オラオラオラオラオラオラオラオラ

‘02 26号  Act.117 偶然と計算

 エルメェスは思う。
『これほどまでの決意とは……』
『神父のところへ行こうとする決意!』
『父親・空条承太郎から受け継ぎ目覚めた意志!』
『これがかつてメソメソしていた徐倫か!!』

ガシッ
 拳を入れられながらも徐倫の延髄を掴むリキエル。

「敗北」……」「だ…オレの…」
「だが…神父を『彼の求める天国』へ押し上げるのはこのリキエルだ…」

「人が「倒れる」のは…防御のためだ」
「とてつもない苦痛と衝撃から生存するために本能的に肉体と心を切り離し気絶し身を守るのだ」
「オレは自分の体をすでに「ロッズ」で病気にした!」
「頭と肉体の神経を病気にして遮断したのだ…」

 ハンセン病の患者の中には痛覚を失い、通常生活で難儀をする者も少なくないらしいが…。

 自らの勝利がないことを悟り、相討ちに持ち込もうとするリキエル。即死の一転を狙う!
「おまえがオレをこのまま倒すのが早いのか?「ロッズ」がおまえの体温を奪うのが早いか?」
「すでに第一頚椎ッ!首の部分の炎はオレの「手」が消しているぞッ!」
「行けロッズどもォオオオオオオオオ」

「このままブチのめす!!」
「オラオラオラオラオラオラオラ」

 組み合った間合いでストーン・フリーの拳が打ち乱れロッズの編隊が舞い踊る。最期の力を一つの行動に託す…「必死」の力は圧倒的な差を埋める。

「ガハァ」
 同体になって倒れる2人。そして…ムクリ と起き上がったのはリキエルであった。

「なんだとぉおおおおおおおおおおおおお…や…野郎ォ!!!」
 徐倫は野郎ではありません…一応(笑)。
「火を消したオレの「手」が……」
「この指が第一頚椎の上で……皮膚の上で…微妙にロッズどもが体温を吸い取る邪魔を……」
「わざとオレの手を首からどけずにたたき込んで来たのか?」

「それとも単なる偶然か?」

 再び仰向けに倒れるリキエル…そして交代するかのように起き上がる徐倫。

「偶然よ」
「あんたの「手」が体温を吸い取られるのを防いでくれるなんて考えるヒマもないほど……」
「ギリギリだった」

「ロッズはもう戻っては来ない……」
「どこかに行っちまったよ。操る体力はもうない……」
「だが今…「偶然」と言ったのか?偶然オレに勝てたと…?」
「オレがそう答えてほしいと願う……「やさしい」答えだが」
「本当なのか?本当のところはどっちなんだ?」

「あんたは何者だ?」「なぜ神父のところに集まって来た?」
 
リキエルの質問に答えずに、逆に質問を返す徐倫。最も素朴な疑問…「何者だ?」
これに対してリキエルは直接的には答えない。
「神父がオレの欠けていた心を満たしてくれたからだ…オレは神父のために存在している」
「空条徐倫……それはおまえにも言える事「おまえは神父のためにケープ・カナベラルに行くにすぎない……」
 神は試練を、それを乗り越えられる者にしか与えない。そして神父は試練を乗り越えた者をさらに踏み台とする。

「「偶然」と答えたな……?」
「おれの「手」を首からどけずにオレを殴り続けたのは計算ではなく…」
「「偶然」だと……」

 リキエルが悟った神父の真実。
「神父の求めているものはその「偶然」だ!」
「おまえに味方した『偶然』!それがほしいんだ」

 偶然…何の因果関係もなく、予期しない出来事が起こるさま(広辞苑より抜粋)。

「おまえは誰よりも強い『運命』を持っているようだ」
「「オレ」か?「おまえ」か?」
「強い「運命」を持っている方に来てほしいんだ!!」

 ブラックジャックで「獅子面病」という話がありましてね、獅子のような顔になってしまう病気なのですがその患部がこのコマのリキエルにそっくり!……どうでもいいことですが。

「そして『運命』は集って行く…」
『あの男』も特別だ…」
「神父は『あの男』の記憶だけを抜き取って刑務所でワザと生かしておいた」
「ウェザー・リポート」
「『あの男』がもしこれから脱獄して来るなら…それはおまえを追ってじゃない」
「神父のために強い『運命』を持って来るんだ」

「プッチ神父の肩に新しく星のアザが出来た時…きっとウェザーの肩にも同じくアザが現れているはず」
「ヤツは神父の実の弟だからな」

 え〜〜!弟!!思いつきそうで思いつかない結果。だいたい似てないし、肌の色が違うし。でも帽子を脱ぐと……あれなの?あの髪型なの!?

