「ジャイロッ!その足!?いったいッ!」
迫るブンブーン親子。倒れるジャイロ。馬上からのぞみこむジョニィ。白目を向いてるアンドレ。
「左足の皮膚が鋼のように固くなっている……くそ…痛みもスゴイ……どんどん脚を上に登って来ているッ!」
「足の中になにか塊が入っているみたいだ!」
ブーツを切り裂いた物はジャイロの左足の甲の内側から、皮膚の下から生えているようである。
「なにをされたんだ!?そこのアンドレ・ブンブーンがやったことかッ!?近づいているあそこの2人の仕業ってことかッ!?」
「間違いない!……だがなにをされたのかわからない!」
「体の中がおかしいッ!この足でヤツのナイフを蹴りはらった!何かの毒かッ!もしかして…病気みたいなものを感染させられたのか!!」
しかし異変はジャイロの身体のみに留まらなかった。
ジョニィの持つ銃がいきなり解体、吹っ飛びジャイロの身体にめり込む!そしてそのまま地面に落ちるかと思いきや軌道を修正してジャイロの左足にめり込む。
「アンドレ兄さん…動かないよ」「しっかりトカゲの毒、消毒できたかなぁ〜〜〜」
兄の心配をする弟L.A。
「うるせえなさっきからてめーは!」「しかも…L.A!」
「いつまでオレのケツにくっついて来てんだ?オメーはやつらのあっち側へ回り込めって言っただろッ、オレらの作戦はよォォォ―――」
「はさみ込んで作戦は完了だろォ!!」「本当にすっトロイ野郎だぜ、母親そっくりだ…」
「家を捨てて売春婦になったあの女にクリソツだ!」
ゴリラのような見た目だが、意外と頭が切れる父親ベンジャミン。
「ぼくらの母さんはコウノトリだろ?兄さんが言ってた。コウノトリがぼくらの母さんだって!ぼくってコウノトリに似てる?」
子どもはコウノトリが運んでくるなんてことを信じているのでしょうか?子どもはキャベツを割って生まれてくるのにね。
「あの『ナイフ』は『鉄』だ…」
「皮膚にめり込んでいっている銃の部品も『鉄』だ」
「『鉄』が君に寄っていってるんじゃあないのか?」
「血液の中にも『鉄分』はあるッ!」
「ヤツらなにか『鉄』を操作してるんじゃあないのかッ!」
向かってきたナイフを鉄球で防ぎ、そのまま鉄球をベンジャミンに投げつけるジャイロ。
「うりゃああぁああっ!!」
ベンジャミン親父が奇妙な動作をする。右手の親指と人差し指で円を作り、気合のこもった豪速球を覗く格好をする。
すると鉄球が空中でドンドン削られていき、ついにはウズラの卵ほどの大きさとなりベン親父の親指と人差し指の間にピタリと収まる。
驚きのため、投げたフォームで固まるジャイロそしてジョニィ。
「囲まれたぞ、ジャイロ。周囲をまわり始めてるッ!」
L.Aとベンジャミンがザパラザパラと回り出す。
「こいつらは完全に違う………」
「あのミセス・ロビンスン……あんなのとは…!!あいつは『眼孔に虫を飼ってそれを操っていた』」
「そういうのとは全然別格だ…」
「『超越する』なにかを身につけてこのレースに参加して来ている」
何かボロクソに言われているロビンスンです…変態というところではひけをとらないと思うのですが。
「なんのことだ?超越する『なにか』って!?」
たまらず質問するジョニィ。
「わからない………そう思いたくなるってことだ……見当がつかなすぎるから……」
「おいジャイロ―――ッ、あのイカレ野郎が目を醒ましてるぞ―――ッ」
実は死んでなかったアンドレ、馬上に戻ろうとしている。それを見たジャイロの目に異様なものが……!!
悪魔…!!
そう呼びたくなるよう異形の姿である。頭はアリクイのようであり長い舌をぺロッと出している。下半身には大きいのや小さいのを合わせて(ハッキリと確認はできないが)8本ほどある。私が直観的に思い出したのは地獄の軍団72将軍の筆頭バァルでした。
つまりブンブーン一家はスタンド家族だったようです。
「ジョニィ!!見たか!?」
「もう見えない」
スタンドが見えるということは、少なくてもジャイロにはスタンドの素質があるということでしょう。
「それよりジャイロ!君の足、出血がさっきよりスゴクなって来てるぞッ!!」
「どんどん部品がめり込んでいってるんじゃあないのかッ!」
確かに銃の部品やナイフが深深と刺さっている。
「わかってる……ヤツらに囲まれてからさらにひどくなって来ている!これはチーム攻撃だ」
「ヤツらとの距離が近づけば近づくほど…この『鉄』は強力にオレの体に作用してくるみたいだ……」
「もしここのそばまで来られたら……これがオレの体を突き抜けるかのかもしれない!」
3人でジャイロとジョニィの周りを走り、すでに余裕のブンブーン一家。アンドレが鼻の穴をペッタンコにし耳たぶを耳の穴にいれ、それをL.Aが尊敬すると……バカ兄弟です。あれ?ジョジョの世界で「バカな兄貴を尊敬するバカな弟」ってパターンあったかな?
ともかくトドメをさそうと近づくアンドレ!残り1つの鉄球を右手に装填し構えるジャイロ!
「行くぞ!レースはオレたち一家が1着だァ―――ッ」
ド ゴ オオォ
アンドレを迎撃すべくジャイロが渾身の一球を投げる。ただしその軌道は上空への放物線を描く。
「かかっ!軌道を変えてみたってことか……?同(おんな)じなのによォ…このオレには絶対に近づけなねえ……」
「とどくかアホが―――ッ、近づいて内臓ひきずり出してやるぜ―――ッ」
ボ ゴ オオォ
「どうやら影響があるのは『鉄』だけだ……『石』ははじき飛ばせる、『石』は……」
「命中した」「ジョニィ、荷物を馬につめ」
「ここは離れなくては…あと2人いる…とにかくわけがわからないヤツらだ……出発だ」
鉄球はアンドレではなく足元の石を狙った物だった。はじき飛ばされた石はアンドレの腹部を貫通ッ!
内臓を引きずり出されるのはアンドレの方になりそうである。鼻や耳の穴のように簡単に閉じられないであろう…。
最後にアンドレさん一言。
「父ちゃああああ〜〜〜〜んっ!」
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