‘02 13号  Act.105 誰のファン?

「探せッ!ウェザー・リポート」
「本体はどっかにいるッ!」
「どうやら徐倫の移動をおまえが感じるように「緑色の赤んぼう」を手に入れた『神父』も、逆におまえの接近を感じて敵を送って来てるってことらしいなぁああ」
 アナスイに首をしめられ痙攣(けいれん)を起こしている…え〜と…ピ×ノ×っぽいやつ。編集もヤバイかなと思っているようですね。でもアナスイの足元の本にはピノキオって堂々と書いてあるし。

クルッ
 運転席を振り返るアナスイ。その疑惑を即座に否定するウェザー。 

「このじいさんがスタンド使いの可能性はゼロだ」
「まわりくどい方法で姿を見せてオレたちに接近する意味がない」
「隠れてればいいんだからな」

「なに者だ!?きさまー――ッ」

「や…やめた方がいい」
「ぼくのこと殴らない方がいい…世界中の子供が悲しむ」

 Pさん(鼻にPと書いてある)が口を開く。知性があるらしい。

「なんだああああ〜〜〜」

「ぐげげっ」「く…苦しい…」
「そーゆーのも…お…お願いやめて…ヤバイって」

「こいつ…しゃべりやがったぞ」
「このトラックにもう「一体」いたな?え?」
「おまえら二人組か?」

「い…いや…ぼく、ひとり」
 はなアターーーック。アナスイの顔面にPさんの伸びた鼻がぶち当たる、思わず後ろに吹っ飛ぶアナスイ!!
「OH!OH!」
「や…ヤバイ!」「違う」「待って、ご…ごめん!」
「ワザとやったわけじゃあ」「あ、ヤバイどうしよう!?」

「ぼくウソをつくと鼻が伸びるわけで」
「あ…だから自動的に鼻が伸びただけで…」「いや!その!」
「生理的な反応で…」
「いや、ぼく今ウソをつきました…」

「でも完全にウソってわけでもなくて、つまりぼくは仲間はいないんだけど別にひとりってわけでもなくて…」
「はい!」
「もう「一体」ってミッキーのことかな?彼はもうこのトラックからおりてどっかいっちゃったみたいだけど…」
「ほら見て見て」
「ウソじゃあないでしょ!鼻が戻って来た!!」

 ウソをつくと鼻がのびるって設定はピ×ノ×しかないですよねぇ。

「なんだこいつは!?ミッキーってなんだ。その名前は!?」
「どこのミッキーだ!」
「そいつが本体の名前かッ!?」
 ミッキーっと言ったら……ヤッパリ、ウォルトさんのところの…!?

「だからあんたこそ話が見えないな」
「ミッキーっていったらミッキーじゃん」
「それに何よ本体って!?そんなヤツぼくは知らない」
「だ…だから乱暴はやめてってば…自分で言うのもなんだけど…」
「ぼく自分がいいヤツだと思う。とくに子供の敵なわけがない…昔あんたの友達でもあったはずだ」

「そ…そうだ、友達っていやぁミッキーはもういないけどあの「七人」はどっかに隠れていると思う」
「さっき七人のうち三人を見かけたんだ…ほら食いかけのリンゴが落ちてる」
 七人……?…サムライ?

 言った通りにリンゴが落ちている。するとスイッとリンゴが持ち上がる。そこには6本3組の脚があり、リンゴをトコトコ運んでいく。ダイヴァー・ダウンでリンゴを横盗るアナスイ。するとアナスイの肩口に一斉に登場!

「そのリンゴは毒リンゴじゃあないぜ」
「食っても大丈夫」
「でも白雪姫が食べたのは毒リンゴだ」
「かじってカケラをノドにつまらせてるだけだけどな」
「実際は食ったわけじゃあない」
「でも知らねーバアさんからよォー、リンゴもらって食うか?フツー」
「バレンタインのチョコだって用心してんだぜ、オレたち」
「その不注意のとこがまた守ってやりたくなる女の子」

 セリフが8つある。1体、セリフを2回言ったやつがいる。というより、サムライじゃなくて小人の方か(当たり前だし、ヒッパルな)。

ドサ

 今度は箱の中から女の子から飛び出す。ビックリハウスか?ここは!(トラックの荷台です)
「このトラックに何体乗ってるんだッ!」
「スゲェ乗ってるぞウェザー―ッ」「気をつけろッ!」

「あんたは誰が好き?」「子供のとき何が好きだった?」
「好きなキャラクターは何?それぼくじゃあない?」
 Pさんがアナスイに語りかける。そしてそれに応える小人たち。
「オレはターミネーターT−2000型のファンだな」
「このトラックにゃあいねーけど」
「オレとこいつはチューバッカ」「それとエレファントマン」

 チューバッカというのはスターウォーズの?エレファントマンって誰?というか印刷物も他のキャラクターがお好き?T−2000は格好いい。
「でもなんつってもやっぱりオレは白雪姫がサイコ―だぁああああ――――」
「世間のヤツらはヨォ――、オレたちのこと眠ってる女の子のパンツの中に入ったりして遊んでるなんてよォー―」
「いろいろ黒い噂立ててるがチクショオ!」「事実無根ッ!」
「プラトニックな関係だよなぁ――――――」

 そんな噂、初めて聞いたよ(笑)!プラトニックな関係って…言われなくても解かるっちゅうの!

