心と精神がまだぶつかりあっている中、君は未だに責め苦を負っている
すると声が目を醒まし
君はオーヴァーロードする宿命にある
 HAREM SCAREM “Voice Inside”より抜粋

‘02 40号  Act.129 声


山々の彼方から「声」がした……風の乗って来たのだろうか?

それともただの気のせいか…?

だが彼の望んだ「声」だった…
彼が聞こえたいと願った「声」だった

 崖の上で瀕死で横たわるウェザー。
 その下の湖でペルラの捜索が行われている…。

「なぜだ……」
「どうしてんだ……?」「なんでこんな事になってしまうんだ?」
「なぜ赤んぼうの時、あの婦人はわたしじゃなく弟の方を連れていったのだ?」
「なぜわたしは教会で婦人の告白なんか聞いてしまったんだ?」
「なんでわたしは神父になんかなろうとしたのだッ!?」
「なぜ人と人は出会うのだ!?」

「出会わなければこんな事にならなかったのに……」
「やめろ………」

 湖から引き上げられるペルラ。気の毒そうに十字を切る老警官。

「やめろと言っているんだッ!」
「妹に向かって十字を切る事なんかやめろッ!」
 警官からペルラを奪い抱きかかえるプッチ。
「くそっ!ペルラの命だけは奪わないでくれッ!」
「ペルラに罪はない……ペルラは恋をしただけなんだ」「命を返してくれるならなんでもするぞ」
「呪われるべきはこのわたしだッ!」

 心の真実から搾り出される悲痛な叫び。絶望のプッチにあの男の声が響く。
『君は「引力」を信じるか?』『この出会いに意味があるという事を!』
 だが周囲には何もない、誰もいない。しかし声は続く。
『君が望むなら……わたしに会いに来い』

「『彼』だ……」
「『彼』の声だ……」
「『彼』に会いたい……」「いつだったか…」
「『彼』は地下納骨堂でわたしの足を治してくれた」
「なんで今まで忘れていたのだろう?そしてくれたんだ…………『矢』の先のようなものを」
 その時、ペルラの頭部が割れてDISCが顔をのぞく。プッチがその光景を確認した瞬間…

ドボアアァアァッ

 『矢』がプッチの首から飛び出す!!流れ出る大量の血!
「これは!!?」
「ポケットに入れていた………『矢』が…」
 ポケットから胸に侵入し首筋へと貫通した『矢』。通常なら即死コース…。

 再びDIOの声が響く……。
『失われた生命は決して元には戻らないだろう……』
『だが君が望むなら………』『深く願うなら………』
『彼女の『記憶』は手にする事はできるだろう』
『『心の記憶』を……それが君の目醒め』

 倒れ込むプッチ!同時に、ウェザーの後ろの首筋からも突然出血する。その傷口は『矢』の形そのもの。
そして幾らかの時が経つ…。


「おい何者だあぁ〜〜〜ッ!浮気調査してやったマヌケ男かァ!?」
 ウェザーを私刑にかけた何でも屋。
「オレを尾けているつもりかあッ!そこのドアの陰にいるのはわかってんだぞッ!」
「撃たれたくなかったらそのきたねえ面みせやが…」

 銃をとりだし構えた右腕からカタツムリが無数に生まれだし這っている。

「なあ…」
「知ってるなら教えてくれ」「あんた地獄耳なんだろ?」
「なぜカタツムリが急に降るようになったんだ……どこからカタツムリはやって来るんだ?」
「……オレの周りにだけなんだ」
 虹を従えてあの男が何でも屋の背後に立つ。
「ペルラの兄がおまえに「依頼」したってのは本当なのか?」

「ま…まさか!おまえは!!」
  殺したはずの人間が目の前に立っている、恐れおののく何でも屋が反射的に発砲しようとするが……
カタツムリに操られたかのように腕が自分の方を向く。

ガアアーーーン

 自らの銃で脳しょうをぶちまけてしまった何でも屋。
「いったいなんなんだ……?このカタツムリは……」
 何でも屋の銃を拾い上げ、自らのコメカミに向け……引き金をひく。

カシィィン  バシン  バシン  バシン
 リヴォルバー内の弾丸全てから水があふれている。これでは火薬がしけて点火できない。
死ねないことに失望するウェザー。
「なぜオレは生きているんだ」

ウェザーは怒りで満ちていた
自分をこんな目に会わせた世の中のヤツらに…
自分が生きている事に……
そしてペルラを死なせてしまった自分自身に………

 絶望の中で何回も自殺を図るウェザー。しかし、ことごとく失敗。
もちろん『ウェザー・リポート』がウェザーの死を阻んでいる。初期のスタープラチナを彷彿とさせます。
自分のコメカミに銃を発射した時にそれぞれのスタンドがどういう風に助けてくれるのか考えてみるのも楽しいですね。
ストーン・フリーなら糸をネットにして防御。キッスなら頭部が2つになっている(元に戻る時に追加ダメージを受けますが)。リンプ・ビズキットなら死んでもゾンビになれるからOK。ハイウェイ・トゥ・ヘルは…助ける素振りなし。

