「ヤツらから距離をおいて離れたらダメージが軽くなって来てるぜ」「足の異常が元に戻っていく……」
「完治ってわけじゃあないのかもしれないが……」
ジャイロの足から銃の部品をはじめとする鉄が落ちていく。巷(ちまた)で言われている通りこの能力はメタリカ+バステト女神を合わせたようである。ということはつまり「鉄を操る」と「人を磁石化する」という2つの能力を持つことになり「3人が同じ能力」に続いての例外が適用される。
「ど…どういうトリックなんだ?それともやはりヤツら「毒」とか「病気」みたいなものを使っているっていうのか?」
ミスター・サタンみたいなことをいうジョニィ。しかし一般人の認識はこんなものであろう。
「『トリック』というより『呪い』と考えた方がいいかもしれねえな…そう考えるしかねえ」
「ヤツらまずオレに接触し3人でオレを取り囲んでから近づいて来た」
「あいつら3人の『中間』にはさまれると強力な攻撃となるみたいだ」
「『鉄』をひっぱる『呪い』」「『磁石』同士が集まるみたいに……」
正解に近づけども対応策がないところが現状であろう…とりあえず夜を徹して60q先の水場を目指すジャイロ。
「うおおおヤツらが逃げるぞォォォ――――ッ」「逃がすかこのブタ野郎―――ッ」
銃を乱射するベンジャミン親父。
「はなれすぎてるよ父さん。しかも弾丸は『鉛製』だ。『鉄』ならあいつの体がひっぱって当たるかもしれないけど……」
「てめーごときの脳ミソでわかった風な口きいてんじゃあねッ!おい、アンドレもうちょっと右来い、右だ」
ガ――――ン
アンドレ兄さんのドテッパラの穴を通して弾丸をジャイロ達に放つベンジャミン親父。
弾丸はジャイロとジョニィの頭上を通過していくが同時にアンドレ兄さんの血を降らしていく……ジャイロの左足もキッカケは確か…。
「傷みせろアンドレ!なんだけっこう小せえ穴だなぁ〜〜」
「ワシゃあな、若いころ崖から落ちて下アゴを吹っ飛ばした事がある…しかも5kmも歩いて家に帰ったもんよ」
いや小さくないって親父さん(汗)。
「死ぬかもオレェー…父ちゃん!あの野郎、恨んでやるッ、絶ってーーー復讐してやるッ」
「ああ必ず始末してやるッ!2人をブッ殺して60q先の『水場』には誰よりも先にワシらが到着するんだ」
「一番で到着してたったひとつの『水場』をつぶしちまえばよォ―――後からくる他の選手どもは
飲み水がないから『全滅』ってことだからなあああ」
恐るべし邪悪な試み、しかも何故かイヒヒヒヒとおかまみたいな笑い方をする親父。
「でもあの2人にどうやって追いつくんだい?あいつら優勝候補になってんだよ。あいつらに簡単に追いつけないからこうやって襲撃してんじゃあないの…ボクたち」
頭は悪いかもしれないがなかなか常識人のL..A。
「誰がワシらが追っかけると言った?」
「ジャイロ・ツェペリとジョニィ・ジョースターは『うしろのヤツ』に追わせて『うしろのヤツ』に始末させる!」
「参加選手3千数百の中からワシの『蹄鉄の跡』だけを見分けて朝からずっと尾けて来てる何者かがいる……ちゃーんとわかってんだぜ、ワシはよォォォーーッ」
「おそらく保安官か……ありうるのは『マウンテン・ティム』だな」「あいつは保安官と仲がいいらしいからな」
「逆にそのことを利用してやるんだぜ!!ワシらのこの『鉄』を操る能力でッ!」
ベンジャミン親父のアゴの鉄製品がズブズブと顔に呑み込まれていく。
「土地のインディアンが忌み嫌う砂漠の『呪われた山』で鉱山を探しててこの『能力』を身につけた!」
目が吊りあがり鼻が曲がり歯が剥きだされ骨格が変わる。
「インディアンたちは不幸になると言ってるがワシらは以後幸せになったッ!邪魔する者は取りのぞいてエエエ!」
「1位でつっ走るのはこのブンブーン一家だぜエーーーッ」
夜の砂漠。全ての生物が死に絶えたような静寂なの中を馬上のティムが歩いてくる。
胸にはシェリフのバッチ、そんなティムがランタンの灯を吹き消す。
「そろそろこの追跡の続きは明日の朝にしようかと思ってたところだぜ。オレもここらでキャンプなのかとな」
「合衆国およびアリゾナ・テリトリーの法のもと保安官代理としての任務を授かった」
「3名のレース参加選手殺害容疑でおまえを逮捕する。両手をみせてゆっくりそっから出て来い」
そして見せた顔は……。
「たしか…おまえは…5位入賞の」
イキナリに蹄鉄を投げるジョニィもどき。その蹄鉄はティムが追っていた例の山形に欠けた蹄鉄。
しかし自分の顔に飛んでくる蹄鉄をアッサリとロープで止めるティム…しかしながら蹄鉄についていた血が慣性の法則でティムに飛び散ってしまう。
血が……。
それを確認したかのように後方のブッシュに逃げ込むジョニィもどき。
「おや、そこの下は崖か……このイバラのブッシュを大きく回り込まなきゃ馬で向こう側にはいけない…」
「なるほどその間に逃げようってことか」
スッと両手の手袋を外すティム…。
「逃がすかよ……」
ドシュウウウ
ティムがロープをブッシュに投げ込む。そう、手以上に動くロープ捌きが発動される!!
そして当然のように獲物を捕獲ッ!首にロープが喰いこむッ!
「な…なめやがって」
ナイフをポケットから取り出すジョニィもどき。するとナイフを持った右手を掴む手が。
「『手』!?なに…なんだ?」
指がロープを伝ってきている。薬指と小指、手首を掴んでいる親指、人差し指、中指と合体して右手の完成!
続いて左手を…指を1本づつロープを伝わらせて送り込む、ジョニィもどきのそばで左手完成!
ボゴァァ!!と殴りつける。
「こいつはッ!」
「や……ヤツの指が!!バラバラになってロープを滑車みたいにすべって来てんのか!!」
「しかも自由に動かせてる!」
「こいつは!まさかマウンテン・ティム!!」
「この男もあの山に行ったことのある『呪われたヤツ』なのかッ!
「こんなヤツがワシを追跡して来たとは……!!だがどっち道ワシらの勝ちには変わりねえッ!」
「マウンテン・ティムはあの蹄鉄にも触ったしこのワシにもこうして直接さわったんだからなッ!こいつももう終りだッ!」
顔を変形させていた鉄を解除し、刃物に変形させて首から出すベンジャミン親父。
ロープを切断して何とか逃げる!
「ナイフを2本持ってたのか?切られた……」
ロープを切られても手にダメージを負わなければ平気のようだ。
「たしか名前はジョニィ・ジョースター」「驚いた…彼が犯人だったとは……」
まんまとブンブーンズの策謀にはまるティム。
「おいアンドレ!L.A!」
「足跡もジョニィと同じにして来た!仕上げは終わったぜ」
「あとはマウンテン・ティムを先に行かせるだけだ。あのカウボーイがジョニィとジャイロ・ツェペリを追跡して追いついたら!!」
「3人は『磁力』でお互い引っぱり合って内臓まき散らして自爆するからよォオオオ」
恐るべし計画(ケイパー)!はたして3人は乗り切ることができるのか?
「もっともマウンテン・ティムが『呪われたヤツ』だったとはたまげたがな」
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