グシャ

 キッスの拳がリキエルを黙らせる。
「こんなヤツと話なんかしてんじゃあねえ!……たわごとだッ!」
「混乱させるために言ってるんだ…」
「あたしの姉さんはDIOの骨を復活させたS・マックスに殺された」
「それも運命のためというのか?」
ふざけるなッ!神父はあたしに倒されるためにいるッ!」

 様々な情報と感情が錯綜する。しかし徐倫はなおもひるまない、綺麗な瞳には迷いはない。
ケープ・カナベラルに向かって歩を進めるエルメェスと徐倫……その後ろ姿を見つめるエンポリオ。

『リキエルの「手」を首からどけなかったのは本当に「偶然」なのか?それとも「計算」だったのか?徐倫おねえちゃんは最後まで何も言わなかった』
『神父の求める「天国の時」とはいったいどんな力のことなのか?』
『神父は本当に「ウェザー・リポート」の来る事を待っているのか?』

『ただひとつ言える事は……神父が全ての人々の幸せも人生も犠牲にして行動しているという事だ。それは間違いなく「悪」だ……』
『おねえちゃんのお父さんが「封印」されたように、絶対に倒さなくてはならないものなのだ……』

新月まであと4日
…リキエル(スタンド名 スカイ・ハイ)再起不能
「ロッズ」―この地のどこかへ

To Be Countinued

今週のめい言

「偶然か?」

○フロリダでならした奇襲と変装の名人・プッチ、自慢のルックスでブラジャーからロッズまで何でもそろえるリキエル、6階から飛びおりる変人だがパイロットの腕は天才的なヴェルサス、腕っ節はたつが飛行機が苦手なウンガロ。天国をめざす命知らずの4人組!!

○たまたま夢に見ただけの『Aチーム』を取り入れないように ↑。

○でも、放送していたのは私がチッチャイころなので実はあんまり憶えていないのですが…ウ〜ム、見たい!!近所のヴィデオ屋、貸し出してないかなぁ。

○ナイトライダーも見たいなぁ…。

ジョジョの話をしろ!(脳内偉い人からの通達が!!)

○もはや因果の歯車は神父を中心に回っているのでしょうか?強い『運命』を持つ者同士を闘わせて、より強い方を求める。毒虫毒獣数十匹を1つの壷に入れて喰い合わせ、最後の最も毒があり強い一匹を利用する『蠱毒(こどく)』という儀式がありますが…プッチ神父にとってはそれと同じでしょう。

『偶然』。強い『運命』を持つ者同士が生死を分ける要素の1つ。最も予測不能な要素。神父はその偶然さえ、自分のためになると確信しているのが恐ろしい。

リキエル「目がストーン」「血尿」などオモシロ・キーワードを連発してくれましたが、最期はシンミリとさせてくれました。勧善懲悪と言い切っていい第3部において、「敵にも正統な理由がある、それは『悪』とは言えない」その事を感じさせてくれたンドゥールを思い出しました(ゲームをキッカケとしてのミドラーの背景にも同じものを感じましたが)。「欠けていた心を満たしてくれた」…。神父はDIOのカリスマを完全に受け継いでいる。

ウェザー・リポート。プッチ神父の実の弟―リキエル談。このことが何を意味しているのか?何故、弟の記憶を抜いたのか?利用するため?DIOの残した『天国へ行く方法』を得るために神父があらゆるモノを引き換えにすることは容易に想像できますが…何故、記憶を抜いたのか?ウェザーが『天国へ行く方法』について神父に敵対する立場をとったからでしょうか。例えそうだとしても、今のプッチ神父にとっては自分を推し上げるための踏み台なのでしょうが…それこそ厄介で強力であるほど堅固な踏み台となる。


☆荒木先生はいつからウェザーを神父の弟にしようと思ったのでしょうか?最初からでしょうね。我々の度肝を抜くためなら「兄弟なのに容姿が全く違う」くらい平気でやるお方ですよ(笑)。これだけ重大な役を与えているのならば、懲罰房棟編の1年近くを全く活躍なしという驚くべき配役も納得できます。後でお釣りが来るくらいクローズ・アップされるのですから。

☆でも「父親が違う」という設定はあると予想。

☆ヴェルサスの能力予想でも。今のところはAct.103でプッチ神父の足元に転がった弾丸だけがヒントです。これとて、本当に能力を象徴しているのかは決定ではありません。ウンガロのコインはB・ラプソディーを見事に象徴していましたが、スカイ・ハイを指輪が象徴しているかといえば違うと言えます。というわけで、弾丸はあまりあてにならないので思いつきで予想。
 次号予告を読むと、どうやら徐倫チームが全員集合するらしい…という事はヴェルサスVS全員?いや徐倫とウェザーは恐らく神父を追跡すると思うのでヴェルサスVSエルメェス&アナスイになると予想。そしてヴェルサスの能力とは「地球の自転から下ろす」。射程内に入るとヴェルサスは対象者を東から西へ動かす事ができる(もちろん、本当は地球が西から東へ動いているだけ)。

☆では今週も最後です。ジョジョ屈指の名言であり、運命にも偶然にも屈しない人間の意志を見事に現している言葉を紹介、45巻より抜粋。
「偶然なんかじゃない、運命なんかでもない。これは賭けだ。僕が賭けたんだ(by 川尻早人)


 ではまた来週!