4日目の夜
大量のカタツムリが町を襲った

この現象を理解できたのは病院で目覚めたロベルト・プッチだけだった

「『ウェザー』だ」「弟は死んでない」
「わたしたちは双子だから自分の影響が彼を目醒めさせたのだ」
『どうやって増えてくるかはわからないが』
『このカタツムリは無意識の才能だ……』
「自分が『記憶』を望んだようにウェザーは無意識にこれを望んだのだ……」

 え〜と…ウェザーが何を望んだかは未だにわからないのですが……とにかくその望みがウェザーの「怒り」から来ているのは間違いない。

「このカタツムリがわたしの手を這い登って来るようなら………」
「『弟』を始末しに行かなくては……」
「これからはなんでもするぞ…」「たとえ殺人だろうと…」

「ウェザーのことが片がついたら……「彼」に会いに行こう」
「彼の名前は『DIO』」
『人はなぜ出会うのか?』きっと「彼」なら『答え』を知っている」

『それを知りたいッ!その「答え」こそが…………』
『この世の最強の力(パワー)であるし真理にちがいないッ!』


 そして出会う2人。
「満足か?」
「あんたの妹ペルラはあんたの依頼でこうなったんだ。そして…怒りはおさまらない……」
「このケリはつけさせてもらう」

「違う」
「わたしはおまえの「兄」だからだ」

ショアア

 激突するホワイトスネイクとウェザー・リポート。
 軍配は…掌底を繰り出すウェザー・リポートをかわし、その頭部から記憶DISCをエジェクトさせたホワイトスネイクに上がる。

『ウェザー』
『おまえには消えてもらう』
『全ての記憶とともに』『おまえは邪魔な人間だ…』
『思い出のない人間は死人と同じだ』


今週のめい言

「そして…怒りはおさまらない」

○今週の見所は「ペルラの悲劇」からのプッチ、ウェザーそれぞれの変化、そして最後に絡み合う「感情」。ウェザーのそれは「怒り」、この世のあらゆるものに怒りを向けている状態は連続殺人犯や多量殺人犯に通じるものがある。ウェザーの望みが「この世への復讐」だとしたらカタツムリが襲ってくる程度で済んでいるのはラッキーなのかも?

「これからはなんでもするぞ」。「妹を傷つけることだけは絶対さけなくてはならない」その妹を失ってしまったプッチ。取り替えられた弟、弟に出会った妹、妹を襲った運命…。『人はなぜ出会うのか?』、「この出会いには意味があるのか?」、「意味があるから出会うのか?」その答えを求めるためには「何でもする」ということなのだろう…そう、神の教えにも背くことになっても…。

 さて、スタンド研究の視点からも今週はおもしろい週でした。でも今日はここまで…ではでは。

☆さりげなく「ペルラのDISC」は重要アイテムな気がします。ウェザーの暴走を止めるのに一役かいそうですが…。ヴェルサスが「ウェザーのDISC」と「ペルラのDISC」を同時にすりとっており、徐倫がヴェルサスを捕まえて「ペルラのDISC]を取り返しウェザーに渡す…。2枚同時にすりとるのは無理があるかな。

☆無意識操作のスタンド。スタンドが本体の「望み」から顕れるものならば、その「望み」を邪魔する行為は例え本体の自殺であろうと許さない。これは無意識というより何かスタンドの方に本体が支配されている感じがしますね。スタンドに支配されている状態では自殺することさえままならない。(厳密な意味で)死ねなくなったディアヴォロや、バイツァ・ダストに自殺を阻まれた早人…ある意味「自殺」は人間の最低限の尊厳でもあるのでそれを奪われるのは嫌なものです(自殺を肯定しているわけではないですが)。
 ところで「無意識」と「操作」って矛盾していますね…(^‐^;

☆ホワイトスネイク…って死人からはDISCを取り出せないのではなかったでしたっけ?承太郎のDISCを瀕死のアナスイに挿入した場面とか、DアンGが死んだために尋問できなかった場面とか。とはいえ、ジョジョではこんなことは日常茶飯事なので、いかにしてこの現象を理由付けるかも面白いものです。能力発動のファースト・インパクト時は「特別に強い能力」が働く…とか。
 さて「身体を溶かす」ことなく記憶DISCもバンバン抜いていますが(笑)。個人的には記憶を根こそぎ奪う場合には身体を溶かすのかなぁと思っていますが。接近戦最強のスタープラチナに近づくのを避けたという考え方もあります。そういえば「記憶」「スタンド」両方のDISCを抜かれてもしばらく承太郎の意識がありましたが……皆さんはどう考えます?

☆さて来週の予想。今週はシンプルに…回想は来週も続くか?否か?
 来週は元のストーリー時間に戻ると予想!20万ペソ賭ける!!


 ではまた来週。