‘02 47号  Act.137 やんだ


「ウェザーーーッ!?」
「なぜ返事しないんだ!?」
『神父が……近くを移動している……ものすごい近くだ…』
「わからないッ!「いる」という事しかわからないッ!!」
「探すんだ!」
 風が吹き、埃が舞い、血の槍が生えているこの世とは思えない風景の中でウェザーを探す徐倫たち。

 埃の中で人影を目ざとく見つけるエルメェス。
「じょ…徐倫ッ!」「い…今!見えたッ!この方向だッ!」
「それに徐倫ッ!……風が弱まっているッ!……」
「…つまりこれってどういう事なんだ!?」
「何かほんのちょっとあたしの「手」も治って来ているような…」「さっきより少しだけカタツムリの体が…」
「これってまさか…」

 これってまさか…?そうなのか?手遅れなのか?
巻き上がる埃の向こうに神父の姿を発見する徐倫!

「プウ〜〜〜〜〜ッチッ!」

 激昂する徐倫を冷静に諌めるエルメェス姐御。しかし徐倫は却下!
「神父を倒せばウェザーも見つかる!」
『ストーン・フリー−ッ』

 身体を糸化してタイアにからませ、アクセルを右手でふかす……。
どうも解かりにくいのですが、タイアに巻き込ませてスポーン!と飛び出した…と思うのですが、どうでしょうか?

 神父に攻撃しようとする徐倫、その美しい瞳に飛び込んできたのはホワイトスネイクに胸を貫かれたウェザーであった。
ウェザーに目を奪われ、隙が生じた徐倫に神父の攻撃が飛ぶ!
しかしその神父に何者かの手刀がめりこむ!!

「やめろ徐倫…」「こいつは「神父」じゃあない」
「神父はもうすでにここにはいない」
 アナスイ。久しぶりにクールに登場!よく見ると、後方に神父とウェザーがイッパイ。

「神父のヤツは風の中でこいつの頭に細工をしていったんだ」
「『過去の残像』なのか……こいつの能力のようだ」
「こいつ自身に『像』がかぶさっていた……君が『位置』を感じていたのはこいつなのだ」
 頭からアンダーワールドのスタンドDISCを排出させている。すでに生気はない。
「こいつの処刑ついでにな」

「またもやだ……神父は逃げ切った………」
 カタツムリ化が解除されたが、悔しそうに呟くエルメェス。


「ウェザーは!?」「ウェザーはどこ!?」

「位置を感じていないのか?」「どこにいるのか?」
「わからないのか?」

 街角で血を流し尽くし、横たわるウェザー。

「エルメェス!知ってんなら何やってんだ!?医者がいるはずッ!病院の医者もカタツムリから治っているはずッ!」

「徐倫………風はやんだんだ


「いいか徐倫」
 アナスイが口を開く。
「オレは『殺人鬼』と呼ばれている」
  「少なくとも新聞はそういっていたしオレ自身もかなりそう思う」
「両親が困った時、命を懸けられるか?と聞かれた時」   「『いいや』と答えた」
  「今でもそう答えるかもしれない」       「彼らのためにはオレの心は動かなかった」

「だが死んでいたオレを生き返らせてくれたもののためには命を懸けれる」

  「ウェザーもそうだったんだ」  「ウェザーは刑務所を脱獄して生き返ったんだ」  「オレにはわかる」
「だから彼に対してあれこれ考えるな」            「彼はこの数日、幸福だった」

「ウェザーはすでに救われていたんだ」

 淡々と語るアナスイ。徐倫の前では自らを飾り、格好をつけるアナスイが感情を殺して徐倫に話しかけているところにアナスイの哀しみが見える。

「その証拠を君のために残したのさ…」「オレは見た」
「ウェザーは『ホワイトスネイク』に体を貫かれた時……」
 ウェザーの右手に1枚のDISCが握られている。
「ヤツの能力を利用したようだ」「自分の能力をDISCで封じ込めさせた……」
「能力は一部かもしれないが君に使えるかもしれない」
「そう思ったんだと思う」

 アナスイから手渡された『ウェザー・リポート』のDISCをかき抱く徐倫。
「ウェザー…もう一度……」
「もう一度話がしたい」
「あなたとそよ風の中で話がしたい」

 2人に背を向け、車の陰で隠れるように涙を流すエルメェス。

ウェザー・リポート
スタンド名−ウェザー・リポート 
死亡  カタツムリ消滅
ヴェルサス
スタンド名−アンダーワールド
死亡
  

 悲劇の人生を歩んだウェザー・リポート。彼が押し上げたのは決して神父ではない。

To Be Countinued



今週のめい言

「生き返らせてくれた」

○ブチャラティの死に際を彷彿させるセリフ。さて、どうなのでしょうか?

