‘01 40号 Act.84 ハレルヤ
『くそっ…プッチ神父がこんな場所で…何をしているのか……』
『…あたしと…『DアンG』との間に入りやがって…』
『ここで最も重要な事は「DアンG」の確実な死だ』
『一刻を争う……』
『「DアンG」の再起不能程度ではだめだ……「緑色の子供」も盗られているし、自動追跡のスタンドを消すには完璧にヤツの息の根を止めなくては…』
DアンGを搬送しようと群がる看守たち。それを俯瞰(ふかん)から観察するF・F。そして対する神父は……。
「359」「367」「373」「379」「389」「397」
「そして400台……は……」「ん…と…400台の素数は……」
「まず401に…」
クルリとDアンGを一瞥して…、
「419…」「421」「431」……
『あのDアンGが負っている左腕の負傷…ヤツが重傷をくらっていることはつまり…』
『空条徐倫は…この近くのどこかでまだ生きていると推測せざるを得ない……」
『そして、ここの上にある懲罰房前で枯れ朽ちている大量の植物のカス…』
『あれは「DIOの骨」の仕業と考えるべきだ』
『「DIOの骨」が囚人どもを利用してわたしの想像を越える何かをやり始めたという事だ…』
「457」「461」「463、467」
「すばらしいぞ…」
「ついに始まったと考えるべきだ!」
「22年間………これを待っていたッ!!」
「「DアンG」がここで見たものを!……ヤツ自信から早く聞き出さなくてはッ!」
「なぁ…『サバイバー』のグッチョ!」
4人の刺客の1人、『サヴァイヴァー』のスタンド使いグッチョがなんと神父の傍らに。露骨に肋骨が飛び出している、もはや助からないと思われる。ここで4人の刺客の現在の状況を確認してみましょう。まず、事の始まり『サヴァイヴァー』のグッチョはご覧のように瀕死。『プラネット・ウェイヴス』のヴィヴァーノ・ウェストウッド看守は恐らく「DIOの骨」によって植物化そして朽木。『ドラゴンズ・ドリーム』のケンゾーは地下の電気イスの側のバケツの中、どうやらまだ見つかっていないらしい。『ヨーヨーマッ』のDアンGは『ダイヴァー・ダウン』のアナスイのトラップによって左腕を破壊されて重体。
「君は何も見ていなかったようだが…植物からはきっと何かが生まれたはずなのだ」
「祝福すべきだと思わないか?グッチョ」
「それがこれからわたしの手に入る………」
「真の幸福とは何か?」
「天国が手に入る!!」
「賛美しろ……!!」
「生まれたものが「天国」なのだ!!」
「新しい世界が幕を開けたという事を!………」
取り出したるはお得意のDISC!…と、あれ、普通のCDじゃないの?かまわず突っ込む神父!
そして口をパカッと開けるグッチョ。
ハ――レルヤ ハーーレルヤ
ハレルヤッ ハレルヤッ ハレルヤッ
受けとめるかのように両手を広げ聴き入る神父。ハード(←グッチョのことね)の性能が良いとは思えないのだが。
「いいぞ…!!この感動を称えるのだ…」
全能にして〜〜〜〜主なるわれらの神〜〜〜〜
ハレルヤ! ハレルヤ ハレルヤ ハレェェ〜ルヤァァァ〜〜〜〜
「ヘンデル作「メサイヤ」」「最高の名演」「……ガ―ディナー指揮‘82年録音」
「まさに!ふさわしい!音が輝きを放つようだ!ヘンデルはこの自らの最高傑作を死の前日まで演奏し続けたと言う」
場面は替わり、DアンGのもとに医療班が到着。
「よし!応援が到着したようだぞ!」
「この「DアンG]は医療班に任せて手当ての後で尋問だ!」
「我々は全ての捜索をするのだ……他の囚人がどこへ消えたのかを……」
「果たして事態の答えが解明できるのかどーかは見当もつかないが」「行くぞ!!」
DアンGをタンカに乗ったのを確認して事態の捜査にのりだす看守達。
「いや尋問は……」
手薄になった救急車に近づく神父……。
「ヤツの手当てをする前だ!!」
「何が生まれたのか………それを見失うのはまずいッ!」
後方で伏せているグッチョ。恐らく、息絶えているであろう。
「よしドアを閉じてくれ!車を出すぞ」
「はい」
救護班の何気ないやりとり。しかし神父は後部に乗り込む人物、帽子を目深に被っているが、そこからのぞく顔が不自然なことに気付く。
すると、医療班員の右手が徐々に…銃の形態を成していく。
帽子が外れる、もちろん人物はF・F!
「あ……あいつはッ!なんだと!?」
「あの帽子の下にあるあの「顔」はッ!!」
神父。
そして不穏な気配に目を開けるDアンG、驚愕。
「くらいな」
「自動追跡型スタンドを持つものは!」
「『逆襲される時は無防備』!それがリスクだッ!!」
暗殺成功寸前、F・F。
「『フー・ファイターズ』だ!!」
「なぜこの懲罰房棟にいるッ!いつからッ!」
「まずいッ!『DアンG』を狙っていたッ!」
焦る神父!ホワイトスネイク発現!!
