巻末コメントより
ジョジョの奇妙な冒険パラレルワールドに突入した。
そしてジョジョでなくなったっていう事でSBR。
スティール・ボール・ラン 開幕!!
‘04 08号 #1 サンディエゴ ビーチ
1890年9月23日スタート2日前 |
時代背景を述べると
グラハム・ベルが1876年に完成させた「電話機」は
4年後にはアメリカだけで5万世帯の人々が所有していた。
北米大陸を横断した「蒸気機関の鉄道」は
最高速120qq/h、平均88q/hに達していた。
また人々はスポーツ大会に熱狂し、プロ野球の
ナショナル・リーグが1876年に誕生し、初の優勝チームは
「シカゴ・ホワイトソックス」。
ケンタッキー・ダービーでは1891年競走馬「ドミノ」が優勝し
「黒い旋風」と呼ばれて不敗を誇った。
そして1896年にギリシアのアテネで開かれる
第1回国際オリンピック大会では厳格なアマチュア規定が
あるにもかかわらず各競技には「賞金が」が出されていた。 |
青く広がる空に流れる雲。それをバックに数人のネイティヴアメリカンが馬を駆っている。
「なんの騒ぎじゃ?」
オババ様という言葉がピッタリの老人がテントから顔を覗かせる。
「嫌われ者の『砂男(サンドマン)』のやつだ」「もうあいつをかばい立ては出来ないぞ…長老」(あれっ、男かあの老人は)
「『白人の書物だ』。ヤツのテントに隠してあった」
「我が部族と祖先に対する裏切り行為だ」「『砂男』は罰を受けなくてはならない…」
ドサドサッと落ちた本は「HOLY BYBLE」に「Ameled Sand」(?)、その他イロイロ。
「『頭の皮』をはぐ刑に処す………異存はないな?」
ウオオオオォオオ
無数のネイティヴアメリカンが一人の男を追いかけている。手には斧、槍、鉈、ナイフ、弓矢を持って……
追いかけられている男−砂男の容姿は、無造作に束ねた後ろ髪とは対照的に前髪は右と左に編み込まれている。ほとんど半裸であり、腰には広い幅の皮のベルトが巻かれており、裸足。両肩には円の中に居る蛇のタトゥー、円は太陽を表しているのかもしれない。必死に逃げている。前傾姿勢となり、腕を大きく振る。
『こいつ加速した…。う…馬を引き離していくぞ……』
『こいつ…こいつの『走り方』は…………』
追いかけている男の一人が心の中で呟く。
『見たことがある。どこで覚えたんだ』『あれはインディアンの走り方じゃあない!』
『あれは白人の走り方だ!白人が賞金やトロフィーを賭けて競技をする時の走りの姿だ!』
『短い距離だけ走る時のッ!』
砂男の狙いは馬が入り込めない岩山に逃げ込むことだった。
『『砂男』!てめーはガキの頃からいつも仲間からハズれてすごしていた…。まるでそうやってオレらをバカにしているようだった』
『白人に祖先の土地からどんどん追いやられる自分の部族を……!おまえはそうやって見下しているのか!?』
単に掟破りと言うことだけではなく、そういう切迫した感情も裏にある。
「罰だッ!」
「てめーは許せねえッ!「砂男」ッ!」
斧が砂男めがけて振り下ろされる…瞬間、砂男が消える!なんと馬の腹の下にッ!!
ドガアーーー 馬の後脚に蹴り飛ばされて上空に放り出される砂男!!!
『なんなんだ!?なにを考えているんだ……『砂男』…頭がイカレているぞ……』
『わざと馬の脚につっこんで岩の上へ蹴り上げさせた……さらによじ登ろうと』
「『矢』だッ!『矢』でヤツを射るのだァッ!」
そうかこの『矢』に射られてスタンド使いになるのかぁ……いやいや、イキナリそんなわけないか…と思いきや!!!
ズッギュウウッ 銃弾が発射されるような擬音と共に、砂男の右手から別の右手が飛び出す!!!
