‘01 47号  Act.90 司令塔


『ホワイトスネイク』 VS 『フー・ファイターズ』

本体 プッチ神父― 人の「心」を記憶とスタンド能力の2枚のDISCとして取り出す能力を持つ。現在空条承太郎の記憶のDISCを持ち、「生まれたもの」を追っている。    

本体 F・F― DISCにより知能を持ったプランクトンの集合体の新生物。現在F・F(エフエフ)は懲罰房棟駐車場内で肉体を失いスタンドだけが露出した。



 戦闘の舞台は救急車。対峙するホワイトスネイクとフー・ファイターズ。不動なる意思。静謐なる陰謀。静かながら燃え立たせる今回の扉とアオリ文はカッコイイ!

「何分もつ?」「この露出した体で…」
「30秒か?それとも1分?」
「水がいるッ!」

 早くも身体が崩れ始めているフー・ファイターズ。乾燥を保護する身体を失ったフー・ファイターズは思った以上にモロイ!そして顔面部分がエートロのものへと変化する。

 救急車のエンジンをかけるためにイグニッションに刺さるキーを掴むフー・ファイターズ。しかしその手をガッシリ掴む手が!ホワイトスネイクがステアリングの下からコクピットを破壊しながら顕れる!トランクから侵入してミスタの腕を掴んだホワイトアルバムのギアッチョを彷彿させる。

「表の水道まで行こうとしているのか?だがその前に…ひとつ聞いておきたいことがある…」

 左の手刀でホワイトスネイクを攻撃するフー・ファイターズ。だがホワイトスネイクはステアリングでフー・ファイターズの左を防御する。すかさず防御された左手を銃化しF・F弾を撃ちこもうとするフー・ファイターズ。しかし今度は左手でフー・ファイターズの銃化した腕を切り飛ばす!間髪いれず右手をフー・ファイターズの頭部に刺し込みDISCを排出させようとするホワイトスネイク。

「うおおおおおおおおお」
    ドバ ドバ ドバ ドバ ドバ ドバ ドバ

 切り飛ばされた腕がホワイトスネイクに向かってF・F弾を連射する!これにはひるむホワイトスネイク。その隙をついて救急車の外へ上半身だけの姿で飛び出すフー・ファイターズ!!

  バリィィーーーン

 息をつかせぬ攻防!水道までたどりつければ逃げられる可能性は大きくなる。しかしフー・ファイターズの身体は崩壊をつづける。

「わたしが…聞いておきたい事は……だ…………」
「ただひとつの事だ」
「君は見たのか?奥の懲罰房で……何が生まれたのかを………?」
「それはどんな物だった?「植物」なのか?美しかったか?」

 鉄格子の向こうから語りかける神父…。

「神父のてめーこそ何をやっている?この刑務所でよォ―――――」

「なあ…質問したのはこっちだぞ」
「わたしは君の記憶を奪って読めばうまれたものがどんなのかすぐにわかる」
「徐倫がどこにいるのかもな…」
「だが君の感想をきいておきたいんだ」「やわらかそーだと思ったとか美しいと思ったというのは……」
「君の感想であってDISCの記憶じゃあないからな」

 神父とホワイトスネイクが交互に語る。何気ないがうまい見せ方。

「生まれたものに逃げられる事を心配しているのか」「見失う事を…」

「動いたのか?………早くも」

「さぁね……」「でもそれより始末されるかもってことを心配するんだな」
「いや……もうすでに始末されてるかもな…」
「徐倫はちっともやさしくないヤツと一緒だからな…」「やばいと思ったら彼はやる」

「…………………」
「グッチョをやったヤツのことか?」
「そいつの事はわたしは知らないが…」

「だが…始末なんてことはありえないんだ「フー・ファイターズ」……絶対にありえない」
「何者もそれを消すことはできないんだ…それはよくわかっている」
「徐倫がよけいな事をして見失うことだけが心配だ…」
「承太郎の記憶だけが生まれたものを『支配』できる………
「その記憶は私が持っている……」
「あと一歩のところに来ているのだ!」
「どんな形をしていた?姿や大きさの成長は早いと思ったか?」

