「空条徐倫を追って……まもなく空条承太郎がここにやってくるだろう!」
「アナスイも態勢を立て直してやって来たら今度はやっかいだ…」
 あれほど卑下しておきながら、意外にもアナスイを警戒している神父。慎重である。
「今、全員が空条徐倫を守ろうとここに集まって来ている」
「重要なのは今ここでのおまえの『死』だ」「おまえの『死』は集まってくる全員の希望の心をバラバラにするだろう」
 おそらくエルメェス姐さんも向かっているはず。
「特に娘を失う承太郎は生きる目的と共に心の力を弱める!」
「DIOとわたしの敵ではなくなるのだ!!」

「殺るのは今!ここでしかないッ!」
「全力で見極めてやる………!!」


‘03 06+7号  Act.146 胸の形

 徐倫の血を追い、建物内に入るプッチ神父。徐倫のいる場所が机や冷蔵庫がかたまっている物陰だと見当をつけた神父は、可燃性の液体を落下させて火をつける。

グオオオオ

「出て来い!空条徐倫!!」「姿を見せろー――ッ!」

 と……排気口から右脚を掴まれる神父。ものスゴ〜〜ク焦る神父。
慌ててC−MOONで攻撃!すると糸だけがスルスル〜〜と逃げていく。
左手だけを糸化してリモート……ではないか、有線攻撃をしかけた。その目的は神父の注意を逸らす事。

「くそっ!(背後だッ!)」
 再び背後をとられる神父。

ガシィイイ

 背後から両腕で神父の首を締める徐倫。偉くワイルド!もはや婦女子の攻撃方法ではないっスね。
ストーン・フリーのパワーで締め上げられたら、いくらC−MOON越しとはいえ落とされるまでには時間がかからない。

 首から漏れる軋み音を聞きながらも神父は反撃を試みる。
「おまえはここで全身全霊をこめて倒すッ!負傷している事はわかっているのだ!!」
 両脚を90°曲げる。
「重力はわたしの肉体に対し逆転して落ちるッ!足の逆へだッ!」

 燃やした家具がガラガラと徐倫の方に落ちてくる。
家具が命中して締めていた手を離してしまい、そこにC−MOONの拳が直撃する!
「一発ずつ命中――――ッ」「これでおまえは『両腕』を失ったァアアー――ッ」

 両腕が変形を開始する……が、腕を糸化して翻す。そして再び元の腕に戻る。

「なんだ今の手は!?両腕は裏返る…はずだ」
 信じられないという思いを身体いっぱいで表現する神父、徐倫が潜むカウンターの横に駆け回りこむ。
「出て来いッ!空条徐倫。おまえが逃れられない事は変わりないのだッ!」

 陰から姿を現す徐倫……胸から胴にかけて奇怪な穴が開いている。
キング・クリムゾンに2発ドテッパラをぶち抜かれたアバッキオもビックリの姿。
「なんだそれは……」『なんだ』
『その心臓のあるべき胸の形は!?』

 アバッキオよりもビックリの神父。

「ストーン・フリィーー」
 果敢に殴りかかる…が、荒い息から推察されるようにかなり弱っている徐倫。当然、戦闘力も低下している。
格闘力が劣るはずのC−MOONに易々と迎撃され、首筋に拳を当てられる。

 しかし、再び首筋を奇怪な輪に変化させる徐倫。
「『メビウスの輪』……か…」

『おまえの作っているものは……!!』
『「表」があるから「裏」返る……裏も表もなければ裏返りはしない…』
『裏も表もない『無限の輪』!『糸』でなら作れる……』


今週のめい言

「今 全員が空条徐倫を
 守ろうと集まって来ている」


○徐倫を助けようと皆が集まってくる。意外とジョジョでこういう場面は珍しいのでは?ジョルノ、仗助、承太郎、ジョセフと記憶をたどってジョナサンがツェペリさんから波紋を受け継ぐ位しか思い出せないのですが。各主人公は自力で何とかするか、または助ける側ですから。仗助もラット戦で承太郎に助けられている気もしますが、あの戦闘はユーモアが前面に出ていたせいか切迫感が有りませんでした。徐倫は「強さ」と「弱さ」を兼ねた(精神的という点からでも時々「弱さ」が見られる)珍しい…というか人間っぽい主人公かも。

○でも来週、自力で何とかしていたりして(充分アリウル)。

○徐倫が持っているカードは「アナスイ」「承太郎」「エルメェス」「ウェザーのスタンドDISC」。さて、このピンチに切られるカードは何でしょうか?

☆さて…ついに明らかになった徐倫の「重力を封じる方法」。正解は「心臓のある胸部をメビウスの輪状にする」でした。どうやら70%近くまで糸化していないのであれば…つまり身体をまだ糸にする余裕があるならば胸部を糸にしてもかまわないと言う事なのでしょう。しかし、糸化した心臓を傷つけられれば即死する可能性があるのですから危険な事には変わりがないですね。

☆問題は、腕の裏返りを封じた時とは異なり胸部の糸化を持続させていることである。もしかしたら、心臓の裏返り効果が未だに徐倫を蝕んでいるのかも。

☆「裏も表もなければ裏返りはしない」のならばガンモドキも大丈夫(違う!)

☆裏返りを封じたプロセスを追ってみると(1)裏返りを始める(2)裏返る部位を糸化してメビウスの輪に(3)ひっくり返す(4)身体に戻す。よく考えると裏返り始めた身体を糸にしてほぐすだけで裏返りは無効になるような…メビウスの輪」する必要は無いような気もしますが……

☆いやいや、実はそうではなかったりします。徐倫が心臓に一撃を受けた時に、その攻撃法の攻略を直観した象徴が「メビウスの輪」なのですから、この形で発動させないとうまく裏返りを封じられないのでしょう。素直な性格の、裏表の無い徐倫を表した攻略法ですね(書いている内容が変!)

◎最近、笠井潔の矢吹駆シリーズを読んで考えた事。

◎「吸血鬼」って何なんでしょうね?例えば、カーズ達「柱の一族」は地球が生み出したものですかられっきとした食物連鎖に組み込まれている存在だと思えます。しかし吸血鬼は「石仮面」によって生み出された本当は存在しない生物(もちろんゾンビも)。彼らは「人」を殺しますが、これは一概に「悪」とは言えない。何故なら、増えすぎた人間に対して「自然界のバランスを取るための行為」と見るとある意味「善」または「聖」なる行為です。人にとっては「悪」、(自然という意味の)神にとっては「聖」

◎DIOはどうなのでしょうか?DIOは容易に命を奪い人にとって「悪」。だからと言って、吸血鬼やゾンビを増やすことなく(3部)、それどころか人の頂点に立つために人類を攻撃するわけではない。「悪」としての「悪」。

◎そういう思考で考えるとディアヴォロもそうなのですが、目の前の有利さに誘われて自分を窮地に追い込むところなど小物感が漂って…。人と神を敵に回す「悪としての悪」には少し物足りないかな。

 正月気分はここまで。ではでは。