「好都合だな。懲罰房棟の方角から霧が出てきている………」
「これからどうするつもりなのか聞いておきたいのだが……」

 懲罰房棟から霧が出ているという事はちょうどウェザー・リポートの能力によりF・Fがホワイトスネイクから逃れた時間とほぼ一致するということだろう。アナスイの質問に言葉を返す徐倫。ところで、緑の子がいい感じにまとわりついてカワイイ。

「まずあなたにはこれ以上にない感謝のお礼を言っとくわ…ありがとう」
「ここまで無事でいられた」
「でも……」
「なぜあたしにこんな事を?」
「これからホワイトスネイクの正体をつかみ『父の記憶』を取り戻すのはあたしだけの問題」

「徐倫」
 徐倫の顔に触れ、答えるアナスイ。自然な身体の接触は好意を呼ぶ。

‘01 49号  Act.92 得たいが知れない

「わたしの気持ちがわかってるくせに……」
「なぜそんな事を言うんだ。君はわたしに与えてくれている……君には刑務所の外にも中にもなかった希望が見えるんだ……」
「だからわたしはここに居る」
 
一人称が「オレ」から「わたし」になっている。気取っているぞ、アナスイ。
おい」「何だこれ?」
「徐倫何してんだ?こいつ?
 
ガジガジとアナスイの髪をかじっている緑の子。

「よく知らない」
 とぼける徐倫。

「知らないじゃないだろ!」
「わたしの髪の毛をかじってるぞ」

「ええ…良くわからないけどそーゆー物食べるみたい。おもしろいからちょっと見てただけ

「教えろよ」

「ほら…「土」も食べてるわ。やっぱこいつ植物ってこと?栄養?」
「でもすぐ眠るんだよね」

 珍生物の生態といったところでしょうか。生物学的好奇心を刺激しますが。

「しィッ!徐倫…伏せろッ!!」「何か来るッ!」
 何者かの接近に近づくアナスイ。

 霧とともに近づく2つの影。その正体は…。
「無事かい?徐倫………」
「ホワイトスネイクの正体がわかった……」
「プッチ神父だった……」
「ウェザー・リポートが来なかったら………やられていたんだ」

 F・Fとウェザーが徐倫たちと合流。ついにホワイトスネイクの正体が徐倫に伝わる。これはちょっと以外…。合流する前にもう1騒動があると思ったのですが。兎にも角にもF・Fにより徐倫の右目の治療も行われる。そしてウェザーと再会の抱擁(ほうよう)をする徐倫。そして出た!アナスイの恋愛コント!

「おい、何なんだ…あれ?」
「何やってんだあの2人」

「抱き合ってる」

「そんなこと知ってる。引き離せ!F・F!2人をすぐに引き離すんだ!!」
「なんなんだ!」

「あたしが?」

「早く引き離して来いッ!」「おまえがやるんだよ!」
「ここに来る時の契約だろうがッ!」
「徐倫にあいつの臭いが移っていく!」

「落ちつきなよ!ただのあいさつだってば」「ホラ!離れた」
「興奮するなよ。正体が神父だとわかったんだ…今それどころじゃあないだろ?」

「おい!オレに意見してんのか?」
「どういう了見だ?約束を忘れやがって、くそ!」
「たかがプランクトンがッ!」

 動揺するF・F。ホワイトスネイクにも言われていたが、肉体を捨てた事でよりハッキリとプラクントンだということがわかってしまう。自分は人間ではない、徐倫とは違うという疎外感がF・Fを襲う。

「徐倫」
「F・Fの言った事が本当だとしてホワイトスネイクの正体がわかった今、もう「必要」はないわけだな?」
「本体をおびき出すためにだけ「必要」だったんだ」

「…」

「この「緑色の赤んぼう」だよ」
「もう必要ない…」「始末するぜ」
「了解してくれ……徐倫」
「こいつは得体が知れなさすぎる…」
「オレの直感が「消せ」と言っているんだ」「今すぐにだ」

 喰ったら寝る。鉄則通り食事の後に眠る赤子。あわてる徐倫…。

「ま…待って…アナスイ…で、でも」

「こいつは味方じゃないぞ徐倫!」
「人間でもない……もともと存在してなかったヤツだ」
「生まれたことがまちがいの動物以下の存在だ……」
「わけのわからない生物は始末しとくべきだ。了解してくれ」