一瞬にして砂男の姿が消える。その姿は追手の背後、クルリと振り返った先の岩山に居る…そしてそのまま逃げ仰せる……。
『何者なんだ?『砂男』……』
『おまえは本当にオレと同じ部族に育ったヤツなのか?』
砂男は何とも言えない不可思議な感覚と手形をした砂だけ残した。
「ハア ハア ハア……」
息も絶え絶えに岩山の頂上に辿りつく砂男。
「やはりここか」 バシイ
仰向けの砂男をバシバシ叩く謎の人物。
「許して!ごめんよ!あやまる姉ちゃん!!ゆるして」
ね・ね・ね・姉ちゃん?というかこのシチュエーションはジョセフとエリナ!?
「いっしょに帰るのよ『砂男』」「姉ちゃんがいっしょにあやまってあげる」
「長老にも酋長にもみんなにも白人の本を読んだりはもうしないって誓うのよ!」
「部族の誇りを侮辱したわけじゃあないってあやまるのよ!」
「違う」「それは見解の相違ってやつだ、おねえちゃん」
「白人は『敵』だ」「だが…」
「敵から身を守るには『敵』の文化を良く知らなくちゃあならないって考え方だってあるんだ」
「部族のみんなの考え方はもうこの時代では通用しない」
「みんなは自分たちが祖先の土地から追いつめられているっていうけれど、白人の基本概念は『カネ』だ」
「もう祖先の土地なんてないんだ。この場所はカネを持ってるヤツの土地なんだ」
「あんたは子供の時からそうだった」
「思い込んだら他人と協調しない。だから誰もあんたの考えてることを理解しない」
斬新なアイディアや高次の思想というものはほとんどの場合は理解されない。例え身内であってもそれは変わらない。
「お姉ちゃん、いいもん見せてやるよ」「向こうにあるんだ」
円いくぼみ……岩壁いっぱいにそれは並んでいた。地球上の眺めではないようだ……。
「なによこれ?あんた何が言いたいの?」
訊ねるお姉ちゃん。
「偶然2週間前に見つけた。えぐり取った後なのか?あるいは削り取ったのか?」
「完全な球形なんだ………」「どうやったのか?ゆがんだ部分が全然ない…」
「どれも『完璧な球』の跡、しかもすごいスピードで削らなきゃあこんな数の跡つけられないはずだ」
「白人の本もここで見つけた」
「これは白人のやった事なの?」
「あんた白人がここまで来ていたのにみんなに報告しなかったの!!」
愕然とするお姉ちゃん。
「落ちつけよ……こいつはたったひとりだし『敵』じゃあない………」
「鉱脈探しだとか何かを奪いに来たヤツじゃあない」
「こいつはトレーニングするためにこの荒野へ来た」
「すごいヤツだ」「一蹴りで8メートルは飛んでる…馬3頭分だぜ!」
「今きづいたが、こいつ手に何か持って走っているぞ。石か鉄か……なにか重いものだ」
「これか?球形に岩をえぐったものの正体は…?」
ここでトレーニングした者の分析を続ける砂男。常人以上の身体能力を持っていることは間違いないだろう。
「あんた、あたしに何が言いたいの?」
まだ少女の面影が残る顔を弟に向け、訊ねるお姉ちゃん。
「お姉ちゃん……さよならを言いたいんだ……」
「オレはもう村には戻らない…………旅へ出る」
「これは新聞だ」「読めるかい?」
「『スティール・ボール・ラン』レース開催って書いてある…………勝者には賞金が出る…」
「『5千万ドル(60億円)』だッ!」
「この荒野が全部買えるほどの白人のカネだ!オレたちの祖先からの土地だッ!」
「苦情が出ています。MR.スティール」
とある豪華な部屋、少女とソファに深々と座る老人の元に秘書と思われる男が訪れる。
「海岸に作った特設トイレからウンコがあふれ返って…ものすごい悪臭とウジ虫がわいてると……」