○結局、カタツムリ現象が起きたという事はウェザーの心の怒りは溶けていなかったのだし、ウェザーが真に救われたかという事に関しては正直「?」という感想を持ちます。ウェザーの怒りが溶けなかったのはペルラを忘れる事が出来なかったからだと思います。それはウェザーの「優しさ」故でしょう。「優しさ」が悪い方向に作用してしまった。

○ただ…救われなかったのかというと、やはり「救われていた」としか答えられません。ただ死ぬのを待つだけだったウェザーが徐倫がキッカケで…ピッタリな表現かどうかわからないのですが…生き甲斐を見つけたのですから。その生き甲斐も「記憶を取り戻す」から「徐倫を助ける」に変わっていた。役に立つかどうかも解からない、しかしホワイトスネイクを利用して「能力」を残さずにはいられなかった。

○そうそう、DISCの『ウェザー・リポート』の絵なんですけどどこかで見たことがあると思ったら5巻のスタンド紹介の絵でしたね。

☆さて…「ヘヴィ・ウェザー」は本当にサブリミナル(潜在意識)効果だったのでしょうか?心に強烈に刷り込まれたのだとしたら、ウェザーが死んでもカタツムリ現象は残るのではないでしょうか。父親に虐待された子どもは父親が死んだ後でもその影に怯えるように…一度縛られた心は易く解放されない。

☆ヘヴィ・ウェザーが「サブリミナル効果」では無いとしてでは何なのでしょうか?データとしては(1)スタンドが倒されれば解除される。つまり能力は恒久的ではなく、スタンドが能力効果を維持させるタイプ(2)視覚を遮ることでカタツムリ化は防げる。これは神父が実行した事実(3)スタンド能力は1人一能力。そして『ウェザー・リポート』の能力は『天候を操る』事。

☆視覚を自ら奪った神父がカタツムリ化しなかった事から、目から何かが侵入していると考える事ができます。そして目から侵入している何かは『ウェザー・リポート』が創りだし、カタツムリ現象を維持している。そして、その何かは(強引だとしても)「気象/天候」に起因していなければならない。

☆ところで1つ指摘し忘れていたのですが、普通の「虹」は触れません。虹は光だけの存在で実体が無いからです。つまりどこかのアホ(5歳児の私)みたいにどんなに虹を追ってもその根元にたどり着く事はできません。しかしウェザーの創りだした虹は触れることができます。

☆カタツムリ現象はこの「悪魔の虹」と関係あるのでは。普通の虹は空気中に漂う水滴を光が通過する事で出来ます。「悪魔の虹」にもこの「水滴」にあたる「スタンド水滴」みたいな物があり、それが生物の視覚から脳を操り、身体のカタツムリ化を促す。カタツムリや虹に触れるとカタツムリになるという強力な命令を脳に直接打ち込んでいる。

☆一方、「スタンド水滴」によって創造された「悪魔の虹」は普通のカタツムリを特殊なカタツムリに変化させる。接触する事で生物のカタツムリ化を促し、また爆発的に増殖する「能力効果を与えられたカタツムリ」である。

☆とまぁ、ここまで私的なヘヴィ・ウェザー解釈をしてきましたが、「サブリミナル効果」で心に刷り込まれた命令の中に「虹が消えたら(=ウェザーが死んだら)カタツムリ化が戻る」という情報があってもおかしくはないですけど。やはり本質的なウェザーは「優しい」と思うので、安全装置が有ったという事も考えられます。

☆さて最後にヴェルサス。もちろんウェザーの死にも涙はでましたが、ヴェルサスの死にも涙がでますね。あまりにもあっけない…何か寂しすぎる最後です。幸福を求めながら結局は何も得られなかったヴェルサス。

☆神父と身体情報が同じということから、当初から神父の身代わりになるのではと言われてきましたが、殺される必要性も身代わりになる必然性も無い感じで死ぬのは……(哀)。世間に怒りを持っているという点では神父よりも、むしろウェザーに似ていたと感じていましたが。

☆『アンダーワールド』も良いスタンドでした。まず万能性がある。地面から様々な物を取り出せる事から回復系としても活躍できそうでした。ある程度の制約もつけられます、「地面が剥き出しでは無い所では能力を使えない」というハンディを付ければ面白い対戦ができるような気がします。後は遠隔操作という所が近距離パワー型の多いジョジョ・チームでは珍重するでしょうし。

 今週はここまで。ではでは!