「それあたしのことか?言葉に気をつけろよ!!」
「おいッ!」

「触ってんじゃあないぜ」「今それどころじゃあないんだよ、プランクトン

 F・Fとアナスイの間に流れる険悪な空気。ここまで冷徹な仲間キャラは初めてではないだろうか…。ポルナレフの口の悪さとブチャラティの冷静さ。そしてDIOのごとき酷薄さ。

「ウェザー・リポート」
「状況はのみ込んでいるな?あんたも了解してくれ」

「いや了解なんかできない、死ぬのはおまえだからだ

 これはジョーク?それとも……まさかホワイトスネイクにより命令DISCを埋めこまれたのか、それとも自らの意思で裏切ったのか?そして……


ドボァアアアッ


    ズパアァァァアアアン


           ドグシャアァァアアアア


 背後から右手の手刀でアナスイの胸を貫くウェザー、そして左の掌底でF・Fを叩き割りDISCを弾き飛ばす、まだ左手は止まらない。!!

「はッ!」
 防御をしようとする徐倫だが間に合わず右手が切断され腹を引き裂かれる!

「まさか…こんな……まさか―――ッ」

「「ウェザー・リポートじゃあない!こいつは!」

『幻覚』だ!見ていたのは!!」

 ウェザー・リポートの姿が薄れ、ホワイトスネイクが顕れる……。
「案内してくれて礼を言うぞ、『フー・ファイターズ』」
「本物の『ウェザー・リポート』が追いつく前に…ここにこれたことをな」

 瀕死の3人。失われる意識。このままトドメを刺されて赤子を奪われるのか?脱出の方法は?救済の手段は?希望の光明はあるのか?




 恐るべし、ここで『幻覚』を持ってくるとは!しかしダマサレタ。実は不自然さはいろいろあったのだけれど。まず、先週にも書きましたが(1)F・Fやアナスイがてこずった本監からの脱出をいとも簡単に行ったこと(2)ウェザーはどうやってF・Fの場所を知ったのか、偶然にしては出来すぎている(3)ウェザーのファールカップ(←冗談)。その前にF・Fが無線機をスリとっていたという都合のいい展開がありましたが、故意か偶然かいい具合のミス・リーディングになってしまいました。

 20メートルと遠隔操作にしては比較的短い射程距離とはいえ、どてッ腹ブチヌキのパワーを持つホワイトスネイク。見開き×2で大暴れ(姿はウェザーだったが)。しかし…ということは20メートル以内に神父がいるということだが、今度は神父が本物のウェザーと会ってしまうのでは。


 さて、来週の予想ですが…。ほぼ全滅状態の徐倫たちですが、腕まで切断された徐倫…もしかしたらジョセフのようにこのまま片腕が機械になるのかも…まあ1ミリもそんなことは思っていませんが。うまい具合に回復すると思います。
 直感的に考えた予想としては、アナスイがホワイトスネイクを足止めしてその間にF・Fが徐倫の治療。しかしホワイトスネイクによりアナスイ惨殺、F・Fもトドメをさされる。しかしF・Fは最後の力を振り絞って徐倫を人形の入っていたポッドに入れて空高く撃ち上げる(アレッ、途中からカラクリサーカスに!)

 ここで思い出すことは(1)少なくてもウェザー・リポートは医療監を出てこちらに向かっている(2)ウェザーはモールス信号によりホワイトスネイクの本体がプッチ神父だということを知っている。やはり徐倫の救済にはウェザーが必要不可欠だと思われる。
 勝利を確信するプッチ神父、そして今まさに徐倫にトドメを刺そうとするホワイトスネイク。しかしそんな神父の前にウェザー・リポートが現れる。射程距離20メートルの関係上、湿原でポツンと立っていた神父だがそれゆえに目立ってしまいウェザーの眼に止まったのだ。神父は時間を引き延ばしホワイトスネイクを手元に戻す、ただし徐倫のトドメは刺せなかったが緑の赤子は持ち帰る。ホワイトスネイクは持ってきた赤子の能力を発動させウェザーを圧倒する。しかし赤子の陰にアナスイが最後の力を振り絞ったトラップを潜ませていた。自分の腕を切断してトラップとして使用したもの。これでホワイトスネイクは赤子を取り落としてしまい、そのすきをついてウェザーが赤子を取り返した場面で「→ToBeCountinued」。