「そのウンコの中で子供がころびました」
「宿泊のテントの数も足りません」
「しかもそのテントから火事が出て檻の中にいたライオンとコモド大トカゲが逃げました」
「飲料水も足りません」
「それと東洋人が犬を殺してナベで煮て食っています」
「フランス人の男女がオッパイとかチンとか丸出しでビーチにねそべっているしケンカになりそうです」
問題は山積み!って感じ…。
「おまえな〜〜」
カリメロみたいな髪型の老人が声を発する。
「なんでこのビーチにコモド大トカゲがいるんだ?」
「いいか…トラブルはおまえが解決しろ…それがおまえの仕事だ!そのために給料を払っている」
「解決するのはおまえだ!わしの頭をわずらわせるな!」
「……ですがMR.スティール、予想外の出来事が起こりすぎています」
困り顔の男。
「わたしたちはこの大会の参加者が500人くらいだろうと予想しましたが、レースのスタートまでまだ2日もあるというのに、全米中から早くも2000人近くがこのビーチに集まって来ています」
「……もっと増えます。馬の数はその3倍、関係者や観客はもっとです」
馬?このご時世に……って19世紀末か。部屋の大きな地球儀を目の前に、何てこったという感じで右手で顔を覆うMR.スティール。
「喜んでいいのでしょうけど……その前にレースのスタート自体がぶっつぶれかねません」
「わかったよ!!」
「あと!100万ドル追加していい!なんとかしろ!全ての予算を見なおして4倍まで出していい!」
だんだんとアップになるMR.スティール。
「それとその外国人どもに、どーしても犬を食うとか下半身出すとかそーゆー事をしなきゃあならないのか尋ねるんだ」
「そしてやめなかったら即刻追い出せ!その国のの習慣や宗教に関わる事なのかもしれんが知ったことかッ」
「このビーチにいる限りは『ルール』はこのわたしだ!」
「それとそろそろ別室にて…MR.スティール……『スティール・ボール・ラン』レースの記者会見が始まるお時間です」
そう…スティール・ボール・ランのスティールとは人名だったのだ。
「ああ」
と答えるスティール氏の目線は、窓の外の人と馬の群を見つめていた。腰のピストルも勇ましく、テンガロンハットも誇らしげ、拍車を掛けて馬を疾駆させる者もいる。中には蒸気(?)自動車のような物も見受けられる。
バタム
苦情処理の男が出て行く。
「うわあああ〜〜〜〜ん」
「どおおおおしよおおお」「不安だよォォオオ〜ねえええ〜〜〜ッ」
「失敗したらどおおしよお〜〜。このレースがぶっつれたらどおしよおお〜〜〜」
少女に泣きつくスティール氏。
「大丈夫よスティーブン」「あなたは40年間プロモートをしてきた男でしょう」
「自身を持ちなさい……ガンバルのよ」
「あたしのカワイイ人」
「うん、ボクがんばる」
「よちよち」
…………何なんだ(笑)。
記者会見会場。中央にスティール氏、向かって右に苦情の報告をした男が立っており司会を兼ねる、左には先ほどの少女。バックドロップ(舞台後ろに掛けられている布)は北米大陸の地図。記者Aが口を開く。
「MR.スティーブン・スティール」
「2日後にスタートする『スティール・ボール・ラン』レースについての概要を、何度も説明しておられるでしょうがもう一度全世界の新聞読者のためにお願いします」「そのあと各質問にうつらせていただきます」
カメラのフラッシュが一斉に閃く。
「この『スティール・ボール・ラン』レース1890年9月25日午前10時この太平洋『サンディエゴ』のビーチをスタートし、ゴールを『ニューヨーク』とする人類史上初の乗馬による北米大陸横断レースである」