ドバ ドバ ドバ ドバッ
だが全弾が外れる。何故!?
その答えは……、F・Fの銃化している右腕を何者が掴んでいる。その者の脳天にはDISCが差し込まれている。
『こ…これは!?こいつは』『これは!?こいつはッ』
「『DISC』が!」「!!?」
『頭につき刺さっているッ!……投げ刺したのかッ!!救急隊員の頭に…』
左エルボーで救急隊員を突き飛ばすF・F。
「『ホワイトスネイク』がいるッ!」
「DISCで操っているッ!」「ど………どこだ!?どこから「DISC」を投げたのだ!?」
そして……鉄格子の奥から歩いてくる人物。吉良は世間話をした。ディアヴォロは瞬間的に変身した。そして神父は……、
「433」「439」「443」「449」…
素数を数えている。
『まさか…投げたのは……』
「きさまはッ!」
叫ぶF・F。
「困る……」
「とても困るんだ」
「今…君が「DアンG」を襲っているという事は…彼のスタンド…『ヨーヨーマッ』が今現在…徐倫を追跡中という事だな?」
「彼に聞かなきゃあならないこともある」
「「DアンG」に死なれるのはとにかく困るんだ」
鉄格子を握る何気ない動作、神父。
『正体は……何てことだ……!!』
「ホワイトスネイクの正体は………」
F・Fの知性の中で全てのピースが合致する。ジグソーパズルに描かれた絵は神父。刑務所の裏を支配していたホワイトスネイクは表の刑務所でも超権的な存在の教戒師ことプッチ神父であった。
「…そうだとしたら」「どっちだね」
「君の最優先は?」
「わたしか?」「それとも「DアンG」を仕止めることが先かね?」
「こいつ……プッチ神父!!てめ――――」
(つづく)
私もひとつ、ヘンデルの『メサイヤ』でもかけながらこれを書こうと……、あぁ〜もちろん無い!替わりと言えば何ですが、ランダムに選んだクラシックを。ショスタコーヴィッチ作・交響曲第5番「フィナーレ」、ロストーロヴィッチ指揮。詳しい事は全くわかりません。
さて、今週は神父が大活躍でした。
いくら能力が「DISC」だからって人の頭に普通にCDを突っ込むとは。CDだけ持ち歩いてプレイヤーを持っていないなんて、最初から人間に突っ込む気満々ですな。
ところで最初このことは神父の異常性だと思っていたのだけれど、実はそれほど異常ではないのではと思い直しました。「異常ではない」と言うより、我々でもできることだと思うのです。「人の頭を解体して脳ミソに電極を打ちこむ」というように直接的な視覚情報がともなっていず、現実感がないため、あの能力を持っていたら私のような小心者でも平気でできるのではないかと…。きれいな戦争というものがある。ボタンを押すだけでミサイルが飛んでいき、押した本人は戦場にいないので全く汚れることはない。それだけではなく、戦争の悲惨さ残虐さを全く感じない。
とはいえ、かなりのハイテンションのため普段の冷静な神父でないのは確かです。テンションが上がっている時はこんなものだと思いますが。私も酒を飲んでハイテンションになってしまいカラオケ屋のモニターに乗って踊る人を見たことが有ります。でも彼らは大丈夫です(何かが大丈夫です)。
そして狡猾性。あれ程ひた隠しに隠していた正体を、F・Fとのカケヒキに使うために積極的に明かしています。カケヒキをまとめてみると、F・FがDアンGの暗殺を優先するともちろんホワイトスネイクは逃走。徐倫たちはより苦境に立たされる。F・Fがホワイトスネイクを追うとすると、神父は鉄格子の向こう。F・Fが鉄格子を抜けられるとはいえ簡単に追いつけないだろう。その間にDアンGに逃げられるのは確実、徐倫たちにピンチが続く(とりあえずヨーヨーマッの脅威は退けたが、「緑の子」はスタンドを消滅させない限り奪還できない)。
しかし、神父もDアンGから情報を取り出したいはずなのでそこをどうするのか?そこら辺の切迫感を表情にださないのはさすがであるが。私の予想としては、DアンGは神父/ホワイトスネイクによってDISCを奪われ命を落とす。そしてヨーヨーマッは消滅により徐倫たちは「緑の子」を奪還する。情報を得た神父は「緑の子」を目的に徐倫たちを襲うと思われる。さて、ここで難しいのがF・Fの存在。徐倫たちに「ホワイトスネイクの正体」がもたらされるのかどうか…。徐倫のケガの回復も必要であるから、恐らくF・Fは生還すると思うのだが……。予断はゆるされない!
もう1つ。
「あの顔は」→「フー・ファイターズだ」というコンボ発言より、どうやら神父は以前から…極端な話、農場の時から(第67(4)巻、フー・ファイターズその3)フー・ファイターズがエートロに入っている事を気付いていたのではないでしょうか。このことも加えて、神父の底はまだ見えないような気がします。何にしても22年間の間、謎を探求する情熱は尊敬に値しますが。
ではまた来週!
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