 白雪姫の本をめくり中を確認するアナスイ。
『こ…こいつらは?つまりこいつらは?知っている』
『オレはこいつらを知っている…だがどういう事だ?』

{臨時ニュースをお伝えします。本日午後1時30分未明、『突然ミッキーマウスが消失しました』}
{消失範囲未確認ですが…全世界の模様、全て消え失せました}
{くり返します。ミッキーマウスがいなくなりました!}
{ペイント塗料や印刷物の化学変化等も含め原因と状況は現在調査中です}
{それと白雪姫とピノキオにも同様のことが起こってるとの報告もあり…当局はくれぐれもパニックに用心をと…}

「おいウェザー!」「こいつらはつまりそういう事なのかッ!」
「『出て来た』ってことなのか?」
『だからいったいこいつら何のため……』

モグモグ
 リンゴをかじり、白雪姫を読んでいるウェザー。さっきまで自分が持っていたはずなのに……と戸惑うアナスイ。

「ねぇ、あんたは誰のファン?ぼくのファン?」

「悪いがオレは君たちを知らない…向こうへ行け…蹴り殺すぞ」
 意外と冷たいウェザー。

「オイ!ウェザーッ」
「なにオレからとってるんだッ!そんなもの食ってんじゃあね―――ッ」
「本もだッ!」
 またPさんの首をキュッと締めるアナスイ。

「…………」
 不思議そうにアナスイの方を見つめるウェザー。

「あんたが食えるって言ったんじゃあないか…」
「あんたが自分で渡したくせになぁ」
「本もあんたから彼に読んでみろって言ったんだ」
「しかも毒じゃあないって。姫はノドにつまらせてるだけだ」

「なに言ってるんだてめーら」
 食い違い…違和感…見に覚えがないことを小人に指摘されるアナスイ。

「どこだアナスイ!?」
 目の前にいるはずのアナスイを無視するウェザー。だがふざけているようではない。
「おいアナスイどこだ!?」
 トラックの脇をも見るアナスイ。
「おい、じいさん、車を止めろッ!」

 ウェザーと同様にトラックの脇をみるPさんと小人たち(何で右目がないんだろう?)
「うおおおおおっ」「こりゃヤバイぜッ!!」
「ぐえっ、ひでぇ!」
「たいへんだ――――ッ、みんなーっ」

「止めろじいさんッ」「車をとめるんだ!」

 アナスイもトラックの脇をのぞく。そこに見えるのは……腕、髪…人間…
アナスイ!!

 アナスイがトラックの荷台の下に下半身をはさみ、左腕と顔面の左側部を道路にひきずっている。そしてそれを見るアナスイ自身…。
「ウェザー、こ…これは―――ッ!?」

クルウウゥ
 振り返るPさん。
「君が「分離」したんだねぇ…君は誰のファン?ぼくのこと好きだったんでしょ?昔……やっぱり……」

 


 ピノキオやネズミが出てきたからって何が怖いのやら…と思っていたら何だかワケの解からない展開になってしまいました。
 子どものころの出来事はその後の人生に決して小さくはない影響を与える。子どものころにピノキオが好きだったものは大人になっても好きである。子どものころに心にピノキオという部屋をつくる。成長すればその部屋は記憶の奥に追いやられるが決して無くなったわけではない。どんなに固く閉ざされた心であっても、ピノキオがピノキオの部屋に上がりこむのは容易である。このスタンド能力は心の柔らかいところをキッカケとして精神を攻撃していく能力なのであろう。
 起きた事を整理してみると…(1)能力射程は世界中!ミッキ―とピノキオと白雪姫&小人が抜け出す(2)キーワードは『ファン』(3)ファンであると心と身体が分離する(4)身体の方も勝手に動くらしい(5)操られているのかな?(6)心の方はスタンド使いにも見えないらしい。

 ここで考えられるのが2つ。(1)アナスイが自力でこの状況を打破(2)アナスイは能力にはまってしまったので無力。ウェザーがカラクリに気付き、アナスイを救助。もちろん、この複合も考えられるのですが…。

☆某掲示板の意見で「ピノキオやミッキーは世界に1体だから、ピノキオやミッキーがあそこに具現化した結果、世界中でミッキーやピノキオが消失した」というものがありました。これは面白い!私はあの能力は射程内で平等に起こっていると考えているので、こんなアイディアは考えつかなかったですね。でもね、ミッキーが世界に1体というのは間違っている考えです。ミッキーはね…みんなの心に1人づついるんだから……

☆ ↑ あっはっはっはっ

☆分離した状態からはアナスイが自力で脱出すると思いますが、本体のトドメをさすのはウェザーと予想。

☆そういえば、先週、あの3人が徐倫たちを襲う動機は?と書きましたが今週号を読んで「なるほど、巻き込まれるのか」と思いました。上で「能力は平等に訪れている」と書いたのはそういう思考からです。アナスイ&ウェザーは狙い撃ちされたのではなく、巻き込まれた。

 具体的な状況打破の方法を思いついたらまた追記します。では、また今度!