‘01 42号 Act.86 2分の1
アナスイの左手の甲につく「緑の人」の手形。
「こ…こいつはッ!」「『意思』があるのかッ!」
「な…何をしたッ!」
「緑の人」を中心に波立つ水面。鳥は恐慌をきたしたかのように木々から飛び立ち、何匹もの魚が浮き出す。右腕だけが見える「緑の人」。その肩には「星のアザ」が…。
『こいつはッ!………』
『この緑色の赤ん坊は………!!?』
『いったい…どんな目的で生まれて来たのか?なぜここに存在しているのか?』『……そして』
『他の囚人たちにやったような植物化は!これが生まれたせいか。あたしの体のものは止まって関係なくなったみたいだッ!』
徐倫の独白。
「天国へ行く方法」……。1人の身体に何個もの魂を所有する方法。その方法を発見し、自らの身体に施したと思われる「DIO」だがジョースター家の血をひく空条承太郎に敗れ、右足の骨の欠片を残し朝日の煌きの中で塵に帰した。骨の欠片は最終的に「天国へ行く方法」を探し求める「ホワイトスネイクのスタンドを持つプッチ神父」に渡る。神父はリンプ・ビズキットの能力により骨から生前のパワーを引き出し骨の動向を観察する事に決めた。骨は40人以上の人間を植物化し、その生命力を結集して「緑色の赤ん坊」を創りだす。
「緑色の赤ん坊」は入っていた実を割り、この世界に生まれ落ちる。「DIOの骨」の目的はこの「緑色の赤ん坊」を生み出すことであった。では「緑色の赤ん坊」の目的とは何であろうか?それは「天国へ行く方法」と直結しているのだろうか?
そして姿をくらます「緑の子」。
「落ちたぞッ!」「くそっ!水に落ちたッ!」
「触ったようには見えなかった…だがこのダメージ 何をしたんだ!?」
「どこだッ!?どこに落ちたッ!」
焦るアナスイ。
「まさか溺れやがったのかッ!」
その時、徐倫に異変が!ヨーヨーマッによってダメージを受けた舌に糸のようなものが!……えっ、糸?ということは…ナント自分の舌を糸で縫い始める徐倫!
「ちがうッ!……」
「あ」「あ……あ…」「あそ…こよッ!!」
「あ…あ…あそこにいる…ッ!」
言葉が復活する徐倫。ならヨーヨーマッの時にやれよ!というツッコミは置いといて…と。
「ど…どうやら……泳ぎや潜りは…できないらしいわ!…………!!」
「り…陸に降りてるッ!あ……あそこから左奥は陸地になっている!」
「やはりあれには『意志』がある……」
「逃げているという事は……つまりそーゆーことだッ!」
しかしアナスイの言葉に対して徐倫は…。
『いや…単なる「本能」で動いているだけなのかも……』
『とにかく…植物なのか何なのかわからないけれども……どこへも行ってほしくないッ!』
『とくに「ホワイトスネイク」に渡すわけには……「敵」なんかではあってほしくないッ!』
敵ではあって欲しくない…。もし、この「緑の子」が敵ならば、ただならぬ壁になることは想像にかたくない。もし、この「緑の子」がホワイトスネイクに渡ってしまったら、目的をほぼ達成したホワイトスネイクが徐倫たちの前に現れることは二度とないかもしれない。
陸に上がってハイハイで遠ざかる「緑の子」。手に当たった石がコロコロとと転がる。
そして行動を起こす徐倫。ボートから降り「緑の子」を追う。
「待てッ!徐倫!」「そこで止まれッ!」
徐倫を制止するアナスイ。だがかまわず突っ込む徐倫!
