{ジャイロ・ツェペリッ!}{ジャイロ・ツェペリッ!}
{1st.STAGE王者の誕生ッ!}
{獲得賞金1万ドルッ!タイムボーナス1時間!および順位ポイント100点ッ!}
{栄冠を手にしたのはジャイロ・ツェペリだああああああ−――――――ッ!!}
‘04 29号 #12 1st.STAGE 着順確定 |
{2位はこれが人間の走り≠ゥ!『大地の俊足』サンドマンッ!}
{3位は雑木林越えの『黒い彗星』!ポコロコ!}{…い…いや!ディエゴ・ブランドーかッ!}
{審議ッ!審議ッ!着順は混戦のため審議ですッ!!}
もつれにもつれた2位以下!
{審判員5名と最近発明され…史上初の導入となる映写機撮影での判定をもとに着順は確定しますッ!}
{なお『スティール・ボール・レース』は『ポイント順位制』をとっていますッ!}
{1位100ポイント!2位50ポイント!3位40ポイントと21位までの着順にポイントが与えられ目的地ニューヨークの第9ステージまでの合計獲得ポイント数で王者の中の王者が決定しますッ!}
映写機も発明されたばかりらしいですからまだ無声なのでしょうか。とにかく順位に関しては誤採決がないようです。
自分が絶対1位だと思っていたポコロコとディオが微笑ましい。
「スティール様……ジャイロ・ツェペリの『経歴』について少しばかり情報が入ってきました……」
スティール氏に近づくヒゲも怪しい男。
「入国管理局に情報があるそうです」
「彼は今年の5月にイタリアのジェノヴァを出港し5月22日にこの国に入国しています」
「外国人なのか?あいつは!!カウボーイとかガンマンじゃあないってことか!?」
驚くスティール氏に追打ち。そういえば帆船に乗ったことがあるとジャイロは言っていましたが。
「それどころか乗って来た船が貨物船とか移民船とかじゃあないんです。ヨーロッパのある国の皇族所有の船での入国です」
「……皇族?つまり…それって…どういう事だ?」
「政府の要人とか大金持ちとか…ま、金持ちがこのレースに出るかな?って疑問はありますが」「とにかくですよ」
「ツェペリ本人に直接質問なさってはいかがですか?『何者ですか?』と………」
たまねぎの薄皮を1枚1枚剥ぐように、各STAGEでジャイロの謎が1つ1つ明らかにされていくようです。
「やつはレースの書類に何ひとつ記入していないんだ!!外国人なのになぜ経歴を隠す?……質問しても答えないかも……」
「次の2nd.STAGEは長距離1200qのレースだ…次のSTAGEからは誰が1位か『賭け』の予想が全米中で始まるんだ」
「ジャイロ・ツェペリの情報は絶対に調べあげろ!……いいなッ!」
{ただ今!順位結果が確定しましたッ!}{発表しますッ!}
{審議によりィ……1位ジャイロ・ツェペリ選手のォ……サンドマン選手に対するゥ――…『走行妨害があったためェ』……}
{ツェペリ選手へ『ペナルティ』が課されますッ!順位降格のペナルティですッ!}
ゆっくりと…噛みしめるように…発表される衝撃の審議。
{くり返しますゥー……}
{気球上審判員からの報告によりジャイロ・ツェペリ選手の武器による走行妨害行為≠ェ認められましたァ……}
{場所は1300メートル付近の下り坂終了地点ッ!}
{よってーっ、ジャイロ選手は20位降格のペナルティが課せられ………!!2位の選手以下が順位くり上げ≠ニなりますッ!}
牛の死骸に載って滑り降りていたポコロコを阻止しようとして投げた鉄球がサンドマンへの攻撃と捉えられたのだ。
{優勝はくり上げてサンドマンッ!確定しましたッ!}
{1st.STAGEの王者はサンドマンだぁぁぁ−――ッ}
ギャートルズに出てくるような骨付き肉をもう食い尽くそうとしているサンドマンがその報を聞く。続いて…
{2位はディオッ!ディエゴ・ブランドーッ}{3位はポコロコ}{4位にティム・マウンテン}
ティ……ティム・マウンテンッ!?えっ、いつの間に???あっ、カラーのところ、ジョニィの向こうに誰かがいる!!!
