赦のない気候条件ッ!}
{スタートから18日目はるばる越えて来たぞッ!行程1200km}
ゴール前、多くの人とスティール氏の汽車が見守る中4人が……んン、奥にもう一人いるが。まさかマウンテン・ティム?
{だがモニュメント・バレーに近づいてみればやはり先頭にそろったのは馬術の実力のある者たち!!1st.STAGEの再現だああー―――ッ}
熱狂の中、興奮した人が投げ入れたのだろうか新聞紙がジャイロとジョニィを襲う。もちろん、2人ともレース中にそんなことを気にする半パ物ではない。
{ここでディエゴ・ブランドーも加速したあー――ッ}{サンドマンも驚異の脚力で熱砂を跳ぶッ!}
「ジャイロ!こ…これはッ!この新聞はッ!」「ジャイロ!見ろ!これはまさかッ!」
「見ろって言ってるんだジャイロー――ッ!これをヲヲヲー――――ッ」
レースに没頭するジャイロに新聞を強引に見せ付ける。思わずカタカナになる「を」。
ジョニィが気にしたのは「3rd.STAGE」と書かれた見出しの記事に写真。
「この山ッ!この記事の写真にある山!『同じ形』だぞッ!ジャイロッ!!これは次の3rd.STAGEコース上の記事ッ!」
「この『形』!見ろッ!この山の頂上のところの形だッ!同じだッ!同じなんだッ!!」
「ちゃんと見ろよッ!ぼくの左腕のキズと同じだッ!」
「crus」
「この傷は文字じゃあないッ!『場所』だッ!ここへ行けッ!と教えてくれてるんだッ!!コース上だッ!きっと次の遺体はこの山にあるッ!」
{ゴォォーーーールッ}
{ディエゴ・ブランドー1着ぅぅぅぅー――ッ}
{1位はディオだあぁー――ッ!!2着ジョニィ・ジョースター!3着サンドマンッ!}
{ジャイロ・ツェペリは4着だああぁぁー――――ッ}
「え?」
ジョニィの話に気を取られてる間にゴールラインを割る選手達。
「おい」「なに言ってんだ?ジョニィ」「ちょっと待てッ!」「なんでオメエが先にゴールしてんだ?」「今の待て…!」「違う!タンマ!」
「おいジョニィ!てめー――待ちやがれッ!!」
{止まりませんッ!先頭グループ走行をやめませんッ!休憩をとらないつもりだッ!}
{各選手このままレースを続行するつもりですッ!『3rd.STAGE』突入だあああー――――ッ}
3rd.STAGE 『ロッキー・マウンテン・ブレイク・ダウン』
ルート ――― モニュメント・バレー→キャノン・シティ 山岳コース 全行程510km
最短予想日程 ――― 7日
賞金ポイント ――― 1位100ポイント 1万ドル |
駆け抜ける4選手を遠くから見つめるスティール氏。
「…………………………」
「来れたのか……だがジャイロ・ツェペリ…わたしは君を助けることはできない…」
自分の夢を陰謀に利用され、それを知りながらも従うしかない。忸怩(じくじ)たる思いのスティール氏。
場面は移り汽車内……。
「気球上からの報告です。『ポーク・パイ・ハット』がしくじりました。大統領…彼はもう再起不能です」
「そんなのは外を見ればわかるだろう……ジャイロが楽しそうにゴールしてるんだからな……わたしの知らない情報を言いたまえ」
側近が報告を続ける。
「何を意味するかわかりませんが『ポーク・パイ・ハット』は手の中にこれを握って倒れておりました」
「布切れです。布はなぜかこのように『焼けこげ』ており文字の形になっております。『焼けこげ』はラテン語であり英訳すると『脚を動かせ』」
大統領がカーテンの奥から顔を出す。ひげを剃っている途中だったようだ。
「そして意外な事が…ポーク・パイ・ハットが闘っていた相手はジャイロ・ツェペリではなくジョニィ・ジョースターの方です。現場の足跡状況でわかります……つまり」
「『遺体』を隠し持っているのはジャイロではありません。ジョニィ・ジョースターです!我々が追うのはジョニィ・ジョースター、『遺体』のどの部分を見つけたのかはわかりませんが…」
ひげを剃り終えた大統領が缶ビールに手をのばす。
「ペン持ってるか?」
「知ってるか?……缶ビールの『一気飲みの方法』」
万年筆を缶の下部にブッさし穴を開ける。そして口を近づけ上部のフタを開ける。すると上から空気が流れ込むので一気に下の穴からビールが出てくる。
ゴボゴボゴボゴボガボァ「ブハァー――イエスッイエスッ」
「いいかな!小僧のヤツは十分我々のために役割を果たした。小僧はこの布で『遺体』をくるんだんだ…一度手に入れてな…こんな風に…」
「くるんだ遺体はこの太さからみて『腕』だ…間違いない!『左腕』か『右腕』の部分だ。その時布は焼けこげたんだよ」
「『遺体』が放つエネルギーでね……」
「ジョニィ・ジョースターは『腕』を持っているッ!そしてこの焼けた文字はただの『文字』ではない」
「なにか『位置』をあらわすメッセージではないのかな?」
「いつもそう思うのだ…だが『文字』が何を意味するのかはいつもわからない。わたしはいつも考えている、いつも…」
鏡に向かいシャツをはだける大統領…胸には何やら文字が…そう、『文字』が刻まれている!
