「すみません。サンレミの病院はこちらで良いのでしょうか?」

「他で聞いてくれ」
 足早に駆け去ろうとするウェザー。この男も何かのキャラなのだろうか?

「おや」「あなた……」
「ちょっと待って、このわたしのこと知ってますよね?」
「そうでしょう?わたしですよ」

「………」
「オレはこの街の人間じゃあない」

「そうじゃなくって…わたしの事好きなんでしょう?」
「わたしを見て感動した事あるって顔にかいてある」
「わたしの名前はゴッホです」

‘02 16号  Act.108 ヂョキン!

『ゴッホの自画像』です」
「きのうカミソリで耳を切り落としました」

 ついに美術品にまで!!1889年に描かれた『包帯をしてパイプをくわえた自画像』だと思われますが…(ゴッホは耳を切り落としたのではなく一部を削ぎ落としただけらしいですが)。しかし問題は、ボヘミアン・ラプソディーの能力にはまってなかったウェザー・リポートもついに分離を始めてしまう。心を奪われた作品に会うと肉体と精神に分離してしまう…童話に対する記憶がないウェザーも、刑務所内で見たと思われるゴッホの作品には心を奪われていた。

{ファンタジーヒーロー事件の続報です}
{現地時間午後3時、イタリア・フィレンツェのウフィツィ美術館から名画の中でも最高峰の名画!ボッテチェルリ作『ヴィーナスの誕生』から突然ヴィーナスが消え失せました}
{そしてなんと現在、ここ!シニョール広場を彼女が歩いていますッ!}
{美しいッ!美しすぎるッ!}

 カタログで見るのもいいが、直に見る絵画(美術品)からは受ける衝撃が違う…とどこかで読みましたが(ド忘れ)。荒木先生が『ヴィーナスの誕生』を見た時の率直な感想なんでしょうね。

{事態はある意味どんな戦争よりも深刻ですッ!}
{全人類の遺産が!…………わたしたちの「心の宝」が!失くなっていくという事なのですッ!}

 そうなのか!そうだ、ピラミッドの死後裁判もアルタミラの洞窟壁画もグリスのキュビズムも全て失われてしまう。
一方、分離してしまったウェザー。

「この「敵」、本体はどこにいるんだッ!?」
「どこかにいるこの「敵」はアナスイやオレだけを狙って攻撃しているのではないッ!」
「「神父」を守ればそれでいいという能力だッ!」
「世界中を巻き込んで!」
「その「作品」に込められたエネルギーを利用しているスタンド能力!」
「おそらく同時に今ッ!」
『「徐倫」も何らかのキャラクターの攻撃を受けているッ!』『「敵本体」!!』
『おれはこの「敵本体」を見つけられるのかッ!』

「お母さんが…来るらしい」
「お母さんヤギはハサミを持って狼を追跡するとォオオオ、昼寝をしていた狼のお腹をチョキンチョキン、内臓のかわりに「石」をつめて糸で上手に縫いましたぁあああああ」
 
泣きながら「七匹の子ヤギ」を読みつづける子ヤギ。むりやりに狼役を押し付けられたアナスイ。ダイヴァーダウンで子ヤギを殴りつけようとした瞬間!

「メェエエエエエエエエエエエエエエエエエエ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
 路地の曲がり角から、ハサミを持った母ヤギの影が近づいてくる。
「てめェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
 そしてついに片手(片足?)が見える。

「来んのかッ!このヤロウッ!」
 構えるアナスイ…

「ママー」「ママー」「ここだよ〜〜オーーイ」

 どこからか変な声が。なんとアナスイのお腹から聞こえる。
「お兄ちゃんたちだ!まだ生きてるぞ!声が聞こえる」

 そして腹の声に気をとられたアナスイ、ふと路地をみると母ヤギがいなくなっているが……
ヂョキン  ヂョリ  ヂョギ
 アナスイの脇にはりついた母ヤギが、腹を裂いている。傷口から子ヤギがこぼれ落ちる。

「うおおおおおおおおお」
 
さらに襲ってくる母ヤギ!だがダイヴァーダウンで殴り潰す!!
しかし母ヤギは幼児雑誌のおまけのような折り目のついた紙となっている。アナスイが拳を上げたとたんに再び起き上がりだす。

「作者が創ったストーリーをつぶすことは誰にもできない」

 ストーリー通りに進む事ことの恐ろしさを感じるアナスイ。
『ここは逃げるべきだ…ウェザーのところに戻らないと』
 三十六計逃げるにしかず、母ヤギに背をむけ鉄扉を開け駆け込むアナスイ。
「『ダイバーダウン』」

ドス ドス ドス ズン ドス バコッ
「ダイバーダウンがこの鉄扉の内部を変え……」
壁と扉を融合させたッ!もうここは開かねえ!」

 しかし…扉が本のようにパラパラとめくれ、外とつながったページが現れる。そして再びヤギの母子が……。

「ウェザーーーーッ早く見つけてくれッ!敵本体をッ!早くッ!」
『だが…もしウェザーが…敵を見つけられなかったらどうなる?』
…そ…そんなことは考えたくねえ…………

 



 アナスイがなんかボケ役になっている。億泰を彷彿。

 それにつけても、混乱に次ぐ混乱、収集のめどが全く立たない。ついにウェザーまで分離をしてしまいました。やはりB・ラプソディーはウェザー達を狙い撃ちにしていたわけではなさそうです。しかし逆にそれが厄介になっているのは確か。本体に続く道が見えない。

 同時にアナスイもピンチ。ストーリー通りだというなら、このピンチを抜ける方法としては物語をすり返るのではないでしょうか。ヤギが全滅する話って何か有りましたかね?…思いつかない。狼が生き残る話はあるかな?……あれっ、解からないなぁ。それでは、アナスイが自ら「3匹の子豚」のストーリーに関わって、ヤギとブタがどちらが狼を始末するかで争い始めてしまう。その隙に難を逃れる。

 そういえばアナスイの肉体はどうなったのだろう?実はあの母ヤギが……ブルブル

 今日はここまでです。ではでは……。