‘01 30号 Act.75 本物の愛 テキサス州 ダラス郊外某所 SPW財団施設内 A ヨガの行者のように胡座をかき、両掌を上に向け親指と人差し指で輪をつくっている。頭を垂れて眠る承太郎。全身にコードを付けられ、身体の生命情報を記録されている(でも帽子はかぶっている)。その承太郎を見つつ、彼の状態を話すドクターと(恐らく)その助手…。変形の白衣に頭巾をかぶっている。 ドクター A 今の承太郎は「WATER(水)」と「CUP(コップ)」の区別がつかないだろう。ただ、家庭教師の先生が井戸へ連れて行って手に水をかけてあげれば「これが…これが水なのね、先生」と感動するはずです(ヘレン・ケラー伝記より抜粋)。 A 2つの写真立てにそれぞれ徐倫の写真(カワイイ!)と承太郎の写真。承太郎の写真は半分ほど徐倫の陰になっている。承太郎とイッショに誰かが写っている可能性は大きいだろう。恐らく、徐倫の母親ではなかろうか? ドクター 無言のA。 ドクター A ドクター 承太郎の帽子に触ろうとするドクター。 A ドグシャアアァアァ スタープラチナが一瞬見え、承太郎の裏拳がドクターを襲う!間一髪!Aがドクターを後ろに引っ張る。 A A ドクター A 疑問点は2つ。Aはスタンドが見えるのか?何を指して『スタンド能力』と言っているのか? 承太郎の手当てをするために新たに2人の白衣の財団員が来た。そのうちの1人がガラスで切った傷が文字に見える事に気付く。 B 所は飛んで…GDSt刑務所 厳正懲罰隔離房 地下死刑執行場脇階段。 あの日の事を思い浮かべる徐倫…。 レオタードに股下が狭い迷彩服のパンツ、首元に蝶のバッジ。髪型はだいたいイッショだが、後ろ髪をワイルドに伸ばしている。左腕にはまだタトゥーはない。左眼の周りに星のペインティングを施している。 「ちぇっ!なんだよ」「スゲーラッキーと思ったけど5ドルぽっちか…」 金をとりだしポケットにしまう徐倫。 「ねえ…」「パパ」「ねえってば!」 「今まで持ってただろ!よく探してみろ!」 徐倫の後方で買い物をすませた親子がもめている。父親が徐倫と、彼女の持っている財布に気付く。 「………」 「も…もしもし警察ですか?今、サイフを盗られたんだッ!」 子どもを車に乗せていきなり警察に電話をかけだす父親。 「え!?」 アメリカ人ならダディと言え。 「なにドアッ!閉めてんだよッ!」 細かいセリフの積み重ねが混乱をかもしだす。徐倫も!父子も! ヒュイン ヒュイン ヒュイン ヒュイン パトカーが接近する。もはや混乱の極みの徐倫。 「ちくしょおお―――ッ 父子を外に放り出し、自動車を奪い、バックで逃走しようとするも、次々と駐車してある他の車にぶつける。 ………。
左腕を手錠によって壁につながれている少女。不敵な態度ながら、伏せ目がちである。 「車の窃盗の罪が加わりました」 制服警官が書類を持って歩き回っている、ここは警察署だろう。私服刑事と少女の母親とおぼしき女性が話しあっている。そっちの方をみた瞬間だけ少女の眼には陰がよぎる。 「あなた……」 母親の電話を黙って聞く。 「そうでしょうよ!大切な急用でしょうとも!」「それでも父親!」 もう涙ぐんでいる母親の方も見ない。顔は無表情となり、瞳は無気力に満ちる。手錠が外されても、自由になっても、何の喜びもわかない。 「いいですか…ご両親…。 「父親が教え…彼女が学ぶしか…ありません」 父親に見捨てられる。恋人に裏切られる。刑務所に入れられる。父親が記憶を奪われる。…だが少女は学んだ。父親から。自分が愛されていたことを……。
「おかしい……」「あんたの負傷……」 訝(いぶか)しがるF・F。徐倫の右腕から血が流れている。「JOLYNE」とも読めるキズ。 「でも なんか文字みたいに見えない?この傷…」 「待って!」 F・Fを制する徐倫。 『いまのは夢…?気を失った一瞬のただの……』 『『通じた』のよ…』 |
さて、今回のジョジョはどうでしたでしょうか、皆さん。おおまかに分けて前半の「あの人は今ッ」と後半の「不良少女と呼ばれてッ」ですが、前半はともかく後半はチョットいらないかな。まずこのエピソード(後半部分)がある理由を考えたのですが、(1)承太郎の徐倫に対する愛情を表現(2)父娘(おやこ)の絆の強さを表現(3)単に徐倫の過去。(1)はやはり3(66)巻「面会人 その9」が最高エピソードだと思っており、またその感想は今週号を読み終わってもまだ変りません。「おまえのことはいつでも大切に思っていた」普通に「いつでも愛していた」とはいわないこの言い回しも承太郎らしくて好きです。(2)ジョジョにとって家族の絆は非常に重要に扱われます。唐突でも、これを表現することは必要なことだと思います。そんでもって(3)なんですが、今回の過去話と現在の徐倫の状況が直結しないことが「チョットいらない」と思ったメインの理由なんです。 |