イィッ

「うわッ!うあああッ!!」
 思ったとおり、感電する徐倫。その瞳に傷ついたエンポリオの姿が飛び込む。

‘02 6+7号  Act.100 同時に!

「これはッ!?」「エンポリオあんたいったいッ!?」

「飲み水を……うう…こぼして…しまった……」
 徐倫に気付くエンポリオ。
「…………」
「はッ!お…おねえちゃん!?」「い…いつからここへ?」

「今来たのよ」「あ…あんたこそ!いったいこの手!?」
「かわいそーに…どうしたのよ!?」
「もしかして…これ…『3つ』しか覚えられないって…」
「この文字は……」「あたしと同じ!?」
「「独房」にいた所からその後ずっと…!」

「そうだ思い出した………」
「ぼくはおねえちゃんに会いに行くんだった!」「すぐに行かなくちゃ!」
「急ぐんだ!」
「ぼくは徐倫おねえちゃんに伝えなくてはならないことがあるッ!」

「そう……気をつけてねエンポリオ」
「いいなあ〜〜……これ「ガトーショコラ」だぁ〜〜〜〜」
「あたし地球が滅亡するとしたら最後に食べにたいものは絶対チョコレートケーキって決めてんのよねー」
「もうどのくらい食べてないのかなあたし」

「…………」
「あっ!」「おねーちゃん!いつからここにいるんだッ!!?」

「そうよ!あたしなんでここにいるの?」
「なんでなんでなんでなんで!
なんで!なんで!なんで!

 以上、夫婦まんざい「ガトーショコラ」でした。これって「3つしか記憶できない」と関係あるの?と思うくらいのボケぶりを発揮する徐倫。
 そしてついに核心を言うエンポリオ。

「『プリントアウト』だ」
「じゃないと永遠に忘れ去ってしまうんだッ!」

 しかし2人に迫るあの人が。

「なるほど……そいつが「あの時」……いっしょにいたというわけか……」

 ミューミュー。怖すぎる。石仮面もビックリの恐怖ヅラを曝すミューミュー…やっぱり後の百太郎なのか!

「わたしの「顔」と「名前」を見聞きしていたのか………」
「今見たいに…独房のとこの『壁の中』で……そのエンポリオが……」
「普通なら放っておく……」
「わたしの『ジェイル・ハウス・ロック』の仕事は『スタンド使い』を閉じ込めておくことだからな…」
「だが『記録される』のでは話が別だ!」

 屋敷幽霊へ侵入するミューミュー。
「きさまはッ!」構える徐倫。プリントアウトすべきものを思い出すエンポリオ。
 腰の拳銃を抜くミューミュー!

「脱獄囚とみなすッ!」
 徐倫に向けて3発の弾丸を撃つ。

ドバシャアァァ
 しかし拳を振るうこともなく、糸を網のように用い余裕綽々で弾丸を受けとめるストーン・フリー。 

「スタンド『ストーン・フリー』……拳銃の弾丸なんてヘッチャラか…」
「だが覚えていないだろうな…もしわたしが今」「同時に4発の弾丸を発射していたと言ったなら」
「おまえには残りの一発が『どこに飛んだのか』……」
「その硝煙さえ見る事のできない事をッ!」

ボッゴォアアン

 徐倫の背後から破壊音が起きる。破壊されたものはミューミューを映し出していたパソコンのモニター…しかしその弾丸はエンポリオをも貫いていた。

なにィイイイイイイ―――――

「こんなところになぜ「部屋」があり、なぜそんな子供がいるのかは知らないが…」
「『ホワイトスネイク』がこの刑務所には無線機とかを持ち……空条徐倫に協力する何者がいる……」
「と話をしていた…そいつのことだったらしいな」

「おねえちゃん」
「ぼく刑務所の外に…出てみたい……」
 気を無くすエンポリオ……。

「てめーーは絶対に許さねえ―――ッッ」
 激怒する徐倫!おまえの血は何色だ、ミューミュー!!

「熱いねェェ――――…」
「だがそんな熱い感情さえ…次の「3つ」の事でおまえは完全に忘れ去ってしまう」
「それがわたしの『ジェイル・ハウス・ロック』」

「くらえ!!」

 壁に大写しになるJH・ロック!だからといって拳銃を撃っているのはミューミューである。何のために出てきているんだろう?

ゴオアァーーッ
 十数発の弾丸が徐倫を襲う。

「ここまでだ!!空条徐倫!」
「おまえに認識できるのは3発までだッ!残りの弾丸が体にくい込むだろうッ!」

「オラァア!」
ドバシャアーーアァァーーッ

 全ての弾丸を叩き返すストーン・フリー!!

「映りこんだ「像」なら……たったひとつの『事実』!」
「同時に撃ったというなら……それを見れば何発だろう…とな」
 水に映った弾丸を一瞬だけ見て全ての軌道を把握したのだろう。凄まじい対応力である。
「そしておまえの方は忘れちゃあいないだろうな!?」
 
徐倫の腕には自ら傷つけ刻んだ言葉が浮かび上がる。

 エンポリオの報いを 

 



 エンポリオ被弾!まさか死んではいないだろうが…。ミューミューの顔を知るエンポリオが倒れるとは。しかもミューミューの顔写真をプリントアウトする前に。

「だがそんな熱い感情さえ…次の「3つ」の事でおまえは完全に忘れ去ってしまう」

 さて徐倫がどのようにして敵であるミューミューを認識し続けることができるかが問題でありますが…。モニターが壊れてもハードディスクが生きているからプリントアウト可能……というのも詰まらないですし。
 次回の展開としては、恐らくミューミューの拳銃の弾は切れていると思うからとりあえずミューミューは脱兎のごとく逃げるでしょう。もちろん追う徐倫、恐らく徐倫は記憶の容量切れを避けるためにミューを見つづけて追跡。対するミューはどうにかして徐倫の気を他のものにひこうと色々と仕掛けるでしょう。ゴミバケツを倒したり、ガトーショコラを投げてみたり(笑)。さてサッキも言いましたが徐倫はどうやって敵を認識し続けるか…敵を見つめ続ける、だがミューの策略によりその方法も破られるでしょう…例えば、雑誌をビリビリにしてばらまくことで紙片に目がいってしまい記憶からミューが消去さえてしまう。安心して徐倫に近づくミュー。だがストーン・フリーの拳がミューを捉える!
「なぜ…覚えている?」
 信じられないという表情をするミューミューに徐倫は左腕を見せる。エンポリオの報いを。そして次に右腕を見せる徐倫。右腕には糸で描いたミューミューの似顔絵があった。
「おまえが忘れさせるというなら、わたしは覚えさせてやる…恐怖と痛みでな」
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」
 

 ではまた来週!!