2nd.STAGE 第1日目終了
日没時間 午後6:03分 『ジョニィ・ジョースター』『ジャイロ・ツェペリ』
第1日目の走行距離 約95q 次の水場まで約50q
現在の順位 1位 この場所でキャンプ |
「唐突だけれども………」
「ぼく(ジョニィ・ジョースター)が読んだヨーロッパのある国の新聞記事を紹介したい…日付は1890年の4月23日」
その国に『マルコ』という少年がいた、年齢は9歳
(耳の大きな犬と一緒に座り込んでいる初々しい少年) |
少年の家は代々貴族に仕える『召し使い』の家系であったため
マルコもリッピという男爵の屋敷に帽子と靴をみがくだけの
仕事のため住み込みの奉公についた |
ひとり親もとをはなれる時、9歳のマルコに彼の父は言った…
『この仕事は謙虚に…そしてまじめにやり続ければ幸福になれる
仕事なのだ』……と
(父親らしき男性と抱き合っているマルコ。顔は涙と鼻水でクシャクシャになっている) |
マルコは毎朝誰よりも早起きをして男爵とそのお客たちのために
靴をみがき、そして帽子にブラシをかけた
だが奉公について数週間たったとき突然……国の憲兵隊が屋敷に
押し入って来てマルコは逮捕されてしまった |
男爵はこの国の『王』に叛乱の計画を立てていたのだ
『国王』の暗殺は未然に防がれたが『叛逆』は最重罪!
計画にたずさわった男爵の仲間と男爵の家族も全員処刑と
裁判で決定された |
証拠により暗殺計画はこの屋敷で立てられたとされ
マルコも男爵の家族の一員とみなされたのだ
毎朝、男爵とその仲間の靴をみがいていたのだから―――
『知らないはずはない』……と |
(白い囚人服を着せられ両手を手錠で拘束されていながらも
あどけない笑顔を見せるマルコ)
(しかしかたわらには剣を持った何者かが立つ) |
「『イメージ』はあるんだ……」
例のシャンパンのコルクを見つめるジョニィ。チョヤッの針の傷もたいしたことなかったようである。
「『回転』のイメージはな………風の中の木の葉がバレエ・ダンサーのようにくるくる『舞うイメージ』っていうか……。
コルクを指で弾くジョニィ、するとコルクがイメージ通りに回転を始めジョニィの手から飛び出す。
「なんだジャイロ!見てないのかよォ〜〜〜〜ッ」
「今、見ててくんなかったのか!?なんで見てないんだ!?すごかったんだ!!絶対にまわったぜッ!コルクがッ!」
「なんでオレが四六時中オマエを見てなきゃいけないんだ?そーなのか?もう一回やってみせろよ」
彼方を眺めていたジャイロ。
コルクを見失ったジョニィだったが、ポンという音とともにどこからかコルクが降ってきた。
「うおっ、ちょっとシメってる!!背中落ちてくッ!……ひっ」「まさか馬のお尻の!!」
「ジョニィ、あそこに誰かがいるぞ」
遠くに見える人馬のシルエット。
「……まさか夜通しで走る気かな?」
「考えられん…夜の闇で馬が事故るだけだ。こっちに来るのかもな」
「オマエさっきこのルートは『変なヤツら』ばかりと言ったよな…武器は持って来てるか?……ジョニィ」
「変なヤツってさっきのミセス・ロビンスンみたいなヤツばっかってことだろう!?あんなのたまたまだ」
「どうかな?……オレたちは優勝候補だってことだ」「武器持ってんなら出しとけよ。もし近づいて来たら追い返す!」
確かに降格したとはいえ1位と上位入賞者が手を結んだのだから他の選手にとっては脅威。先制攻撃を行い叩き潰したいところです。
「え………とっ…とりあえず……銃は持って来たけど……でも撃ったことはない…」
……撃たれたことはある…と。
自分の荷物をゴソゴソ探るジョニィ、その時ジャイロのカバンから書類らしきものが滑り出る。
その書類には……冒頭のジョニィが語った話の続きが示されている、そうあの数奇なマルコである。
『ジャイロの荷物……』
「なんだこれ?『紋章』だ……『紋章』がついた書簡入れ」
「盗んだのか?『紋章』ってヨーロッパでは領主とかの許可なしでは持つ事が許されない宝」
ツェペリ法務官 少年有罪に抗議
しかし認められず
裁判のやりなおしの費用に
50,000,000ドル必要 |
「おたくは他人のものを盗み見る教育を受けて育ったのだか?」
剣のようなオーラを発してジョニィの背後に立ったジャイロが黙って自分の荷物を回収する。
「……………べ…………別に盗み見たわけじゃあないぜっ!だが、あんた…何者なんだ?」
「この国の人間じゃあないのか?」
それ以上の質問を許さない、刺すような視線でジョニィを制するジャイロ。
「開けるのは自分の荷物だけにしとくんだな」
ジョニィは思う。