「徐倫ッ!待てと言っているんだッ!!走るんじゃあないッ!足元の石を見ろ――――ッ!」
只ならぬアナスイの声に止まる徐倫。足元の石…いし?岩?…がゴロンゴロン転がっている。
「いいか…そこを動くな…」
「オレの言う通りにするんだ…だがあわてなくていい……」
「徐倫」「ふりかえって…オレを見ろ!」
アナスイ。
ゆっくりと…ゆっくりと振り返る徐倫…。そこにあるものは…。でかいアナスイ。
「緑の子」はハイハイ。
「これは……なんなんだ」
「異常だぞ…そいつを追うのは」
「石がころがって来て…」
「「岩」になった………」
「そして徐倫…君は………逆に」
アナスイの言葉に不安をつのらせる徐倫。だが再び「緑の子」に向かい走り出す!
「待て!近づくなと言ってるんだ―――ッ」
徐倫の肩をつかみ引き戻すアナスイ。反動で徐倫との位置が入れ替わる。
「こ…これは!」「アナスイ!?」
「い……いったい!?」
そう、位置が入れ換わったとたん今度はアナスイが小さくなってしまった。
「身長が…あんたの背が…」
「小さくなったように見えてる!………あんたあたしのこと今…さっき…」
「小さく見えてたの?あたしはあんたのこと…!大きく見えてた……だけど…なんなのよ…位置が入れ替わったら」
謎が謎を呼ぶ。とまどう徐倫。
アナスイが足元の岩を「緑の子」の方へ蹴転がす。すると岩は石へもどる。
「これはッ!アナスイ!!」
徐倫!
「落ちつけ徐倫!」
「ヤツがはって進む動きは人間の赤んぼうと同じようにゆっくりだ!」
「ところでヤツの大きさはどうみえる?徐倫」
「そこから緑色の赤んぼうの大きさはどのくらいに見える?」
徐々に冷徹さを取り戻すアナスイ。
「ふ…普通よ!!」
「さっきと同じ……」
「アナスイ、あなただけが身長が低くなったように見える!」「なんなのよッ!」
「そして今の岩も…緑色の赤んぼうのところにころがって「岩」がちいさくなっていったわ!!」
徐倫。
「オレの位置からも赤んぼうは普通の大きさに見える」「決して大きくは見えない!」
「転がった岩だけが小さくなった」
「徐倫!そこを動くなよ!その位置にいてくれ…」
そしてゆっくりと徐倫の方へ後退するアナスイ。
「………………」
「同じ身長に…戻ったわ……」
「どういう事よ!?これは「能力」ってこと!?」
「あの緑色の赤んぼうの仕業ってこと!?赤んぼうに近づくとあたしたちの身長が小さくなっていくという事なの?」
徐倫。
「見当もつかない…」
「これがどういう目的の能力なのか!?」
「だがかなりヘビーなクエスチョンだなこれは……」
アナスイ。
「………………………」
「『問題(クエスチョン)!?』」
徐倫。
「いいかよく考えてくれ……」
「あの赤んぼうに半分まで近づくとオレの身長が1/2になるとする」
かがむアナスイ。
「…………ええ…」
「さらにもっと半分の距離まで近づくと身長ももっともっと縮んで行くってことだな」
ポイッと石を投げるアナスイ。
「身長は今の1/4になる」「そういう事だな?」
「それはつまり何を意味するのか?」
ボキッと木の枝を折るアナスイ。
「オレの足の長さも1/4になっているので歩いて近づく距離は4倍に感じるという事だ」
「さらにもっと1/2に近づけば身長は1/8になり……歩く距離は8倍に思える」
「さらに近づけば1/16で16倍の距離だ…」
「どう思う?」
地面に絵を描き説明をするアナスイ。
「1/32…1/64…1/128…」
「もっと半分」「どんどん半分」
「だが距離は2倍!2倍を感じるはずだ!」
「問題(クエスチョン)とはこれだ…」
「オレたちはあの赤んぼうにたどりつくことができるのか?」
「オレは永遠に到達できないと思う」
「まさか…なに言ってんのよ!あれはノロノロはっている赤んぼうよッ!」
「行くぞッ!つかまえられないわけがない!!」
強気で行く徐倫。
そしてチラリとこちらを見る「緑の子」……。
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