ドグオオアアァアアアアアア
ホテルの2階、ティムがいたであろう辺りが木っ端微塵に爆発する。エェ〜〜、こんなに破壊力があるの!?
外に居たジャイロとジョニィの元にちぎれたティムの右腕が降ってくる。
「なにが起こったんだァーーッ」「爆発だァーーッ近づくな近づくな」
「危険だーッなんでホテルが爆発するんだァァーー」
例の双子(?)の大会委員が騒ぎ立てる。そんな喧騒と爆煙の中、ジャイロとジョニィの目にバラバラとなったティムが飛び込む。
「これはッ!!マウンテン・ティムゥッ!!」
駆け寄ろうとするジャイロッ!しかし、その足をガシィと掴むものが!!
それはちぎれたはずのティムの右腕、ロープが右腕を貫通している。
「マ…『マウンテン・ティム』!生きているッ!体をロープでバラバラにして!」
大方の予想の通り、身体をバラバラにして生存していたティム。
「う…うぐあ…」「く…来るな……ジャ……イロ」
「オレの方に……この爆発は……くっ」
「来るなッ!オレから離れろォーーッ!!」
「ジャイロ、近くに潜んでいるぞォォーー!!スタンド能力だァァッ!!」
ティムの警告も遅かったか!?すでにオエコモバはジャイロの後ろに迫り、邪悪な指先を伸ばしている。
「いるぞッ!絶対にそいつに触られるなあッ!そいつが敵だッ!逃げろォオオオ」
ズババァアア
ジャンプしてかわすジャイロ…だが…。
「なんなんだよォォ〜あのカウボーイはぁぁ〜〜〜〜」
「どォ〜ゆぅぅ〜体してんだあああああ〜〜」
皮膚がずる剥ける自分のことは棚に上げて不思議がるオエコモバ。
「久しぶりだな…ジャイロ…ツェペリ……」
「くそっ!なんてこったッ!ジャイロ触られたぞッ!」「今ッ!ヤツに指で触られたッ!」
よく見ているティム。そして鉄球を握っているジャイロの右手に異変がッ!
「ジャイロ、おまえは『部品(ピン)』を付けられたッ!」
「それがそいつの能力だッ!爆発するぞッ!」「『部品』が飛ばないように手でおさえろッ!」
「いいからジャイロ早く『部品』をおさえろォォーーーーーッ」
「オレの時と同じだッ!!」「「そのピンが飛んだら爆発したんだッ!」
ティムの言葉に慌てて『部品』を押さえつけるジャイロ。
「絶対指をはなすな!!それが『ルール』だッ!」
「まるで『地雷』だったッ!その部品が空中にはじけ飛ぶッ!そしておまえの手は爆発するんだ!!」
「おい……どうなってんだ!?この時計みたいな『輪っか』!オレの指と一体化してるぞッ!」
「しかも本物の『機械』みたいに見えるッ!4本くらい見えるぞ!」
スタンド使いではないジャイロにも見えると言うことは具現化しているということか。
そして今のところ最もスタンドについて詳しいティムがスタンドの説明をする。
「それが『スタンド』だッ!」
「『スタンド』とは精神のエネルギーのこと……オレたちの心の中にまるで存在するかのように見せ……そして『破壊』もする!『爆発』もそのエネルギーだッ!」
「ピンがはじけ飛んでスイッチがはいるッ!」
「『地雷』といったのはそういう事だッ!ヤツはその間、爆発の衝撃から安全なところまではなれることが出来るッ!」
地雷というより手榴弾を思い出します、ピンが勝手に抜ける手榴弾。
ティムの言葉を証明するように、後ずさりをするオエコモバ。
「ジャイロ…そいつ今、君に『久しぶり』だといった!そいつのことを知っているのか?」
素朴な疑問を言うジョニィ。そんなこと爆弾処理が成功してから聞け!と思うのですが、ティムは「そういえば!」という顔をしている。当の本人のオエコモバと言えば、右手の人差し指を顔の前に立てている。「しゃべるな」という動作なのか?鼻くそをほじろうとしているようにも見える。
「ああ…名前は『オエコモバ』」
「2年前、こいつは国王の馬車を爆弾で爆破したテロリスト…!!国王は乗ってなかったが巻きぞえで子供2人を含む5人が死亡した。そしてこいつは捕らえられて死刑判決を待っていたが脱獄した」
「獄中なぜかほんの少しの爆薬を持っていて、看守の耳の中に入れ爆殺!脱獄したんだ」
「おまえのオヤジさんは元気か?」
「ジャイロ・ツェペリ、聞くところによると処刑人の任務を引退したそうじゃないか?」
「オレの脱獄に対して責任をとって……そりゃそうだよなぁ」「部下である看守の死に責任はあるよなあ」
「国王からの『任命』だもんなあ−−−」
ジャイロの眼に怒りが走る。
「そしてこのアリゾナの砂漠の通過は神の御業だ」「ブッたまげたがよオオオ」
「オレの爆弾の特技はこの体の中の能力として身についた…神から与えられた使命と受けとったぜ!」
爆弾魔が身につけた能力が爆弾とはそのままというか、陳腐というか、当然といえば当然というか…親しんだ技術がそのまま能力に直結したということは……。
「ジャイロもうひとつ言っておく!」
ティム先生から助言がッ!
