2つの鉄球を腰に据え、右足の止血を追えてオエコモバを追うジャイロとジョニィ(そういえば、ブンブーン一家の親父に鉄球を一個ダメにされていたけど、いつのまにか補充されていますね)。

‘04 47号  #23 山岳地帯の追撃

 
「ジョニィ!ヤツはオレの敵だッ!この山を越す前にヤツを仕留める!!ヤツはオレとオレの国だけの問題でおまえには関係ない!」
「いや…ジャイロ、ぼくも行くに決まっているだろ」
ドガガァ
「いいか…あのテロリストは今逃げているが危険は依然去っていないとオマエに言ってるんだぜ。オエコモバの方もこの場所でオレの事を絶対に始末しなければならないと思っている」
「レッド・キャニオンで君の国王からの贈り物『ゾンビ馬』を手に入れるんだろ。それがどんなものか?ぼくは見てみたい。『全てのものの疲れをいやし』『負傷をも治してくれる馬』。もしかしてあんたのその右脚も治してくれるものなのか?ぼくの両脚はどうだ?」
 マントを翻し走るジャイロ。
「いいか…妙な期待はするな。オレはおまえが邪魔だと言っているんだ!」
「ぼくは誰の指図も受けないし助けも受けない。しかしレーススタート地点からあんたに巻き込まれているんだ!今さら別行動で行けるか!」
 憎まれ口を叩き合う2人。本当は強い絆を持っていることを知っている我々にとっては唯々ほほえましい限りである。

触ってピンが飛んだら爆発…というオレの能力の特徴がヤツらに理解されてしまった…オレもジャイロ・ツェペリの能力をキチンと理解しなくては…」
『ジャイロの鉄球の飛投距離はどのくらいか?』『さっき町でくらった距離では血ヘドは吐かせられたが致命傷ではなかった』
『射程は20メートル以内といったこころか…!?』『それ以上近づかれたらオレはやられてしまう』
『離れると爆殺はムズかしい。ヤツの射程ギリギリの外で攻撃しなくては…』
『この地形!オレは有利か!?それとも不利か?』
 オエコモバの能力が地雷ということなら逃げながらセットできることは有利である。またジャイロの鉄球の有効射程を知ることができたのも有利。さらに障害物が多いのもオエコモバには有利。しかも長引くと大怪我しているジャイロは失血死の可能性が高い。考えたり悩んだりする必要がないくらいお前が有利だよ、オエコモバッ!!

 水筒の水を手のひらにこぼすオエコモバ。その背中にマントを纏ったカラスのようなヴィジョンが重なっている…意外!ヴィジョンがあったのか。
「ジャイロ、水からあがれェエエーーーッ!!あいつ「水」を爆弾にしているぞォォォーーーーッ
 なんと水面にピンがいっぱい!!なんとオエコモバは液体を爆弾にできるのだ。
しかしジャイロは臆せず爆弾の中を突破する。
「『ヤツの地雷のピンに触れる』…だが爆破が起こるのは次の瞬間だ。逆に加速して馬の後方で爆破させるんだ。ここは突っ走るぜ……」
「馬の走行はひと蹴り約4メートルのジャンプ、川から出て馬の足を止める方がマズイ」
「絶対に馬を躊躇(ちゅうちょ)させるな!15!いや20メートルまで近づいてヤツに鉄球をたたき込む!」
 爆風を背中に受けながら川を疾走するジャイロとジョニィ。
「ジャイロ・ツェペリ、いい気になりやがってやっぱり加速したな……おれはおまえから逃げているんじゃあなくておまえをこの川に追い込んでいるんだぜ」
 なんとジャイロの行動は予測通りのオエコモバ。今度は急斜面となった滝を駆け上がり、減速のため爆発に巻き込まれるのを狙ったのか?
「このまま突っ込むッ!速度をゆるめるなッ!このままの速度でヤツと同じに登り切るんだッ!」
 しかしジャイロも負けじと突っぱねるッ!!
バシィイッ
「あいつ!今度は走りながら何かをたたき落としたぞッ!!」
 滝を登りきったところにあった木を叩いたと見えたが、実はバスケットボール大の物体を落とす。
それがなんと蜂の巣ッ!岩に叩きつけられた蜂の巣から、当然だが怒りに満ちた蜂が空一面に飛び出す。
しかも全員ピンがついているというオマケ付き!!
「一匹一匹切り飛ばすしかない。『オレの指のカッター』でッ!」
 なんと悠長なッ!そんなヒマはないだろう?
「速度を落とすなッ!ジョニィ!!やるしかねえッ!ここから鉄球をブチ込む!!」「オラアアア!!