「総距離約6000q」「このルートを通り」
「優勝者には賞金5千万ドル(60億円)がイーストアンドウェスト銀行の個人口座に支払われる!」
「2位100万ドル、3位50万ドル、4位25万ドル、5位12万ドル以下10位までやチェックポイント賞など細かい各賞決められている」
「詳しくはあとでルールブックを参照してくれ」
「参加者は16歳以上なら国籍・人種・性別・プロ・アマチュアは問わない。参加料が必要でひとり1200ドルである」
「質問にうつってくれ」
記者Bの質問。
「この大会への出資者の名前を聞かせてください」
これに答えるのは苦情処理兼司会の男。
「まずあなたたちの新聞社、イーストアンドウェスト・トリビューン紙の独占取材です」
「他に各出版社、このサンディエゴ・ビーチホテルを初めとするルート沿いの各ホテル群、B&C精肉会社、ウィンチェスター連発銃製造会社、ホリゾンタル大陸鉄道会社、スピードワゴン石油会社」
「他にも全米中の企業が注目しています」
記者Cの質問。
「ドイツの貴族ロッカチュゴ男爵が『自動車』と呼ばれる機械での参加を表明しましたが」
これにはスティール氏が答える。
「ああ…参加を認めたよ」
「このレースはアイデンティティーに開拓の精神がある」
「北米大陸に鉄道が開通したとき人々はこう言った、『馬の時代は終わった』………と……」
「このレースはその挑戦を受ける…どんな機械だろうとかかって来いとね!」
「このレースは歴史上初だ!何が起こるか誰も予測できない」
「たった1台の機械で……あるいはたった1頭の馬で」
「毎日休まず1日70qから100qの道を他人と競い合ってこれまで6000qもの距離を横断した人間はないからだ」
記者Aが続けて質問。
「馬の走行距離は1日70から100qが限界ですか?するとゴールまでの日数は約60日から80日となりますが」
スティール氏。
「今も言ったようにデータは何もない」
「ミズーリ州からカリフォルニアまでの3164qをクオーターホースで12日で走破した記録があるが馬を400頭使う駅伝でありたった1頭の馬ではない」
「また1851年のクリミア戦争でアラブの馬が1日150qをかけぬけたという記録もあるが乗り手は極度の疲労で死んでしまったという」
「このレースでは馬の交換はルール違反で失格となる!」
「しかも未だ開拓されていない場所も通過する…つまり道のない荒野のことだ」
「とはいえゴールまでの予測日数が60〜80日というのは妥当だろう」
記者Dの質問。
「参加料を1200ドル(15万円)もとるのは金もうけ主義との批判がありますが、1200ドルは平均的労働者の月給と同額!」
スティール氏。
「そうは思わない」「もし参加者が途中でリタイヤした場合、家までどうやって帰るんだ?」
「その交通費または医療費とホテルの宿泊代と食事代、それを我々が負担する」
記者Eの質問。
「このレースはスポーツです。銃器類の携帯は許可するんですか?」
スティール氏。
「うむ……」
「憲法第2条で認められた『武装して身を守る権利』を我々のルールで奪う事はできない」
「未開の荒野で夜を明かすこともあるだろう。毒ヘビもいるし猛獣だって潜んでいるのだ」
「『犯罪に関わる』行為以外は我々はその事に関わらない」
「答えはYES!レース中の自分の身の安全は自分で確保していただく」
しかし我々は知っている、真に恐ろしいのは毒ヘビでも猛獣でも銃器でもないことを!