「水に溺れそうだと思った…それから」「えーと」「えーと」
「何思ったかなぁ…」

「ホワイトッスネイク!!」
「会話をひきのばして我々の注意をそらしているッ!うしろを見ろッ!」

 ガシガシガシ………フー・ファイターズの下半身だけが走っていくシュールな絵。分離面にはDISCが見える。そして水道に到達するフー・ファイターズ(下半身)。そういえば、ド○えもんでこんな場面を見たことが…。

「やった……ぜ」
「フー・ファイターズの司令している「頭脳」はこっちじゃあない」
「向こうだぜ」「こっちじゃない」
「車から飛び降りた時……分裂した脚がな……」
「「司令塔」は向こうだ」

 分離面から腕が生えて蛇口をひねる。ブシュウウウウ……。水を得て上半身が戻るフー・ファイターズ!

「頭脳だと?おまえの頭脳がどこにあるか…決めるのはおまえではない…」
「スタンド能力をDISCで与えたのはこのわたしだ」
「プランクトンごときがわたしに向かって得意顔に解説をいれるんじゃないッ」

    ゴボァアァァァ 

 ターミネーター2のT1000の最期のようなフー・ファイターズ。(えっ、最期…)。身体中に火傷をしたときのように水疱らしきものが次々と顕れている。

「うおおおおっ」「こ……これはッ!ま……まさかッ!」
「ぜ……全身がッ!」
「こ……この「水道」はッ!な……なんだとッ」
「この噴き出しているものはッ!」

 ガソリンか?硫酸か?それとも強力なアルカリ水溶液か?

「熱湯だ……」
「地球上の水棲生物が生息可能な最高水温は切歯32度以下らしい…」
「水を熱湯にするスタンド能力を……」

 ホワイトスネイクが後を続けて解説する。
「DISCとしてこいつにさし込んだ…」
「水を供給されたすべてのプランクトンはどうなるかな?おまえの頭脳が決定できるのはこのわたしだけだ……」
「おまえが触れた水はおまえの能力で次々と沸騰していくッ!」



「ううお」
                                   「あ…」
                 「うああ……ああ」
「徐…」

    「うおあああああああああ」


「徐倫ィィィイイイン!!」



 破裂するように消える、消えるF・F…。隅々…1匹1匹まで消えていく。

「これでやっかいなモノはとり除いた。徐倫の居所をDISCの記憶から読むのだ」




より残酷に殺すために……。「フー・ファイターズ=F・F」ということを解からせるためのエートロの顔化だったのだろうけれど……より残酷に。しかし、逆に言えばホワイトスネイクのプッチ神父がいよいよ悪役らしくなってきたというところでしょうか。

○双子の間には特別な絆があるらしい。どんなに離れていてもお互いの考えがわかる時があると聞く。フー・ファイターズも実は以心伝心を行っていたのである。ご存知のとおり、フー・ファイターズは大勢のプランクトンの集合体である。1つの思考を全てのプランクトンが、何の伝達も無く同時に持っているのだ。これはまさしく特別な能力であり、もしかしたら元々のスタンド能力は強力なテレパシーなのかもしれない。このシンクロニシティは逆用された。ホワイトスネイクにより一部のプランクトンに「沸騰させる」能力を挿入された結果、シンクロニシティにより全てのプランクトンが「沸騰させる」能力を持ってしまったのだ。全滅。合掌。

「F・F窮地脱出!ウェザー・リポートとともに目指すは?」などという次号予告が載っています。そういえば何故かDISCは1枚だけでしたね。扉で「心を2枚のDISCにする」とハッキリ書いてあります。もう1枚のDISCの行方がF・F生還の鍵なのだろうか?

 ではまた来週!