‘01 39号  Act.83 追跡センサー


「徐倫は艇(ボート)の先にいる!!」「おめーは船尾だッ!」
「左舷のスミに行くんだッ!」
 
ボートは進み続ける。アナスイがヨーヨーマッに命令する。
 しかし……右の二の腕、首筋と溶解液による穴がボコボコと開いていく。それでも接近するアナスイ。

 徐倫の独白。
『近づいちゃあだめだ……』
『ヤツは見えない方法で…少しづつ「体液(ヨダレ)」で攻撃してくる………』
『早くそれを見つけて防がないと………』
『アンタもやられるッ!』『あっという間にやられてしまうッ!』

「スミに寄ったら隠し持っているものを全部出せ!」
グシャアア
 ヨーヨーマッを踏み付けるアナスイ。
「オレの足もとに全部出して見せるんだ!」

「ヨーヨーマッ……」
「あなたがそうしろとおっしゃるなら」「はい」「いわれた通りにしますが……だんな様」
 どこから出したの?ん〜、どうやらポケットが有るらしい。ドルァえもんかよ。
 次々とアイテムを出すヨーヨーマツ。
「カブト虫が2匹に…カラオケのマイク…ノンカロリーシュガーの袋…ロックバンドR.E.Mのステッカーとカエルが3匹」
 まだまだ有るゾ!
「カエルの生皮一枚とブロッコリーひとたば」
「ピップエレキバンとヘビイチゴ4個とマッチの燃えかす二本」

 ヨーヨーマッの行動の間にもあアナスイの耳からコメカミ、頬へと穴が開いていく

「徐倫から離れてろッ!」「伏せてるんだ!もっと離れてうつぶせになってるんだッ!」
 ヨーヨーマッの持ち物を足でブチマケル。

『違う……!!「持ち物」じゃあない』『そして離れるとか距離も関係ない…』
『あたしたちはボートの進行方向!ヤツより風上にいるのにどんどん攻撃をくらっているのだ……』
 アナスイの思考に疑問を持つ徐倫。だがそれを伝える事はできない…。

「自動追跡のスタンド…攻撃目標は固定されているというわけか?」
「本体からの命令で彼女が目標で…徐倫を完全に始末するまで逃げないってわけなのか?」
 アナスイ。

「はい……完璧に固定されています」「空条徐倫に最初に触れた時からです。ヨーヨーマッ」
 ヨーヨーマッというのは口癖?なんとも安易なキャラ付けであるが…。
「そしてそばにいるというならだんな様…ついでにあなたをも始末するまでです」

 ヨーヨーマッの強気な発現に「フザケンなっ!」と言わんばかりに水平チョップを繰り出すダイヴァー・ダウン。ヨーヨーマッの角がビール瓶切りのごとくメッキョリと折れる。「竜虎の拳」ならば気力ゲージがアップしているところです。

 しかしヨーヨーマッの攻撃は終わらない。右足右腕にボツボツと穴が開く。倒れている徐倫の右手にも穴が開く。

「ヨーヨーマッ……まだ理解できませんか?」
「たとえ体のどの部分だろうとわたしを破壊したり止める事は決してできませんし、追跡センサーが壊れ徐倫への攻撃を解除することも絶対にありません…」
「お2人の唯一助かる道は……」
「私から「逃げること」だけだったのですよ」
 折れた角をゆっくりと元に戻すヨーヨーマッ。ところで追跡センサーって何?何を探知しているの?例えば、戦闘機のミサイルは熱を探知してロックオンするし、魚雷はエンジン音を探知して追跡する。ヨーヨーマッの追跡センサーは何を探知しているんだろうか?

『この「艇(ボート)」を…アナスイ…艇を止めるべきかも…』
『もしかしたら…』『いやありうるッ!』
『この艇を止めるべきよ……この飛び散っているしぶき!』
『もし…この艇をとり囲んでいる「水」全体にすでにヤツがこの攻撃の『体液(ヨダレ)』をまじり込ませていたら!』
『……今……艇のしぶきがそれを舞い上げているッ!』

「よし立て!」「次は運転席に行きな…ボートのスピードを上げろ」
 命令を続けるアナスイ。なおも徐倫とアナスイの身体に穴は開き続ける。
「風の可能性がある」
「ホレ!起き上がるんだ!」

『違う』『……逆よ。艇は止めないと!』
攻撃方法は「風」なんかじゃないッ!スピードをさらに上げたりしたら…!』
『しぶきがますます舞い上がるッ!』
 徐倫の意にかまわずなおもボートは疾走する。

                     ボゴン

 アナスイの右目に穴が!(ひぃぃぃぃぃ〜)

「はい……だんな様」
「そうしろとおっしゃるなら……」
「…………」

 何故か立ち上がれない様子のヨーヨーマッ。偶然なのか、手前でひっくり返っているカエルと動きがソックリである。クルッと回って体勢を直すカエル。だが同時にヨーヨーマッも同じやり方で仰向けになる。

「ハァ…ハァ…ハァ…」
 荒い息遣いながらもダッシュで運転席に向かうヨーヨーマッ、さっき取り出したカブト虫を発見。パクウゥゥ
…?

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

『えと…えーーと!?』
『オ…オレ……』
 チュルン!で、結局食べちゃう。

「徐倫、どうやら止んで来たようだぞ」
「まだボートのスピードをあげていないのに……」
 徐倫を振り返るアナスイ。

 運転席に跳び乗るヨーヨーマッ!その勢いで(?)ピョンガピョンガと跳びはねる。そのままプロペラに突っこむ!