再び記者Aの質問。
「参加を表明した優勝候補者の名前を何名かきかせて下さい」
「ワイオミングのカウボーイ、マウンテン・ティム」
「彼は毎年3千頭の牛を連れて牧草地4000qの旅をする」
「アラブ諸国のエジプトからウルムド・アブドゥルはラクダでの参加!」
「サハラ砂漠を年に3回も横断する!」
「東洋から来た馬術の名人はドット・ハーン!」
「彼はユーラシアを征服したモンゴルの馬賊チンギス・ハンの子孫だ!」
「そしてイギリス下層階級のの出身だが名門貴族に育てられ競馬会で認められた天才ジョッキー、ディエゴ・ブランドー」
「通称ディオ!」
「トラックでの天才がこの長距離で通用するのか……」
「距離がすごすぎます……もしゴールまで…ニューヨークまで誰ひとり到達できない事態が起こったとしたならレースは大失敗!」
「出資者たちは怒るだろうしスポーツ大会自体の信用の失墜になる!その時あなたはどう責任をとられるつもりですか?」
辛辣(しんらつ)な質問をする記者A。
「消されるかも………」
スティール氏の言葉に「エッ…」という顔をする少女。
「なんちゃって」
「失敗というのは……いいかよく聞けッ!」
「真の『失敗』とはッ!」
「開拓の心を忘れ!困難に挑戦する事に無縁のところにいる者たちのことをいうのだッ!」
「このレースに失敗なんか存在しないッ!」
「存在するのは冒険者だけだッ!」
「この「スティール・ボール・ラン」レースは世界中の誰もが体験したことのない競技大会となるだろうッ!!」
会場を覆う拍手、一斉に押されるカメラのシャッター!
「もうひとつ…」
記者A。
「うしろにいる方は奥様ですか?14歳とききましたが」
「関係ねーだろ、レースとは」
「記者会見はおわりだ」
ドシャア
カウンターに投げ出される皮袋、コインが袋の中からこぼれる。
「参加料ひとり1200ドル(15万円)は一度支払ったら個人的理由による返金はいっさいできません」
「2日後のレーススタートは天候や災害に関係なく開催されます」
「承諾なさるのならここにサインしてください」
金網によって遮られているカウンターの向こうから説明する係員。
「スタート当日に乗り手の指紋と出場する馬の鼻紋を採取します」
「一度記録されたら乗り手と馬の交換はルールによって認められないので気をつけてください」
「これが選手証とゼッケンB−636!レース出場記念メダルとバッヂです」
説明を受けた男が書いたサインは……
ジャイロ・ツェペリ
変なゴーグル、変な帽子、変なヒゲ、変な服装。そして一番変わっているのは歯に「GO!GO!ZEPPELI」と刻まれていること!これは着け歯(つまり本来の歯の表面に被せる歯)なのかな?キラキラしているから金色なのかも。左右のガンホルダーには何やら丸い物を詰め込んでいる。
「ニョホホ」
と笑って見せた歯には「GO!GO!ZEPPELI」と刻まれている。キラキラ光っているから金歯なのかも。
しかし「ニョホホ」と笑う人を見たのは岩田鉄五郎(東京メッツ所属野球選手)以来ですけど。
「あんた変わったもん腰につけてんなああ」「これ何に使うんだあ〜〜〜〜」
飴に惹かれる蟻のように、変わった人には変わった人が近づく。
丸い物に触ろうとした「NYと書かれた帽子」を被った男だが、その丸物を男の手と自分の手で挟むかのように手をかざすジャイロ。
ズキュウウーーーーッ
「おっ」「お」「おおお」『なんだ…あ…足が…おれの足が……』
『なんで…オ…オレの足が……立てねえんだ……!?』
何故か膝まづいて立てないNY帽子の男。
「カウンター上の…オレの参加料になんの問題もなければオタクの言う事を信じよう」
「数えろよ……係員」
「あっ…1180ドルしかありません。20ドル足りない……」
「それってマカるのか?」
「まさか!」「雑貨屋じゃあないんですよ」
「でもオレは確かに支払ったよな?カウンターにおいたぜ…オレは確かにおいた」
「しつこいけど本当にマケてくんないの?」
「じゃあ、やっぱりオタクさんだぜ〜〜〜〜」
のしかかるようにNY帽の男を見下ろすジャイロ。
「抜き取ったコイン出すんだ。20ドルたりなきゃこのオレが……」
「レースに出場不可能な状況になってんじゃあねーか」「ニョホ」
「レースに出て……優勝とか出来なくなる状況になっちまうんじゃあね――か」
そしてNY帽の男の右手からチャリイインと2枚のコインがこぼれ落ちる。
「ホ」
キンと歯が光って次週へ……。
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