「あの方の『遺体』は…とにかくこれで『2つ』みつかった(わたしのこの胸の中にある『心臓』を入れて)」
なんと『心臓』パーツを手に入れていた大統領。大魔王バーンは3つの心臓を持っていたが、今の大統領は2つの心臓を持っていることになる。
「『アリマタヤのヨセフの地図』によると遺体は全部で『9つ』に分かれて大地に散らばっている!」
「ポーク・パイ・ハット小僧が倒されたというのなら…ジョニィ・ジョースターは次の遺体をも捜そうと決めたということらしい」
「彼に見つけさせるのもいいだろう。もしジョースターが次の『ロッキー・ルート』で見つけるなら『3体』揃うことになり残りは『6つ』になる」
そしてすでに第二の刺客が、ジョニィが遺体を見つけたらぶん取るために送り込まれているという。
「ン!」
何かの気配を察してドアを開ける大統領。しかし誰の姿もとらえられない。
だが実はスティール氏の幼な妻が鍵穴から覗き見していたのだ。
『今のは……あの胸は……』
大統領の動向を探る幼な妻。これからの彼女の役割は何だろう?
「う…くう〜〜〜〜〜ぅぅぅぅぅ」「くっ」
唸り声を上げているのはジャイロ。2nd.STAGEの結果に憤懣(ふんまん)やるせないという感じである。
「やべえ…マジにやべえ」
「今回の3rd.STAGEこそはオレが1位でゴールするのは間違いねえとしてもそれ取ったとしてポイントは1位100点だから総合でも合計136点にしかならねえ……」
「このSTAGE136点じゃあすでにDioとサンドマンは越すことはできねえッ!
「しかもあのジョニィの野郎ッ!ここで仮にあいつが1位とったら総合180ポイントで単独1位になるんじゃあねーかッ!オレのあとでゴールするって言っといてあの約束破りの裏切り者がどーしてくれよーかー――ッ」
意外と執念深いジャイロ……でも根に持つのは実はジョースター家の特徴でもありますけど(ジャイロはジョースター家じゃないけど)。
「しかも今も先行ってるDioとサンドマンがこのステージポイントゼロでゴールってことはねェーよなぁぁ〜〜〜」
「ありえねえよなあー――ヤツらゼロだたらいいよなあー――」
と…うわさをすれば影と言うが。
「見ろジャイロ!あそこにDioが座り込んでるぞ!あれはDioの馬だ。でもなんか変だ……コースからはずれてる」
蹲(うずくま)っているDio…彼のヘルムが転がっているが血が付着している。その血は頭を押さえているDioの手の間から流れている。
そのことをジャイロは双眼鏡を通して認める。
「ありゃどうやら落馬したらしいな」『やったッ!…オレ、ラッキーかも……』
「Dioのヤツ、顔から流血だぜ!」
「落馬?」「あのDioが落馬?」
非情に訝しがるジョニィ。
「Dioが落馬………信じられないな。だがあの様子じゃあ、しばらくレースは遅れるだろう…もしかするとリタイアかも……先行こうジャイロ」
「おっ、そーゆーこと言うの?ジョニィ。オレもけっこう人の不幸を喜ぶタイプだがよ…しかもあいつがポイントゼロだったらなあとも思ってるぜ。だが命にかかわる負傷してるかもしれねえんだぜ…様子みてやろう」
「ディエゴ・ブランドーには近づかない方がいい…ジャイロ」
「彼は信用できない。Dioは英国の名誉ある競馬界の天才騎手だ…しかし金と勝つためにはどんなきたない事でもする男だ。そういう噂だ」
「黒い噂はいっぱいある……たとえば彼が20歳の時、財産を手に入れるために83歳の老婦人と結婚したことだってあるんだ」
「その老婦人は半年後、死んだ……Dioが殺したかもって噂さ…」
「ああやってぼくらをだまそうとしているのかもしれない……しかもこういう状況だ。テロリストと関わっていることだってありうる男だ!」
この世界のDioには悪い噂がつきまとっている……しかし、これは少し違和感があるのだが…。
「そーゆー噂知っているおめーに対して負けてるならともかくヤツはポイント1位だ!そんな事するか?」
いやぁ、下から来る者や後ろから追いかける者は恐いですよ。こういうヤツらこそ叩き潰すべきだと私は考えますけど。
逆にそういう発想がないジャイロは本当に真っ直ぐな男です。
「流血がかなりひどくなってる!見てやるだけだ」
Dioに近寄るヴァルキリー≠ゥら降りるジャイロ。何故か怯えている彼女をなだめるジャイロ。Dioのシルバーバレット≠煖ッえている。
「おいDio、大丈夫かッ!救援隊が欲しいならそう言えッ!呼んでやるぜ!」
ゆっくりとこちらを振り向くDio。やはり頭から流血……それに加えて手がひび割れている…爪の形もおかしい、尖っているように見える。
バオー武装現象(アーマード・フェノメノン)か!?
「余計なお世話だ。さっさと先に行け…おまえら!」
「どうせ……最後に追い抜くのはこのDioだ」
この場に及んでも強気を崩さないDio。
「どうやら平気らしいな!!罠にしても元気よすぎるしよ!そいつは良かった!…行くぞ、ジョニィ」
2人が去るのを認めてからドサァと倒れこむDio!
倒れこむDioを俯瞰で見ると……なんと大地に半ば埋まっている化石の恐竜がDioの頭に噛み付いているように見える。いや逆に、自らの子どもを抱くようにDioを囲んでいるようにも見えるが…。
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