『ジャイロ・ツェペリはこの事に関してこれ以上は何も語ろうとしなかった。だがぼくはしりたかった…。ジャイロがなぜ『鉄球』を使えるのか?ぼくは『彼』のルーツが知りたかった。ジャイロはあの『少年』をたったひとりで救おうとしているのか?ジャイロと少年はどういう関係なのだ?レースの賞金5千万ドル…ただひとつ言える事は、ジャイロが今の『問い』に答える時がいずれ来るのだろうという事…レースが彼にとってもっとも過酷になった時に』
「あいつやっぱりこっちに向かってくるな…」
「気球も着陸したようだしよ、ここはもはや走行妨害ありのルートになったのかもな」
「ヤツを絶対近づかせるな」
意外のような気もするし当然のような気もする。審査員の目がなくなった夜がキリング・タイムと化すのは至極納得である。
近づいてきたのは黒髪の若い男。ニキビなのかタトゥーなのかピアスなのか、顔がブツブツだらけである。
「噛まれちまったんだよォ〜〜〜」
「しゃがんでクソしてたらよォォ指をやられたッ!チクショオッ!左手2本だぁぁ」「毒トカゲだよォオ〜〜〜」
「たき火の『火』をくれよォオ〜〜その『火』でキズ口を焼いて消毒したいんだああああ〜〜〜っ」
仗助なら必ずグレートと言うであろう治療法である。ジョニィのトリビアにより毒トカゲの名前は『スポテッドサラマンダー』だとわかる。
ジャイロは近づくことは許可しないが、火のついた薪を与えることを確約する。
「ありがとうありがとう〜〜〜〜ありがとう〜〜〜〜」
アホみたいにありがとうを連発した後、ベルトを首に回す。何をやっているのかと思えば…
「ま…麻酔だよォ〜〜。今から肉のよォー、毒のとこだけえぐり取っからさああ〜〜〜痛み止めが必要だろう」
「オレだけがあみ出した方法だぜ…ブッ飛んだ」「マネすんなよ、女の子たちにもいっつも締めてもらってる」
アホでした。麻酔というか…おまえの快楽プレイじゃねーかッ!というか普通はピ――――を良くするために女の子の方を(以下自粛)。
「あああひィィィイイイイイイイ〜〜〜〜〜〜ッ」
指をナイフで切り取った瞬間、鶏を引き裂くような悲鳴がコダマする。顔を背けるジョニィが初々しい…ジョニィ萌え!
泡を吹き、痙攣を起こし、ついには動かなくなる。
とりあえず約束どおり薪を投げるジャイロ。ついでに転がってきたアホが指を切った血のついたナイフを蹴り返す。
「おい起きろ―――ッ」
「噛まれたのに冷たくしたのはすまなかったが一晩中そこにいられるのもよォ困るぜ!」
「とっとと立って出てってくれッ!」
「ジャイロ、そいつの名前がこの参加者名簿にあるぞ。『アンドレ・ブンブーン』ゼッケンC−450、1st.STAGEで10位に入ってる!」
「!?」
その時、ジャイロは気づく。自分の左側のブーツが切り裂かれている。さっき蹴ったナイフを見るジャイロ、蹴った足は左側…。
「そしてその『ブンブーン』まてよ…9位はベンジャミン・ブンブーン、11位がL.A.ブンブーン」「同じ姓だ…3人いる…」
「そいつ…ひとりじゃあないのか?………『家族』?」
ちなみに1st.STAGEの順位はこちら。
ガン!
駆けて来る2つのシルエット!
「アンドレ兄さん死んじゃったのかなぁ〜〜〜〜」「父さん!本当に兄さん死んじゃったのかなぁ〜〜〜」
女みたいなだけど男らしい。結構、目新しいタイプのキャラかも。「あずみ」に出てきそうなキャラです。
「うるせえぞボゲッ!男はメソメソしねェェーーーッ」
「それよりあのジャイロ・ツェペリ!用心深く最後までアンドレに近づこうとしねえッ!アンドレが本気だしてるっつーのによォォォ」
対照的にかなりゴツイ親父。小っちゃいころからあだ名は「熊」というタイプのキャラです。
「だがついにアンドレのナイフには触りやがったッ!アンドレの体には直接触らなかったが血のついたナイフには触りやがったぜ―――ッ」
いったいアンドレに触ると何が起きるというのか?ここでさりげなくブンブーンファミリーの馬の蹄鉄跡が示される。
その足跡は蹄鉄の内側が山形に欠けている。
「なんなんだあいつらはッ!2騎こっちに向かってくるぞッ!」
「チームだこいつらは。5千万ドル狙いの3人チームだッ!近づいてくるつーんなら……」
「ジョニィ!おまえは銃で右のヤツを撃てッ!オレは左のヤツをやるッ!」
その時ジャイロの左のブーツがバックリと突然に裂ける!!ジャイロの左足の甲からジョーズの背びれのような物が3枚生えてきている。
「なに…!?なんだ」「足が……オレの」
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