というか、ハンサム度やファッションが1段階あがっているんですけど(笑)。ハンサムだともてるのに苦労しなくていいよねッ。
怒りに握った拳を震わせるジャイロ…。
バンッ
高級シャンパンが置かれた机に回転している鉄球を叩きつけるジャイロ。スポンサーを招いて行われているゴール祝勝会である。
ジャイロの眼は怒りの炎にメラメラと燃え、ジャイロの噛みしめた歯は憤りのためギリギリと鳴る。
ボディーガードがプロモーターのスティール氏を守ろうとするが、あえて後ろに下がらせる。
「なにか文句でもあるのかね?ツェペリくん」「普通なら失格だったぞッ!武器による妨害なんだからな………」
「別にねェよォ――――ッ。もう、てめーらとは絶対(ゼッテー)に口はきかねぇッ!」
「もう済んじまった事はよォ〜〜〜〜どうこう言ってもしょーがねーしよォォ…だが明日のためによォォーッ」
「ムカついた気分を変えに来ただけだッ!それだけだ!言いてえ事はッ!」「シャンペンで祝いでもやってろッ!」
子どものような理由だが、そこは大人らしく手を出さずに去るジャイロ。
「あ」「スティール様、彼に『何者か』インタビューするんじゃあ〜〜〜!」
「う」「そうだった!!おい…ちょっと待てー!」
ボオォン カタカタカタガタガタガタ バン バン ボン ボン
次々と1本500ドルするシャンパンが発砲しだす、挙句の果てに給水樽からドザァーと水が流れてスポンサー共々スティール氏はびしょ濡れ。
どう考えてもジャイロの仕業ッ…彼は子どもでしたね(笑)。
「ちょっと気分は落ちついたぜ……なあ…ついて来るきか?…次のSTAGEでも……ジョニィ・ジョースター」
様子を見守っていたジョニィに話し掛けるジャイロ。
「もちろん!……あんたを負かしてみせるさ」
「いいだろう、LESSON2は『筋肉には悟られるな』………だ!」
唐突に始まるプライヴェート・レッスンに当のジョニィもビックリ!
「いいか…たとえば腕をつかむこんな動作……!」
右腕で自分の左腕を掴むジャイロ。
「腕をこうやって強くつかめばつかむほど『筋肉』はこの力をふりほどこうと理解して反応してくる!」
「肉体が本能的に身を守ろうとするのは筋肉に気づかれるからだ。それが生物の体だ………」
「鉄球の回転はそれを悟らせない!皮膚までだ……」
「皮膚を支配しろ!皮膚までなら筋肉は異常事態が起こっていると気づかれない」
「試してみるか?その気なら…手の中のシャンパン・コルクにすでに回転がかかっている」
回転の秘密の一端がジャイロの口から明らかになる。そしてジョニィは、先ほどのドタバタの合間に手にしていたコルク…回転するコルクを、愛馬スローダンサーの左肩に当ててみる。
ズギュゥゥゥゥン
分厚い鉄の扉に流れ弾が当たったような音が響く、馬上から転がり落ちるジョニィをスロー・ダンサーが脚で受けとめる。
「それが馬の『おり方』だ」「馬の筋肉は気づいていない」
「悟られるな…武器なのは『鉄球』そのものではなく回転の力が武器なんだ」
よく解らないところが多いのだが、まとめてみると『回転』で起きた生物の動作は、生物自身が気づいていない…ということでしょうか?