 矢のような燕のような豹のような……オエコモバに向かう鉄球!!ジャイロはスタープラチナのようでしたけどね。
「距離は優に30〜40メートルはある!!仮にオレまでとどいたとしてもさっきと同じッ!致命傷にならないねッ!オレの爆破の能力の方が上だッ!蜂をくらって爆発するのはおまえらの方だッ!」
 顔を十字にガードして致命傷を避けるオエコモバ。しかし鉄球はシュートしてオエコモバから逃げていく。
そして木々の間に張られていた蜘蛛の巣に飛び込む。
「クモの巣で蜂に触れた!伏せろジョニィーーーッ!」
 爆発する数十匹の蜂の下を走り抜けたジャイロとジョニィ!
「やったッ!滝を登り切ったぞォーーーーッ!!」

ボグオ

 突然にジャイロの頬が発破する!そして先を走るオエコモバは煙草をふかしている。
なんとオエコモバは気体を爆弾にできるのだ!吐き出した煙にピンがついている!!
「この山岳地帯でおまえらに送り込んでいたのは『水』と『蜂』だけだと思ったのか?吸い込んで吐き出したモノ!オレが触れるモノは全て!地雷に出来るッ!」
「おまえらはもう網カゴに入れられたまま火にくべられるネズミと同じだ!全ての退路はもはやない!やれる事もなにもないッ!」
「呼吸さえ出来ないッ!オレは神からすばらしい能力を授かったッ!」
「この山岳地帯を脱出したら国に帰ってこの能力で国王でも暗殺してやるぜェェーーーッ」
 煙と水で続々と爆弾を造り続けるオエコモバ。事実上のレース放棄を宣言してテロリストに戻ることを発表。

ブゥゥーー〜〜ーン

 いい気になっていたオエコモバの周りを蜂が飛ぶ。蜂…ということはピンのついた蜂でしょうか?
「クモの糸をつけてるッ!これは!!さっきの!!!まさか、さっきやってたのかッ!!あの糸をくっつけた蜂!!オレに…」
「クソ甘いぞッ!このオエコモバ自身が地雷にした蜂で!このオレを吹き飛ばそうって考えかーーーッ」
「ブッち切ってやるぜッ!」
 糸をグイッと引っ張るオエコモバ。そんなオエコモバの目に珍なる物体が…。
『!?なんだこれは…!?蜂じゃあない…『回転』している……』

「さっきの蜂は全て爆破したかどこかへ飛んでいった。その虫の羽音をたてているのは……」
「ジョニィの爪の回転」
「自分が爆弾にした蜂の音と思い込んだようだな。そして糸を切ろうと引き寄せたな…つまり!射程距離を引き寄せた!」
「『その爪の回転でパワーアップ!』オレの鉄球の撃墜飛投距離をッ!」

ドグシャアアア

 ついにあれだけ警戒していた顔面に鉄球を喰らってしまったオエコモバ。頭部を守っていれば大丈夫と考えていた節があったが、これはもはや敗北と言っていい一撃でしょう。しかしジャイロは……
いっぱあああああつッ!!」

バグオオオオ

 容赦なく顔面に2発の鉄球を埋め込まれ、馬上から腹をみせたカエルのように落ちるオエコモバ。
そしてその横を並んで走り抜けるジャイロ&ジョニィ。
「このまま突っ走るぞ!ジョニィ」「これで依然、レースでの1位2位は!!」
「オレ達だッ!」

今週のめい言

「このまま突っ走るぞ!」


○オエコモバ撃沈。SBRはレース漫画のためライヴァルはいても敵がいない…ということもなく、ご存知の通りSBRはバトルの要素が多分にあります。逆にそこが中途半端な感じがして、私的には少しテンションが低めです。ただもう1つ、今までのJOJOシリーズでは割と早い段階で中ボス/大ボスの存在が明らかにされているのですが今回はまだ解かりません。いやレースなんだからボスとか言っている私の方が頭がおかしいと思いますけど。

○バトル要素が濃くなってしまったので、もう1度レースに立ち返るのが良いとは思います。サンドマンやポコロコ等等、魅力的で楽しみなキャラはデパートで売るほど居るのですからね。後は、自然の過酷さとの闘いも描いて欲しいです。

○実はヴィジョンを持っていたオエコモバのスタンド。ボロボロのマントを纏ったくちばしをいやらしい感じでキュッと曲げたカラスのような鳥のヴィジョンである。マルファスという地獄の将軍もカラス人間の姿をしていますが、まさしくオエコモバの能力は悪魔的!

○「爆弾」という能力で同じ系列のキラークィーンと比較してみると、実は破壊力では勝っています。爆弾化できる物質が複数可能なこと、そして「液体」「気体」にまで能力範囲が及ぶこと。ただし自在性という点に対してはキラークィーンの方に軍配があがります。これはテロリストであり暗殺や破壊を旨とするオエコモバと、自分の犯罪の痕跡を消去したいと願う吉良の精神のあり様の違いでしょう。

○スタンドバトルの勝利の方程式には「自能力を駆使工夫する」「敵能力を利用して自滅させる」があります。ピンを付けた蜂でオエコモバに自滅させるかと思いきや「回転」という共通を持つジャイロとジョニィが協力しての頭脳プレイ。裏をかかれた面白い決着でした。「ジョニィのスタンド+ジャイロの鉄球」でマンハッタン・トランスファー並のトリッキーな軌跡を描かせることができるかもしれません(ジョニィのスタンドの射程がまだ不明ですが)。

○「ゾンビ馬」の正体は結局は解からずに終わりましたが、しかし吹き飛んだ足を治すことができるのならば、それはどう控えめに考えてもスタンド能力だと思われます。だから「ゾンビ馬とは人名」と予想しておきます。でも本当に馬だったら逆に私はびっくりしますけどね。では第3シーズンであいましょう。

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