「今なんの車に乗ってるの?」
「ひょっとしてまだあの時の車じゃあないわよね…ロメオ」

「ジョ……」

‘02 19号  Act.111 意外と―

時は前後し―――アナスイとウェザー・リポート・脱獄8時間前
空条徐倫・脱獄2時間後

「徐倫ッ!き……君はッ!」
 徐倫を刑務所に送り込んだ一連の過去が頭をよぎるロメオ。ピノキオの鼻のように、耳がみるみる尖がった弁護士なんかも思い出しています。弁護士の耳が山羊のようになったのは徐倫がスケープゴート(贖罪の山羊―身代わり)になるという暗示だったという説もありました。

「あの日以来、僕は後悔しているんだ」「神様」
「君に対してやった「裏切り」をッ!」「君がいなくちゃ」
「君でなきゃあダメなんだ」

 堰(せき)をきったように涙ながらに謝り出すロメオ。

「ロメオ…今あたしがここに来たのはあんたに頼みあるからなの」
『お金』『車』がほしいの」
 
普通はそこらへんの人や停めてある自動車を盗るのでしょうが、わざわざ2時間かけて(GDSt刑務所からわずか2時間の所にロメオは住んでいるのか)ロメオのところに来たのですね。

「僕は自分が犯した罪を認めて、君を絶対に無罪にするつもりだ…」
「だから前のようにまたぼくのところに戻って…」
 
頭をかかえこんだロメオが再び目線を上げると……徐倫の姿は風のように消え去っていた。

 すでに部屋を抜け出し庭を(デカイ庭!)歩いている徐倫。その右手の中から声がする。
{もしもし}
{ぼくはバーム・ビーチ在住のロメオ・ジッソといいますが}

 徐倫の能力の糸電話であろう。電話にでもくっつけてきたのだろうか。
{警察ですか}{「脱獄囚」について通報したいのですが}

「やはりね……」
 エルメェス!ヤッパリ着いてきていた、さすが姐御!!
「あたしの「シール」をはって「2つ」にして持って来といて良かったな」
 徐倫の右手から覗いたものは…シールが貼られた舌である(ウェ〜)。その舌からロメオの声がしている。舌だけあっても声は出ないと思うのですが…。
「ヤツの「舌」が2つになったッ!」「ザ……『キッス』!!
「シールをはって2つになったものは!この「シール」をはがせば破壊とともに!」

{でも昔のことです。この家になんか来ていません}

 シールを剥がしかけたエルメェスの動きがピタリと止まる。

{電話だけです}{メキシコあたりへ行くっていってたかなぁ}

「タマゲタぜ」
「こいつあんたを裏切らなかったぞ…意外とイイヤツじゃん」

 タマゲタ…って(笑)。エルメェスったら、女の子なんだからもっとカワイイ言葉を使いなされ。

{ぼくは彼女のためなら}
{罪を許してもらえるなら…}

「こっちだよッ!お姉ちゃん」
 どうしたエンポリオ、そのはしゃぎようは?
「おねえちゃんの元カレ何をくれたと思う?」
「見てよ見てッ!」

 ヘリコプター!!なんと徐倫たちの乗り物はヘリです。確実に墜落すると思いますが。

「やっぱシャバは違うなぁ〜〜」
「あれ乗っちゃっていいわけ――――ッ……操縦したいなあ〜〜」
「本で読んでいるだけと体験するのはやっぱ違うよなぁ」

 (笑)エンポリオかわいいなぁ。やっぱりまだまだ子どもなんだね。

「ロメオ…あんた」「意外だった…見直したわ……」
「でもやっぱりはがしておこう、念のために……」

 どうやら意外と執念ぶかかったようです、徐倫。遠くに響くロメオの悲鳴。
ギャアアアア〜〜〜

「行くわよ!!ヘリなら数時間で目的地に着けるッ!!」



「生殖における『卵子』と『精子』の運動が示すとおり」
「『生まれる』という事は……『選ばれる』という事だ」
「そして『選ばれる者』は常にそのぶつかりあう競争でさえ、彼をとり囲む者たちによって護られ後方から推し上げられているにすぎない
「このわたしに吸い寄せられる者たち!!」
「それはわたしを『天国の時』へ推し上げるために存在しているッ!」
「空条徐倫が『脱獄』しここへ向かって来るというのなら…彼女さえ、その存在にすぎない!」

「DIOの息子たちよ」
「新月まであと4日だッ!」
「君たちはわたしを護りケープカナベラルの地へ推し上げろッ!!」
「それが君たちの何よりも幸福な生きる目的となるだろうッ!」

 演説をぶちかます神父の前には3人の男が!ボヘミアン・ラプソディーのウンガロ、白と黒の斑のツナギを来た男、そして奥のベットに寝そべるもう1人。こちらはまだ顔を明かしていない。自然と次の刺客はこの牛柄の男だろう。
 一番に出て行くウンガロ。そして牛柄の男は……。

「その前にオレの目を開けてください神父様」
「片方のまぶたが……」
 
ストーンと落ちている。
「いつもおりて来ちまって上に上がんないんスよ……」
「ときどき上がるんスけど」




○見開きでの徐倫を見ました、奥さん?カッチョイイ〜!!服装もマイナーチェンジしているし、男前だぜ徐倫!!承太郎を意識したロングコートも腰に引っ掛ける程度になりました。承太郎の娘ではなく、徐倫個人としてマスマスの個性を輝かせるという象徴なのでしょうか。考えすぎかな。

○ロメオが小物として扱われているのはしょうがないですが、私としてはロメオを侮蔑できないです。大局からみれば悪い事だと解かっていても、つい目の前の甘さに傾いてしまう。しょせん私も小物ですからね。しかし、そうやって目の前の甘言に乗り続けるとあらゆる事が後手後手になってどうにもならなくなってしまいます。ロメオの場合は、改心したのに舌を破壊されてしまいました。

○というか、徐倫が意外と執念深かったということですな。

「DIOの息子達よ」!あの3人とウェザーはDIOの息子で決まりですかね?

☆何回か書きましたが、「DIOの息子がジョルノだけ」という事の方が不自然なのですよね。DIOが子どもが欲しいなどと言うキャラクターでは無いですから。何らかの目的を持って子どもを造ったのなら、1人だけよりも何人も造っていたと考える方が自然です。生まれ変わった自分を推し上げるために…というのは後付けだとしても、DIOの非情さを顕すエピソードとしては面白いです。自分の子どもさえ、踏み台としか見ていない。

☆あの「目がストーン」の能力を予想しましょうか。次号予告には「神父がヤバイと感じる」能力と書いてありますが…。まぶたが落ちることから「落ちる」能力…を一捻りして「上に昇る」能力。能力に嵌まると下に降りられなくなる。徐倫たちはヘリの乗っているから、ヘリは上昇するしかない。高空になるにつれ、空気も薄くなり、気圧も減っていき……ジャンピン・ジャック・フラッシュとかぶるなぁ(困)。

 ではでは…!