とにかくまだ謎な所はたくさんあります。後日に期待しましょう。
「ジョニィ・ジョースター、2nd.STAGEは砂漠越えだ。距離も1200q以上…過酷になりそうだ」
「協力関係を結ぼうぜ」
「そしてゴールは1・2フィニッシュだ!………オレが1だけどな」
ジャイロとジョニィが手を組むッ!2部以来…実に15年ぶりにツェペリ家とジョースター家がタッグを達成する!!
ガラガラガラガラガラ………
「なあ〜〜〜保安官…!」
荒野の中を二頭立ての馬車に乗るスティール氏と幼な妻。幼な妻のしいたけみたいな日傘がラヴリィー!!
「保安官いったいさっきから何の話があるんだね…?」
「なぜ我々をこんな馬車でレースのコース上を戻らせるんだ?」
「新聞記者が近くにいるとまずいのではと思いまして……本当はご婦人にもご遠慮願いたかった」
「『死人』が出たという話をしたいのです…スティールさん」
保安官…。
「馬によっては最高時速瞬間90キロに達するモノもいる!」
「その時の騎手の目線は地面から高さ2m50cmあたりを滑走してるんだ!」
「競馬は!史上もっとも過酷なスポーツなんだぞッ!レースに事故がつきものという事は全員が理解してるし契約書にサインももらっているのだ!」
「だからいったい何があるっつーーんだよオッ!!?」
怒鳴るスティール氏、淡々としている周り。この対比が「なにか異常がある」という感覚を沸かせる。こういう所、本当に上手い。
「すでに見えてますよ、スティールさん……目の前に」
蝿がいる。蝿が飛んでいる。幼な妻、スティール氏、居合わせる人の周りで蝿が円を描いている。
ジョジョの世界では蝿は死の象徴である。蝿のそばには死が佇(ただず)んでいる。
「妻を列車へ戻せェ――――――ッ」
「彼女を列車に帰すんだああああ」
内臓を引きずり出され、大腸を長く引っ張り出された死体。
「なんなんだこれは――ッ」「誰なんだこいつらはあー――ッ」
「さ……3人いるのかあー――――」
保安官が答える。
「手前の男の名前はM(マーク)・ベッカー、奥がD(デビッド)・ヘイゲン、向かって右側がP(ポール)・ルカサー」
「3人ともレースの参加選手ですがお互い同士は無関係」
「彼らの馬は3頭とも裸馬で走っているところを雑木林手前で発見されている」
「3人がスタートから7〜8千メートル付近を100から200位くらいで走行しているのは他の選手によって目撃されているが、落馬したところや馬を止めたところを目撃したものはいない」
「いったいなんなんだこれはッ!」
「何でこんな風に死んでいるんだ!?説明しろッ!」
スティール氏の質問に答える保安官。
「動物の仕業?」
「たとえばハゲタカは人間の内臓を9mもひきずり出して3本とも直線に並べたりはしない」
「しかも内臓をロープがわりにして数メートル人間をひきずるクーガーもいない!どうやったのか?まるでわからない」
「だからいったい何なんだァァー――――ァ」
スティール氏の質問に答える保安官。
「これは殺人が起こったんです、スティールさん」
「しかも…走行中に行われたんです…………」
「何者かがレース中の彼らを3人同時に…方法は見当もつきませんが何らかの方法で殺害し!落馬させ!馬で内臓をひきずって走り去った!」
「誰にも目撃されずに!」
「3千数百の参加選手が並走していたというのにです」
「バ…バカな事をいうなッ!何のためにこんな事をッ!」
レースのためにッ!人を殺すッ!!しかも常人では理解できない形式で。百戦錬磨であるはずのスティール氏も油汗を流す。
そんなスティール氏の質問に答える保安官。
「状況だけから判断する意見ですが、犯人は参加選手の中にいる……動機は賞金5000万ドル…レースの順位を上げるため……!!」
「イカレている」
「だとすると犠牲者はまだ出ますよ」
「邪魔者を消し去って犯人が優勝するまでね…」
トラディショナル・タッグを組んだジャイロとジョニィの前に未知の危険が迫る。
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