「『スタンド能力』から身を守る手ッ取り早い方法は……!!」
「ヤツ本体が死ねば!!『能力』も同時に消滅するッ!」
そう、それがスタンドのルールである。しかしティムは詳しい、今までに能力者とあったことがあるのではなかろうか?
「いろいろと親切に指導するのもいいけどよオオ」「すでにジャイロ・ツェペリの『右手』は封じてやったぜ……」
「それでよォォ借金でクビがまわらないヤツが『闇金融』からカネ借りちゃったのと同じ事よ。もうどーしよーもないて事!」
まぁ腎臓はとられるとは思います…というかこの例えは時代考証的にはあっているの?
などと考えている間にオコエモバの足元からピンを外しつつ何かがジャイロに向かって走ってくる。
「ジャイロッ!ネズミからはなれろッ!近づかせるなーーーッ!!」
「爆弾になっているッ!!」
ボッ ティムの警告も遅くジャイロの足元に到達したネズミが爆発する。
爆風で壁に叩きつけられるジャイロ、ジョニィ、ティム。
「ジャイロ、手をはなすなッ!指を決してはなすなァーーーッ!!」
ティムがやるなというとやってしまうジャイロ。ピンの1つが外れて転がってしまう。
「拾えッ!ジャイロッ!そのピンを拾って手に戻すんだッ!すぐに抜けた元の位置にピンを刺し込めッ!!」
しかし重大な事実をジョニィが示す。
「ピ…ピンが抜けた場所は……手のひらからじゃあないのか……鉄球を握っている手の内側じゃあないのか?」
万事休すか?ピンを戻そうと手を開ければ他のピンが外れる。
しかしジャイロは屈しない、手の甲を貫通させてピンを元の位置に戻す。もちろん血はダクダク流れ、痛みのためか油汗も流す。
「やったッ!ピンが元の位置へ爆発しないッ!!」
「フウ〜〜〜」「今すごく手に汗握っちゃったよなぁ〜〜〜」
「砂漠でこの能力を身につけて丸4日だが、オレは今、自分の能力の全てをここで理解したよ」
「神の御業に『弱点』はなかったってことをな……せいぜいガンバってピンがはじけないよう押さえつけてなよ」
今度は後ずさりではなく、堂々と踵(きびす)を返すオエコモバ。「逃がすな」と言われるが、
「逃げるもなにもさあ〜〜〜もう終わりって事だぜ〜〜」
「ジャイロはあと3歩も歩けないさ…手に汗握れば握るほどなあああーーーーッ」
「下がれジョニィッ!オレに近づくなッ!」
鉄球を伝うジャイロの手の汗。それを見たジャイロが叫ぶ。
「気がついたかい………汗であろうとなんであろうとその手から離れるものは、それはピンが抜け落ちるという事だ」
汗と共にジワジワと染み出てくるピン。
「だめだッ!汗とピンが一体化しているッ!流れ出てくるぜ!くそっーーーヤツをやるしかねえッ!」
今度こそ万事休すなのか!?右手とひきかえに鉄球を投げることを決断するジャイロ。
「なるほど……!それもいいかもな〜どうせ右手が吹っ飛ぶんなら……一か八かやるだけやって鉄球を投げてみるのもいいかもな…」「でも手から離れた瞬間、粉みじんだけどな………」
両手の指をからませて顔の横に添えるという余裕シャクシャクのポーズを決めるオエコモバ。憎たらしいことこの上なし。
そしてついにピンが次々と抜け始める!!!!
「うおおおおおおおおおお」「オラアアァ−−−ーッ」
シアーハートアタックをぶん投げるスタープラチナ(38巻参照)を思い出させる一球入魂with爆弾ッ!!
鉄球をリリースすると同時にジャイロの右手が崩壊……その刹那!右手から稲妻のような衝撃が右足に走る、なんとジャイロの右足が爆破崩壊!しかし右手はなんと無事のままである!!!
「鉄球の回転の『最終奥義』」「ダメージの衝撃波を体表を伝わらせて足へ移させた……」
「破壊は移動した……あの野郎をブチのめす……この腕を失うよりはマシってことさ…」
見事に鉄球が胸に命中したオエコモバ、たまらず馬で駆け出す。
「逃がすか…オエコモバ」「国王の『使い』からの『手紙』にかいてあった……ヤツは手に入れる気だ……」
「国王からの贈り物……『ゾンビ馬』を手に入れろ、『ゾンビ馬』は『疲れ』と『キズ』をいやしてくれる………」
破壊された右足をひきずりながら、オエコモバを追うジャイロ。次週も刮目だッ!!
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