ドガガガガガガ  「ウギャギャギャゲゲゲゲェェ……」

 頭をすり潰されて吐き出されるヨーヨーマッ。
「ゲ…ゲゲロ!!」
『な……なにやってんだ……………!?』
『ヨ……ヨーヨーマッ!な……なんか変だぞ』
 その時、頭上を鳥が3匹横切る…。
「隠れろッ!隠れろッ!」「うわっ!と…鳥だッ!」
「ゲ…ッ!なんで起き上がりにくいんだ?」
 
運転席の下に隠れるヨーヨーマッ。同じように逃げ込むカエル。
「隠れろ!隠れろ!」
 おやおや、カエルの言葉(思考)が解かるようになっているゾ。

『ダイバー・ダウン』
「こいつの攻撃方法が…「何か」なんてどーでもいい…」
「こいつが完璧な自動追跡型スタンドだというなら……」
 アナスイ&ダイヴァー・ダウン!
「こいつの頭の中に…」「カエルをうめ込んで…」
「その「脳」を追跡センサーにつないだ」
「カエルの気持ちになって一生追跡してきな……!!」

 ヨーヨーマッの角の内部のコードらしき線が、剥き出しにされているカエルの脳に埋め込まれている。

「えーと…えーと…なにするんだっけな?」「!!」「そうだ!」
「わたしは自動追跡!わたしへの指令は空条徐倫を始末し……「緑色の子供」を持ち帰ること……」
「こんなことをしてる場合じゃあない!」

『ヨ…ヨダレを舞い上げてアナスイを攻撃をしなくては!……』
『プロペラにビニールをこすらせ……「静電気」を起こしているッ!』
『その磁気の反発でヨダレのツブをまき散らすのだッ!』
『こいつは絶対にきづかれねェ―――――ッ』

 そう、「蚊」に続く攻撃とは静電気を使ったものだったのです。よく考えれば徐倫の「波しぶき」説はかなりオカシイんです。まずボートの周囲を被うほどの大量の唾液を短時間で用意する行為が徐倫たちに見られないわけがない。ましてボートは疾走している。ヨダレを出しても出しても後方に流れていくはずなのです。

「でも思わず鳥にビビッちまうぅぅ―――――ッ隠れろ!隠れろッ!」
「うげっ!カエルみてーに小便チビってるゥゥゥ―――――ッ」
 ジョー――。
「あれ……?」
「えーと…えーと…何だっけ。追跡して……」
『うひょうおぉ―――ッ 超カワイイ―――ッ』
『追っかけろ―――ッ 追っかけろ―――ッ』
『ナ…ナ!ナイスボディだァァ』
「のっかりてェ―――のっかりてェ―――ッ」
「おっカブト虫」
 パクウゥ。
「えーと…えーと…なんだっけ?」

 広末涼子もビックリの奇行を見せつけるヨーヨーマッ。

「傷の手当てには『F・F』が必要だ……あとは「DアンG」を仕止めて戻るのを待つだけだ」
 徐倫を抱き上げ呟くアナスイ。次週、ホワイトスネイクとF・F……深い縁がありながらお互いの正体を知らない2人の微妙な関係はどうなる?(こうかくと恋愛ものみたいだね)。




 先週の最後にチラリと書いた展開になりそうです。さて、チョット尻すぼみ気味なヨーヨーマッでしたね。F・Fとホワイトスネイクに完全にウェイトが移った感じです。ほとんどカエルの思考になってしまったヨーヨーマッは無害化してしまったため、後はDアンGの落命を待って「緑の子」を奪還するのみでしょう。

 さて気になるホワイトスネイクとF・F、DアンG。私の予想では、F・Fは神父を怪しみながらも徐倫たちのことが心配なのでDアンGの狙撃を優先させるでしょう。しかし、DアンG狙撃の際に外れたF・F弾の弾丸を観察されて神父にエートロがフー・ファイターズであることに気付かれる。正体を知られなくたい神父はこの場ではとりあえずF・Fを見逃す。だが、自分の傘下にいるスタンド使い全員を使い徐倫グループを襲撃!真の目的は混乱に乗じての「緑の子」の奪還と、全てのスタンド使いの抹殺。自分が生み出したスタンド使いさえも敵にまわることが解かったホワイトスネイクは全てを破棄することにしたのだ。GDSt刑務所が血で真っ赤に濡れる……。
 でもジョジョには集団戦なんてないか…。後半は妄想になっちまいましたね。
 改めて予想すると、この場はDアンGの暗殺が成功して終わり。 だがF・Fが神父への不信を持ったことは大きいと思う。次のエピソードは徐倫、エルメェス、F・F、エンポリオ、ウェザー、アナスイが揃い踏みすることから始まるでしょう。そしてサヴェッジ・ガーデン作戦の場合と合わせて神父の調査に乗り出すのではないでしょうか。

 後、追跡センサーって何?な〜んか唐突な感じで出てきたし、ヨーヨーマッの撃退法も強引に感じたな。センサーがカエルにツナガッタからって、センサーが壊れるだけで逆に徐倫を追跡できなくなるだけなのでは。などと、ネガティヴなことを言ってもしょうがないので理論を考えてみましょう。

Q1.センサーで探知しているものは何?

A1.徐倫の生死でしょう。詳しいことは解からないですが、心音とか呼吸とか脳波とかを探知しているのでは。



Q2.なぜセンサーとカエルの脳がツナガッたらヨーヨーマッはカエルになっちゃったの?

A2.これはセンサー自体がヨーヨーマッの意思の中枢だったのではないだろうか。つまりセンサー=意思中枢が破壊されて治癒(ちゆ)するときに意思中枢とカエルの思考が一体化してしまったのだ。コードがカエルの脳に埋め込まれているのは神経の結合というところでしょうか。


Q3.アナスイは身体にあんなに穴が開いても立ち続けたのになぜ徐倫はあんなにアッサリ倒れたの?

A3.徐倫は女の子だからです。

 ではまた来週!